それいゆ通信

長寿企業の秘訣

それいゆ通信078号

関与先の皆さま

 こんにちは。先月は夏が来たような天気の日が多かったですね。5月の月間平均気温は明治9年から140年間の観測史上、一番暑かったそうです。しかし、それもひと段落して、そろそろジメジメとした梅雨の季節がやってきそうです。気温が上がり、湿度が増えるとダニやカビの繁殖の原因になります。雨が降っているとなかなか難しいかもしれませんが、1日1回は窓を開けて外気を取り込むと、室内の空気も清潔に保たれるそうです。会社も部屋もよい空気を取り入れ、カラッと爽やかに2015年上半期最後のひと月を乗り切っていきましょう。それでは、事務所通信平成27年6月号とともにそれいゆ通信078号をお届けします。

 今回の事務所通信は、「小規模事業者の現状と未来」と題しまして、中小企業庁がまとめた「2015年版小規模企業白書」での考察をまとめています。その中で注目すべき点は、「経営計画を作成することで、自社の経営に向き合おうとする意識が強くなり、前向きな経営意識が生まれる」というところです。小規模事業者に限らず中小企業にとって、先の見通しを立てる経営計画というものは必須であり、これは当事務所でも推進している経営改善計画策定事業に通じるものがあります。その他、経営計画策定ツール(継続MAS)もご用意しておりますので、お気軽にご相談ください。これを機に経営計画を策定して、持続的発展をする企業へとステップアップしていきましょう!

 また、マイナンバー制度の概要、スケジュールについての掲載もあります。以前のお知らせと重複しますが、再度ご確認をお願いします。

 今回のそれいゆ通信では、長寿企業の秘訣について触れてみたいと思います。「長寿企業」とは、創業から100年以上を経過した企業をいい、帝国データバンクによると日本では約26,000社あります。規模別に見ると、約6割が「従業員10人未満」、約8割が「年商10億円未満」の比較的小規模な企業の割合が多いそうです。そう聞くと、創業当時から変わることなく伝統を守り続けてきた企業というようなイメージが湧きませんか?しかし、東京商工会議所の調査によると、100年以上存続してきた最大の要因として、7割超の企業が創業当時の製品・サービスなどを「改善・改良した」と回答し、「変えずに守り続けた」と回答した企業は1割にも満たなかったそうです。これはいったい何を意味するのでしょうか?

 長寿企業に対して、「何を改善・改良したのか」と回答を求めると、一番の理由は「販売先・顧客」が変わった、その次が「仕入れ先・原料調達先」が変わったと回答しました。当然、自社が100年以上続いていたとしても販売先・仕入れ先企業が100年続くとは限りませんし、顧客が個人であれば100年以上生きている人は稀でしょう。逆に、「変えずに守り続けてきた」と回答した企業は、創業時から先代までの間は「信用第一・コンプライアンス重視」、当代の就任後では「社名・屋号」との回答が多かったそうです。確かに、小規模事業者であれば、信用第一は頷けますし、ましてや社名・屋号がコロコロと変わってしまっては取引先・顧客が混乱してしまいかねません。「改善・改良した」長寿企業と、「変えずに守り続けてきた」長寿企業。両極端のように思えますが、実は共通している部分もあります。それは、「創業以来の稼業のコア部分を頑固に守りぬいている」というところです。長寿企業として最も多い業種が、清酒製造業です。清酒製造業が多い理由は、産業として定着した歴史が古いこと、参入障壁が高いために新規参入が比較的少なく、安定した経営を続けやすかったことが挙げられますが、やはり、創業以来の稼業のコア部分、清酒製造を頑固に守りぬいているということが一番大きな理由だと思います。

 さらに長寿企業は、「変化に対して積極的であり、柔軟に対応する」という企業が多いという調査結果もあります。これらを踏まえると、「稼業のコア部分と信用第一の姿勢は守りつつ、時代の変化・ニーズに合わせて積極的かつ柔軟に対応できる」企業であることが、長寿企業の秘訣なのかもしれません。日本最古の企業は、聖徳太子の時代から存在する金剛組(株式会社 金剛組)で、これは世界最古の企業でもあります。その金剛組を含め日本には1000年以上存続する企業は7社あります。1000年とは非現実的な気もしますが、千里の道も一歩から。まずは1年、3年、5年先の経営計画策定から一緒に取り組んでいきましょう!

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