それいゆ通信

祝100号

それいゆ通信100号

関与先の皆さま

 皆さま、こんにちは。温井德子です。今回は「それいゆ通信100号」であり、日頃なかなかお会いできない皆さまに是非ともお礼を申し上げるべく寄稿することになりました。

 思い起こせば平成21年1月、多くの方に通し番号を付けると休めないから「〇月号」とするのが長続きする秘訣とアドバイスを頂戴したにもかかわらず、無謀にも001号としてスタートしたことを覚えています。そこから8年が過ぎ、担当者も数度の変更がありましたが、現在では入社して最初の業務がお客様の社名を覚えることと、それいゆ通信の執筆になっています。

 現在の税理士法人TGNそれいゆは、その前身の温井会計事務所が本年1月で14周年を迎えました。これはひとえに、皆さまに支えてきていだだいたからに他なりません。本当に言葉では言い尽くせないほど感謝しております。最初は7坪の1フロアで父と二人で始めた事務所ですが、現在では八重洲事務所5名、八丁堀事務所7名の大所帯になりました。お客様も業種や規模など様々に広がり、最近では外国人社長の法人も増えてきております。弊社一同は、皆さまがいつも真摯に経営に取り組んでいることを支援できる喜びを感じ、また関与先企業のより良い業績と繁栄のために何が出来るのかを常に社内での検討課題としています。

 そこで15年目の今年、更にお客様との関わりを深め、より身近な相談相手として活用いただくことを目的として、提供業務の大きな転換を図ろうと考えております。それは、多くの方には従来よりご案内をしていますが、経営計画策定の支援の充実です。

 事業計画や経営計画というとどのようなイメージをお持ちでしょうか。弊社では最近、上場企業やその一歩手前のお客様のセカンドオピニオン業務の依頼があり、その際に感じるのは、いわゆる大企業にあって中小企業にないものは、事業計画、特に中・長期経営計画だということです。誤解を恐れずに言うならば、税務会計の上では、会計ソフトや販売管理ソフト等の普及により、取引数の多寡はあるにせよ、業務レベルは大企業も中小企業も大差ありません。むしろ、中小企業の方が緻密な会計処理をし、社長と経理担当者が細部まで把握していることも多いと感じています。

 一方、こと話が未来会計である経営計画に基づく管理会計に及ぶと、3年後や5年後、それどころか1年後の計画さえ数値化せずに日々仕事をされている中小企業とその社長様がほとんどではないでしょうか。海図を持たずに出航する船長さんはいないはずです。海図や羅針盤を手に、実際の運航を調整し、目的の場所へたどり着く、これは皆さんの会社経営と何も変わるところはありません。

 先月、ドイツのハノーファーで行われたCeBIT(セビット)というITビジネスの国際見本市に参加し、新しい会計システムを各国企業に向けて紹介する機会がありました。その会計システムというのは、海外の異なる科目配置基準や異なる言語による壁を越えて、世界中のあらゆる会計ソフトを皆さまが今、現にお使いの会計システムと日本語で直接連携させるという非常に画期的なソフトウエアで、確かに見本市では注目を浴びました。ところが、プレゼンテーションの合い間に他社や他国の展示ブースに行ってみると、AIやさらにそれを利用したディープラーニング(IBMのワトソンが有名ですね)、様々なIT技術のデモンストレーションに圧倒されました。

 我々会計業界では、IT技術は昨今Fintechという名称で、預金通帳をデータ化して読み込ませたり、スマホで領収証を画像として取り込むことで会計伝票が自動起票される仕組みとして、既に活用されている会社も多い技術です。そして現在はまだ、仕訳辞書を活用して起票している分についても、システムの進化に伴い、入力は次第に減っていき、すべてが自動起票になる日も近いと考えています。さて、その場合、社長や経理担当者のなすべき業務はどのようになっていくでしょうか。せっかく手元に、最新で正しかろう(最終的に適正かどうかは、月次監査が必要ではありますが)データが揃っているのに、その先の見通しはどのように検討していくのでしょうか。

 私見ですが、ここで必要になるのは、1年先、あるいは3-5年先を見据えた経営計画との比較検討、それを踏まえた改善だと考えています。ドイツのCeBITにおいても、AIは今のところ、1を5する、あるいは1から正しく10を導き出す計算に関しては、過去の膨大なデータを基に自動化できていますが、0を1にする、つまり何もないところから何かを生み出す、ゼロから将来の計画を策定していくことは今しばらく時間が必要のように感じました。さらにいうなら、今現在、数字に表さずとも既に社長の頭の中にあるビジョンを計画として数値化し、立案していくのはAIにはまだ荷が重いはずです。この社長の頭の中の考えや想いの整理を助け、数字に起こしていく支援、これこそが15年目を迎えた我々の使命なのだと強く感じたドイツ出張でした。

 さっそく今月から経営計画策定支援の担当者を選任しました。これから順次、皆さまにご連絡して、まずは当期と来期の経営計画の策定をご支援します。初年度ですから、まずは前年決算と比較して自社がどのようになっていくかの予測を相談してみてください。経営計画が出来上がると、進捗が気になり、未達成の予算数値について修正をしたいと感じるかもしれません。その場合は四半期または半期での見直しをする、あるいは一度確定したものは通年で執行状況をモニタリングし続ける、どちらも正しい予実管理の向き合い方だと思います。未来会計ともいわれるこの経営計画に基づく業績管理には、正解も不正解もなく、また会社ごとにニーズが異なり、ゴールもありません。ぜひ我々と、過去実績である月次の数値だけでなく、それに基づいた御社の未来について対話を重ねていきましょう。

 弊社のある八重洲さくら通りでは、毎年4月初旬には桜祭りがおこなわれています。新入社員が入社した会社も多く、いよいよ春に向かっていくウキウキした気分のこの時期にぜひ明るい、そして堅実な未来設計に取り掛かりましょう。計画策定についてはご支援を継続的に行い、また皆さまにご満足していただける業務を提供するよう、職員一同努めてまいります。今後ともどうぞご指導、ご鞭撻の程お願い申し上げます。

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