マイナンバー制度における災害対策
2016/05/08
それいゆ通信089号
関与先の皆さま
こんにちは。ゴールデンウィークもあっという間に終わってしまいましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。「目には青葉 山ほととぎす初鰹」といわれるほど、木々も青々と生い茂ってきましたね。食べられない「ほととぎす」は置いておいて、料理人をやっていたこともある身としては「初鰹」は楽しみです。やっぱり初鰹は冷酒かな。最近冒頭でお酒の話ばかりしているような…。閑話休題。それでは、事務所通信平成28年5月号とそれいゆ通信089号をお届けします。
今回の事務所通信は、「外注費」について取り上げています。最近、個人事業主に支払う外注費は、原則的に所得税の源泉徴収の必要がないことや、消費税の仕入税額控除ができること、社会保険料の負担がないことなどから社員との雇用契約を業務委託契約に切り替え、外注とするケースがあります。しかし外注費か給与かについては、税務調査で厳しくチェックされる項目ですので、適正な処理が特に重要です。外注費になるかどうかの判断ポイントの記載がありますので、改めてご確認をお願いします。
以前からお伝えしている通り、マイナンバー制度においてマイナンバーを活用する分野は3つ、「社会保障制度・税制・災害対策」です。我々会計人は税務会計を基本としていますので、社会保障制度も含めた税制に対する情報を皆様にお伝えすることが使命です。しかし、4月14日に発生した熊本地震では、マイナンバー制度施行後、初の災害対策としてマイナンバーが活用されようとしています。そこで、今回のそれいゆ通信では、今まで漠然としていた「マイナンバー制度における災害対策」を取り上げます。
まずは、おさらいです。マイナンバー制度は、住民票を持つすべての人に12桁の番号を割り振り、法令で認められた範囲(社会保障・税制・災害対策)で個人情報を連携させる制度です。運用システムはまだ整備途中で、3年後を目途に活用分野の拡大など見直しを進める予定となっています。
では、災害対策としてどのように活用するのでしょうか。地震などの災害から一定期間が過ぎ、救出と緊急支援の段階が過ぎると、被災地では「被災者台帳」の作成が本格化します。自治体は氏名や住所、被害状況などとともにマイナンバーも台帳に付記します。原則としては、自治体はあらかじめマイナンバーの活用計画を示しておかなければならず、今回地震のあった熊本県では、阿蘇市、宇土市、八代市、多良木町の4つの自治体のみが計画を示していました。しかし、災害時は事後に計画を立てることも良いとされているので、これから計画を立てる自治体も出てくるとみられています。ただ、現段階ではマイナンバーが目に見えて役立つというわけではありません。マイナンバー最大の利点は、ある個人について異なる行政機関が持つ情報を結びつけ、素早く手続きができることですが、マイナンバー制度の導入スケジュール上、それが可能になるのは来年7月です。この点が可能になれば、被災者の税金や社会保険料を減免する措置など、様々な行政機関が関係する支援事務や手続きの簡略化・迅速化が期待されます。
また、熊本地震では、普及の進んでいないマイナンバーカードが脚光を浴びました。例えば、避難所ごとにカードリーダーを接続したパソコンを置き、被災者のカードを読み取れるようにするとします。すると、だれがどこに避難しているかが瞬時に登録でき、どの避難所に高齢者や乳幼児が何人いるかといったデータが即座に分かるようになります。さらに、健康保険のレセプトデータと連携すれば被災者が服用している薬も分かります。そこまで把握することができれば、どんな物資や薬をどの避難所に発送するかといった判断が迅速にでき、より手厚い支援ができるようになります。たしかに、社会保障や税制も重要ですが、地震大国である日本の政府は、災害対策で有効活用ができることをもっと前面に押し出すべきではないでしょうか。そうすれば、マイナンバーカードの普及ももっと進むはずですし、より公平・公正な社会に近づくと思います。
さて、先月末にご案内した通り、温井会計事務所は「税理士法人 TGNそれいゆ」として生まれ変わります。監査体制は今まで通りですが、 税理士3名、職員7名の総勢11名体制で、今まで以上に皆様をサポートいたします。
今後ともご指導、ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします。