それいゆ通信

インバウンド消費について

それいゆ通信088号

関与先の皆さま

 こんにちは。先日まで満開だった桜も散り始め、だんだんと暖かい日が増えてきました。先週は、当事務所前のさくら通りでお花見やストリートラグビーが開催されとても盛り上がっていました。プロ野球も開幕し、いよいよ外で飲むビールが美味しくなる季節の到来です。あー、楽しみ♪ それでは、事務所通信平成28年4月号とそれいゆ通信088号をお届けします。

 今回の事務所通信は、「消費税改正に備えて再確認したい帳簿の記載事項」を取り上げています。マスコミ報道等にて消費税増税の再延期が取り沙汰されていますが、現状では、平成29年4月から消費税率10%への引き上げが予定されており、それに伴って軽減税率が導入され、税率も複数になります。また、平成33年4月からはインボイス方式の導入も始まり、仕入税額控除の要件が厳格化されます。記帳がきちんとなされているか再確認をしましょう!

 今回のそれいゆ通信は、8日発行の88号ということもあって、中国で縁起の良い数字とされている8の数字が沢山出てきました。そこで、昨年のヒット商品ランキングでも登場した「インバウンド消費」の中でも中国人旅行者の「爆買い」について、現状と今後の動向を考察してみたいと思います。

 観光庁「訪日外国人消費動向調査」によれば、2015年に日本を訪れた外国人旅行者は前年比47.1%増の1,974万人の過去最高となり、日本政府が東京オリンピックのある2020年の目標としていた2,000万人をほぼ達成しました。国・地域別の旅行者数は、ビザ発給要件の緩和や人民元高を背景に、中国が2014年の2倍超の499.4万人に急増し第1位になりました。また、中国人旅行者の1人当たり旅行消費額をみると、283,842円となっていて、これも第1位です。その中でも、買物代が161,974円と半分以上占めていることも特徴です。アジア諸国は、比較的短期間の滞在で買い物を目的として来訪する旅行者が多いため、買物代が高い国が多いといわれますが、この傾向は中国人旅行者で特に顕著です。

 以前は、中国人旅行者の爆買いの対象商品は温水洗浄便座や炊飯器などの高額電気製品でしたが、最近はより実用的で単価の低い日用品へと拡大しています。ビザ発給要件の緩和によって中国からの旅行者が富裕層だけにとどまらず中間所得層にまで広がったことや、日本への旅行者を対象にした日本商品の情報源が増えたことなどが背景として挙げられます。中国人旅行者の品目別購入率の上位をみると、①化粧品・香水、②医薬品・健康グッズ・トイレタリー、③菓子類、④その他食料品・飲料・酒・たばこ、の順位となります。中国では、近年、化粧品や食品などの安全性に対する消費者の関心が急速に高まっており、安全・安心のイメージが高い日本製品が注目を集めているといえます。また、中国人旅行者の旅行情報入手先としては、インターネットが圧倒的であり、化粧品・香水、医薬品・健康グッズ・トイレタリーでは、インターネットの口コミを中心とした情報源に頼った特定商品の指名買いが多くなっています。日本に行ったら買うべき薬、「神薬12」という言葉も流行しました。

 今後は、日本が観光立国として成長していく中で、当面、中国人旅行者数は増加していくと考えられます。ただし、短期的には、中国経済の行先不透明感が高まっていることなどから、中国人旅行者数や旅行消費額を抑制することが懸念されます。また、中長期的には、日本旅行の経験者などが増えていくにつれ、中国人旅行者の訪日目的が変化していくと考えられます。ちなみに、欧米豪諸国からの旅行者は、比較的長期間の滞在で、日本の歴史・伝統文化体験などを目的として訪日する旅行者が多く、相対的に買物代も少ないです。今後、中国人旅行者の行動も買物を主目的としたものから徐々に欧米豪旅行者のパターンに近づき、買物に費やす支出が低下していくのではないかと予想されます。現に今春は、お花見のために訪日したのは欧米豪諸国の旅行者だけでなく、中国人旅行者も多かったと聞いています。日本の花見は世界の花見になろうとしています。歴史認識や領土問題では色々とありますが、お隣さん同士お互いをもっと知るために、文化や伝統でたくさんの交流ができるといいですね。

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