財務会計と管理会計
2017/06/08
それいゆ通信102号
関与先の皆さま
新緑がまぶしい季節となりました。いかがお過ごしでしょうか。既に真夏日の気温を記録する地域も出てきており、春と夏の季節の境目がはっきりしなくなってきている印象です。日本の四季の情緒も感じられなくなるのでしょうか。さて、今年の夏は例年以上の猛暑となるようです。毎年猛暑だと言われますが、従来以上に熱中症対策はしっかりと取るようにしましょう。それでは、事務所通信平成29年7月号とともにそれいゆ通信102号をお届けします。
今回の事務所通信では、「利益向上のための4つの打ち手」について取り上げられています。具体的には、⓵固定費の削減、⓶販売数量の増加、⓷売上原価の削減、⓸販売価格を上げるの4つがあります。これらの項目の数字をシミュレーションすることで営業利益などの予想をすることができます。そのためのツールとして変動損益計算書(売上原価や販売管理費などを固定費と変動費に分けた損益計算書です。)があります。「売上が〇%増えたら、利益はいくら増えるか」「変動費や粗利益率(限界利益率)が20%から30%に変化すれば、利益はどれだけ変わるか」などを変動損益計算書では想定することが可能です。今後の自社の利益を考える上で重要な項目ですので是非ご一読ください。
今回のそれいゆ通信では、会計の概要について取り上げたいと思います。会計には「財務会計」と「管理会計」の二種類があります。通常、会計というと財務会計を意味することがほとんどです。
財務会計とは、株主、債権者、投資家等の企業外部に対する会計情報の提供を目的とした会計のことを言います。この会計情報を共有することで企業にかかわる人たちの様々な判断材料ともなっています。そのため財務会計は外部報告会計とも呼ばれています。財務会計は外部報告の目的で作成される為、一定の日本国や国際ルールに準じ、会計の処理と報告をする点に特徴があります。
一方、企業内部に視点を移した会計として管理会計があります。企業内の経営者や部門管理者間で客観性を保ち、業務の共有化が求められています。そこで企業内部での現状や方向性を把握するために経営管理に役立つ会計情報を得ることを目的として管理会計が誕生しました。これは、企業内部の経営管理者が経営を含めた様々な業務の円滑な遂行に役立つものです。経営のマネジメントを如何に進めるかを決定するうえで非常に重要です。
そして、管理会計は企業内部を対象とした性質からその会計情報は経営計画に活用されています。具体的には予算、事業計画書や中期、短期経営計画書などの資料の作成に使われます。今号の事務所通信で取り上げた変動損益計算書なども管理会計で用いられる資料です。これらは、企業の会計数字から未来を考察する際に活用され、売上や利益、経費などの数字をシミュレーションすることで今後の事業計画を立てやすくなります。また、組織内部の業績測定や業績評価などにも役立てられます。部門ごとの数字を把握することで効率性の有無、生産性の把握など組織の業務活動の現状を認識する土台ともなりますし、そこで問題があれば解決策も打てます。そのため、管理会計は総合的に経営課題を考えるツールと言えます。
会計と一口に言ってもそれぞれで活用方法が違いますので、会計の世界も知れば奥深いものだと思います。皆さまの会計の役割について理解する一つの材料となればと思います。(N.Y)