ほんのちょっと、贈与税と相続税
2010/05/06
それいゆ通信017号
関与先の皆さま
いつもお世話になっております。ゴールデンウィークはいかがお過ごしでしたか。私は筑波山にハイキングに出かけてきました。天気も良く、新緑に囲まれてとてもよい気分転換になりました。それでは、事務所通信平成22年6月号とともに「それいゆ通信017号」をお届けします。
今回の事務所通信は、『社内の意思疎通』がテーマです。先日、経営コンサルタントと話す機会があり、挨拶が話題になりました。コンサルタントの方は、経営改善を請け負った際、その会社の始業30分前に出向いて、社員が出勤してくる様子を観察するそうです。すると業績の良い会社は、朝の挨拶ができており、社長や上司が率先して挨拶をしているとのこと、反対に業績の悪い会社は、社員が黙って出社してきて、そのまま席に座って仕事を始めることが多いそうです。今回の特集では、挨拶だけでなく意志疎通を良くするいくつかの工夫が載っていますので、ぜひご一読ください。
今回のそれいゆ通信は、贈与税と相続税を取り上げます。相続税が実際に発生するケースは、被相続人(亡くなった人)全体のわずか4%強なのはご存知でしょうか。そのため、「自分は関係ない」と思われている方が大半だと思います。
ところが昨今の税制改正では、課税強化、つまり今まで少ない課税対象に重く賦課されていた相続税を広く浅くの課税ベースに変えていこうという流れがあります。その一方で、相続発生に至るまでにさまざまな贈与税の特別措置や特例が設けられるようになってきています。ここでは、その事前にできる相続税対策をいくつか取り上げたいと思います。
① 年間110万円の贈与税基礎控除:子供だけでなく子供の配偶者や孫などにも使え る方策。例えば年間4人に贈与した場合、5年間だと2200万円も相続財産を減少させる ことができます。
② 贈与税の配偶者控除:婚姻期間20年以上の配偶者への居住用不動産またはその取 得資金の贈与は2000万円まで控除される。また例えば夫の相続財産を生前に妻に移転 しておくことで相続税の最高税率を低くできる可能性もあります。
③ 相続時精算課税制度:2500万円までの財産に対する贈与税の課税を、相続発生ま で繰り延べて相続税で精算する方策。この制度では、相続発生時に合算する金額は贈 与時点のものなので、例えば自社株など将来値上がりが見込めると思う資産を贈与対 象にすることで、値上がり益に対する相続税を減少させることができます。
④ 住宅取得資金の贈与税非課税枠:2010年中は1500万円、2011年中は1000万円まで 住宅取得資金に限り非課税となる方策。これは時限的な制度ですが、直系卑属(子供や 孫)が20歳以上でかつ所得2000万円以下であれば適用することができます。
贈与や相続については、様々な特例や優遇措置があり、税制改正でもたびたび細かく見直しが実施されています。よく知られているように、相続が「争族」とならないためにも、また無用な納税を避けるためにも、ぜひ事前の負担軽減対策を知っておきましょう。信託や遺言など手段や方法も多様化してきており、知らなかったでは済まされない事柄も多くなってきています。
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