それいゆ通信

民法の債権分野抜本改正のポイント

それいゆ通信075号

関与先の皆さま

 事務所前の桜のつぼみも膨らんで春の訪れを告げていますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。最近は凄惨なニュースや政治家の献金問題に関する報道などが多く、暗い世の中になってしまったような気もしますが、日経平均が18,000円を超えるなど景気は確実に上向いているようなので、景気の面でも春はもうすぐそこかもしれません。とはいっても、朝夕はまだまだ冷え込みますので、お体には十分お気を付け下さい。それでは、事務所通信平成27年4月号とともにそれいゆ通信075号をお届けします。

 今回の事務所通信は「月次決算で正しい業績をつかもう!」と題して、月次決算の重要性を再確認するために、月次決算体制の構築と定着について特集しています。月次決算の基本は、適時、正確な記帳、日々の現金・預金の残高合わせ、証憑書類の整理・保存をきちんと行い、売上と仕入を発生主義で計上することです。これが月次決算体制の大部分を占めています。既にこのレベルまで月次決算体制の構築、定着が進んでいる企業は、月次決算の早期化や精度の向上への取り組みが次のステップです。また特別号として平成27年度改正税法特集も同封いたしました。企業だけでなく個人に関する税制改正も載っていますので是非ご一読ください。

 今回のそれいゆ通信では、民法の債権分野の抜本改正について取り上げたいと思います。まず民法は、「総則」「物権」「債権」「親族」「相続」の5編からなります。総則、物権、債権の3つを「財産法」、残り2つの親族、相続を「家族法」と呼びます。ではなぜ民法の債権分野を抜本改正するのでしょうか。それは現行の民法というのは近代化を急ぐ明治政府が比較的短期間で整備したため、条文数が少なく内容も簡潔だとされているからです。参考にした当時のフランス民法の条文数が2000条超なのに対し、日本の民法は約1000条にとどまります。このうち約3割を占める債権関係規定は、これまで改正されたことがほとんどありません。このため、時代遅れの内容が残り、社会や経済の変化に応じた項目の追加もなく、民法の条文を読んでも細かいルールがわからない状況に陥っていました。そこで、ルールがない事象については判例(最高裁判所の判決)を積み重ねて対応してきました。例えば、重い認知症の高齢者が交わした契約は現在、その意味を理解したり判断したりできない「意思無能力」状態で交わしたものとして無効にできます。しかし、この原則は現行の民法には明記されておらず、明治時代の大審院(今でいう最高裁判所)判決などを根拠に確立したもので今回の見直しでようやく明記される運びとなります。改正で法に記載のなかった事項が盛り込まれ、今までは法の専門家だけが理解していた部分が一般の人にも理解しやすいものになると期待されています。
 現在議論されている民法の債権分野の抜本改正では、下記の点がポイントとなっています。

・「約款」
  (現在)規定なし
   ⇒ (改正)消費者の利益を一方的に害する項目は無効。

・「法定利率」
  (現在)年5%の固定金利
   ⇒ (改正)3%に引き下げ。その後、市場金利など踏まえて3年ごとに見直し。

・「未払い金(ツケ)の消滅時効」
  (現在)飲食費1年、病院の診療費3年などバラバラ
   ⇒ (改正)原則5年に統一。

・「賃貸住宅の契約」
  (現在)敷金や原状回復について規定なし
   ⇒ (改正)契約終了後、敷金は原則として借り主に返金。
        借り主は経年変化を修理する必要なし。

 また、家族法の分野にも女性の再婚禁止期間の規定と離婚後300日の問題や夫婦別性、同性婚の問題(渋谷区の同性カップル証明書には驚きでした)など議論しなければならない点がたくさんあると思います。女性の社会進出を推進している安倍首相も、国家の根幹に関わる憲法改正に力を入れるのも大事ですが、市民に直接かかわる分野の改正にも力を入れて欲しいところです。
 民法債権分野改正案は早ければ今国会中にも成立する見通しで、その後、3年以内の周知期間を経て施行される方向のようです。約款、法定利率、未払い金の消滅時効などは関与先の皆様にも特に関わってくる事項ですので、詳細が分かり次第、随時情報を発信していきたいと思います。(T.N記)

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