それいゆ通信

インボイスってなんだろう?

それいゆ通信083号

関与先の皆さま

 
 こんにちは。日足がめっきり短くなり、冬将軍がもうそこまで来ていると感じるようになりました。皆様お変わりありませんか。当事務所では、10月中にはマイナンバーが送付される予定と告知してきましたが、今のところ関与先様でマイナンバーが届いた役・社員がいるという報告はありません。しかし、行政は11月末までには配布を終える予定とのことですので、今月はより一層の注意喚起をお願いします。それでは、事務所通信平成27年12月号とともにそれいゆ通信083号をお届けします。

 今回の事務所通信は、「今年の経営を振り返る」と題して、売上と利益の中身の点検を提案しています。売上の中身を取引先別、商品(製品)別にチェックするなどのほか、営業担当者別、部門別、営業所別など、細かく分けることで、これまで気付かなかった(見えなかった)変化や実態がわかることがあります。それをヒントに、売り上げの改善に向けた検討をするためのチェックリストが掲載されています。是非ご活用ください。
また、マイナンバー制度における個人番号カードの取得方法、利用できるサービスについての記載もありますので併せてご一読ください。

 今回のそれいゆ通信は、消費税の軽減税率に向けて採用を検討している「インボイス」について説明します。インボイスとは、物を売ったり買ったりする取引で、企業や小売店などが記入する書類のことで、税額票とも呼ばれます。書式は請求書に近いのですが、品目ごとに消費税の税率や税額を事業者番号や請求書番号などとともに記す点で異なります。一部では経理事務の負担が増えるという理由で反対の声もありますが、なぜ政府はインボイスの導入を検討しているのでしょうか。それは、消費税の軽減税率を導入にあたり、国に納めるべき消費税が事業者の手元に残って利益となる「益税」が問題視されているからです。
益税とは、消費者から預かった税金を国庫に納入することなく、事業者の利益とすることをいいます。では、どういう場合に益税が生じるのでしょうか。その理由は2つあります。1つは、中小・零細企業の経理事務の負担を軽くする「事業者免税点制度」が適用されるケースが挙げられます。これは、消費税を納税しなくてもいい制度で、課税対象となる年間売上高が1000万円以下の小規模事業者が利用できます。もう1つは、「簡易課税制度」が適用される事業者です。年間の課税売上高が5000万円以下だと選択が可能で、面倒な経理事務を省き、売上高から推計で納めるべき消費税額が決まります。この制度の肝は、実際の仕入額とは関係なく、あらかじめ定められた「みなし仕入率」を売上高にかけた額を仕入額とみなし、消費税額を算出することです。このみなし仕入率は政府が決めており、業種ごとに分かれています。しかし、みなし仕入率は実際の仕入率よりも甘く設定されているケースが多く、益税につながっているようです。
益税は、消費税が10%に引き上げられるとますます膨らむといわれています。そこで、インボイスを採用すれば、事業者はインボイスに基づき、支払った税額と受け取った税額の差額を納税するので、益税は発生しにくくなります。つまり、政府はインボイスによる益税の抑制策をしようとしているのです。また、インボイスには発注元の企業から支払われる代金に、増税分が上乗せされているかどうかが確認しやすいという利点もあります。現在は、多くの事業者が会計ソフトを使って経理事務を行っているので、事務負担の増加を理由としてインボイスを反対するのではなく、取引が透明化されることの警戒感が反対の理由といわれています。念のため、当事務所の関与先様におかれては、何ら警戒する必要はないので、ご心配なく。

 毎月の繰り返しになりますが、11月末には世帯ごとに簡易書留で「通知カード」が届きます。従業員に紛失しないよう注意喚起をお願いします。また、「平成28年分の扶養控除等(異動)申告書」の提出の際に、従業員の本人確認と、従業員本人とその扶養家族のマイナンバーを扶養控除等申告書に記載してもらうことになりますので、その点の注意喚起も併せてお願いします。(T.N記)

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