源泉徴収票はドコを見るか
2010/01/05
それいゆ通信013号
関与先の皆さま
明けましておめでとうございます。厳しい経済環境は変わらずですが、新しい2010年という年を素晴らしい1年にしていくよう一緒に頑張っていきましょう。昨日の新年最初の日経平均は、1年3ヵ月ぶりの高値水準を回復したとのことでした。ただ、まだまだ売買全体は低調のようですし、日航株の問題等もありますが、幸先の良いスタートだと思いたいですね。それでは、事務所通信平成22年2月号とともに「それいゆ通信013号」をお届けします。
今回の事務所通信は、事業者はなぜ帳簿をつけ、決算書を作成しなければならないのかについて歴史のエピソードから探っています。帳簿をつけるという言葉自体、パソコンでの処理が普及している現在なかなか馴染まないかもしれませんが、経営者及び経理ご担当者様には、適正な経理をするということが、税務署のためではなく、会社の未来会計(中長期の経営計画)のためだという認識を持っていただきたいと思います。そしてその適正な経理をもとに、経営者自らが会計を理解し、活かせるようになるため支援するのが私たち会計事務所の本来の使命だと私は考えています。今回の記事を参考に、ぜひ今一度、帳簿や経理、会計の重要性を考えてみてください。
さて、今回のそれいゆ通信ですが、この時期お問い合わせをいただくことの多い源泉徴収票の見方、読み方です。
源泉徴収票とは、給与支払いを受けている人が毎年の年末調整後に受け取る明細書のことで、年末調整とは、毎月給与から天引きされた源泉税額を年間収入と諸控除で調整する制度のことです。以下は、お手元に源泉徴収票をご用意の上、読んでいただけるとわかりやすいかと思います。
まず中段の扶養家族等の部分ですが、配偶者や扶養親族等該当者がいれば「*」や「○」、また下段でも寡婦や障害者等該当すれば「*」や「○」が記載されます。
次に各金額ですが、まず①「支払金額」とは実際の手取額ではなく、基本給や諸手当等の合計額で、社会保険料や税金を引かれる前の年間収入金額のことです。通勤手当は原則非課税ですので、ここには含まれませんのでご注意ください。
②「給与所得控除後の金額」については、少し分かりづらいと思いますが、税法では給与所得者にも必要経費を概算で認めており、その概算額を控除した後の金額が記載されます。例えばサラリーマンにも、自営業者同様にお付き合いの飲食代やスーツ代など必要な経費もあるだろうと税務上配慮されているわけです。ただそれをすべて集計して給与所得者も全員確定申告となると膨大な手間と時間がかかるため、①の年収に応じて控除できる経費を概算で決めています。具体的な計算式は国税庁のHPに掲載されていますのでご参照ください。
http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1410.htm
次に③「所得控除の額の合計額」とは、所得税額を計算する上で、②から控除する合計金額です。その内訳は、中段の扶養家族等の内容による控除額、下段の本人に適用される区分による控除額、さらに「社会保険料等の金額」「生命保険料の控除額」「損害保険料の控除額」等の合計となります。その他、本人の基礎控除38万円もここに含まれます。仮に扶養家族がなく、社会保険料等の所得控除が全くない場合であれば、この基礎控除の38万円だけが③に記載されていることになるわけです。
最後に④「源泉徴収税額」ですが、この金額については速算表(年末調整の手引き等に掲載されています)で計算します。②「給与所得控除後の金額」― ③「所得控除の額の合計額」で算出される金額(千円未満切捨)を速算表に当てはめ、年税額となります。
以上が簡単な源泉徴収票の解説でしたが、諸控除等さらに詳しい解説や疑問点については、巡回監査におうかがいした際にいつでもご質問ください。今後の税制改正では、②に含まれる各種控除の減額や廃止が予想されていますので、分かり次第お伝えしていきたいと思っています。
それではまたお会いできるのを楽しみにしております。