資金繰り改善のポイント

資金繰り改善のポイント

それいゆ通信021号

関与先の皆さま

 いつもお世話になっております。観測史上最高の暑さを記録し続けている今夏ですが、体調管理などいかがでしょうか。東京の8月の平均は29.6度で、8月同士だけで比べると熱帯のタイ・バンコクより暑く、乾燥帯のイラン・テヘランと同程度だったそうです。今月に入っても猛暑日が続くなど、まだまだ厳しい暑さですが、負けずに頑張って行きましょう。それでは、事務所通信平成22年10月号とともに「それいゆ通信021号」をお届けします。

 今回の事務所通信は、『資金の流れと資金繰り改善』がテーマです。TKC会計システムをお使いのお客様には、毎月、試算表とともに資金移動図表をお届けしています。独特の図表になっているので、見方が難しいとの要望があり、今回解説をしています。誌面では、経営上、最も重要視すべき経常収支の部分に特に焦点を当てています。経営者の方だけでなく、経理担当の方にも、TKCの月例経営分析表の数値等に関心を持ち、資金繰りの改善へのヒントとしてほしいと思います。ぜひご一読ください。

 今回のそれいゆ通信は、事務所通信本編に引き続き資金繰り改善を取り上げます。
 資金の流れをつかみ、資金繰り改善を図る上での重要なポイントは大きく次の2つです。
    ①「経常収支」(経常収入-経常支出)がプラスであるかどうか
    ②設備投資、借入金の返済等が「経常収支」の範囲内で行われているかどうか
 このうち①は本編中で説明をしています。②について、設備投資(固定資産の購入等)や借入金の返済、税金の支払いは、本業以外で大きな資金の支出になります。これらの支払いが、その期の経常収支の範囲内に収まっていれば、基本的に資金繰りが苦しくなることはないといえます。

 ◎経常収支がもし赤字だったら
 もし経常収支が赤字であれば、資金の減少要因に注意し対策を打つべきです。資金の減少要因は、下記の通りです。
  
  ■売掛債務の増加、回収サイトの長期化・・・現金取引から掛取引になる得意先が増えるほど、入金が先延ばしになります。また、末締め翌末入金(30日サイト)が翌々末入金(60日サイト)になれば、その分入金が繰り延べられ、資金が圧迫されます 
  ■買掛債務の減少、支払サイトの短期化・・・翌月支払に振り込んでいた買掛金を現金即払に変更にされたり、急な仕入や外注など現金払いが多くなると手元資金が少なくなります。また、今まで末締め翌々末支払だった取引先から翌末払いを求められる場合、支払が早くなる分手元現金が減少することになります。
  ■在庫の増加、回転期間の長期化・・・在庫は現金が寝ている状態で、なるべく早く売り上げ、入金までこぎつけない限り、ずっと現金化しないことになり、資金を圧迫し続けます。不良在庫も同様です。また商品を仕入れ、それを売り上げ、現金として回収するまでの期間が長ければ長いほど、資金が寝てしまうので、資金繰りが悪化するようになります。
 
 資金繰り改善の最大のポイントは、売上は素早く回収、仕入はできる限り先延ばしにという点です。お手元の資金繰り表や資金移動図表を確認して、ご不明点があればご説明いたします。
 
 それでは、またお会いできるのを楽しみにしています。