消費税の軽減税率
2013/02/09
それいゆ通信050号
関与先の皆さま
毎日寒い日が続いていますが、いかがお過ごしでしょうか。風邪やインフルエンザなどなどマスク着用が日常的になっていますが、そろそろ花粉症の時期も近づいています。今年は例年に比べて随分と量が多いとか。引き続きマスクが手放せない方も多いのではないでしょうか。しっかり対策をして花粉に負けずに頑張りましょう。それでは、事務所通信の平成25年3月号とともに「それいゆ通信050号」をお届けします。
今回の事務所通信は、先月に引き続き「財務経営力を高めよう」という特集で、今回は、損益分岐点について解説してあります。毎月の巡回監査終了後、お渡ししている変動損益計算書がどうして大切なのかを知っていただくために、イメージしやすいケーキ屋さんの事例で説明してあります。いくつショートケーキが売れれば、損益トントンになるのか、変動費と固定費とは…など、その考え方の基本を理解したうえで、今後の目標売上高設定、予算設定にお役立てださい。
今回のそれいゆ通信では、昨今の税制改正の目玉である消費税率アップに関連して、自民・公明両党が合意したと発表された「軽減税率の導入」について解説します。今回の両党の合意の内容は、平成27年10月に消費税率が10%に上がることに伴い、「軽減税率」の導入を目指すというものです。あくまで目指すとだけしているのがポイントかとも思われますが、そもそも軽減税率とはどのようなものでしょうか。
これは、税率アップの際に、食料品などの生活必需品の税率を低く据え置いて、国民の負担感を和らげる仕組みで、ヨーロッパ各国が採用しているものです。ただ導入にあたっては、対象とする品目の線引きや、複数の消費税率で商品を管理する企業側の事務負担など解決すべき課題は多く、大きな障壁となっています。
与党が軽減税率の導入に積極的なのには理由があり、消費税増税は所得の少ない人ほど負担感が強まるため、それらの不満を回避したいというのが第一でしょう。所得に違いがあっても、生活必需品の購入はそれほど差があるわけではありませんから、高所得者の所得に占める消費税負担より、所得の低い人の負担割合の方がより高くなってしまうため、不公平感が生じやすくなっていると言えます。これは消費税の逆進性という性質上やむを得ないことなのですが、増税と軽減税率を使い分けて、不満を最小限に抑えて歳入を増やしたいというのが政府の意向でしょうか。
例えば、生活に欠かせない商品やサービスに絞って対象にするなら、少ない収入をもとに生活必需品を購入しなくてはならない高齢者などにとってはありがたい仕組みとなるはずですが、やはり検討課題は多いと思われます。
まずどの品目を軽減の対象とするかが最大の課題となるでしょう。食料品といっても高級品から中食(お惣菜など)、外食までと幅広いですし、そのほかの業界からも、「我々の商品こそが生活必需品!」とのアピールが激しくなってきています。購読されている新聞でも「健康で文化的な最低限度の生活を営むためには、新聞の購読は欠かせない!新聞に軽減税率を!」という広告をご覧になったことがあるかもしれません。このように各業界や各産業のうち、どれに軽減税率を適用するかを決定するのは容易なことではないはずです。また消費税率1%分を軽減することで落ち込む税収を補う財源のあてもまだはっきりしないという問題点もあるように思えます。
来年25年4月に8%への引き上げが迫る中、なかなか議論が深まっていかないのが現状のようです。また本来であれば、増税と合わせてその使い道についてもはっきりと追及していく姿勢が必要ですね。というわけで、私たち個人の生活だけでなく、会社の経営にも大きな影響を及ぼすであろう消費税率の引き上げについては、さらなる続報が入り次第ご報告したいと思っております。