財務にも「お国柄」が?!
2010/10/11
それいゆ通信022号
関与先の皆さま
いつもお世話になっております。過ごしやすい日が多くなり、だんだんと秋の気配が近づいていますね。ただ今年の冬の寒さは厳しくなりそうとの報道もあり、つかの間とはいえ、おだやかな日々が長く続くように、また同時に景気が緩やかでも少しは回復してくれるようにと願ってやみません。さて、事務所通信平成22年11月号とともに「それいゆ通信022号」をお届けします。
今回の事務所通信は、とくに税務編の『パート社員の税金と扶養家族の範囲』をご確認ください。普段の業務としての源泉所得税や法人税と違って個人住民税については、市町村が税額を決定するため、馴染みが薄くなりがちですが、パート社員にとっては気になるところだと思います。また女子パート社員のうちには、夫の扶養家族に収まる収入かどうかが勤務時間の重要な目安になっている方も多いかと思います。年末調整の時期も近づいていますので、事務手続きの質問も多くなってくるかもしれません。社会保険上の金額の設定なども合わせてぜひご一読ください。
今回のそれいゆ通信は、財務にも「お国柄」という話です。あくまで上場会社がサンプルだそうですが、財務を地域ごとに集計、比較したところ、こんな地域特性が浮かび上がったそうです。
『関西の企業は借金への依存度が低く、中部の企業は在庫が少ない』
どうやら、関西企業は独立独歩の商人気質を映し、中部企業は在庫管理に長けたトヨタ自動車の影響を強く受けているとのことです。関西企業の自己資本比率(総資本に占める自己資本の割合)は40%と、首都圏企業の34%、中部の36%に比べて一歩抜き出ています。逆に総資産に対する有利子負債(簡単に言うと借入金)の割合は27%で首都圏より5ポイント、中部より7ポイント低くなっているそうです。つまり、自己資本が厚く、借金にあまり頼らないという企業風土を感じます。古くからの商人文化の伝統で、高い自己資本比率は商売人としての信頼の証という意識が根強いのでしょうか。
また、中部企業は資金繰り重視のキャッシュフロー経営が特徴だということです。流動資産に占める在庫の割合がわずか14%となっており、関西の23%、首都圏の19%より著しく低くなっています。根底には、必要な時に必要なものだけを供給するトヨタの「ジャスト・イン・タイム」と呼ばれる生産・在庫管理方式があるとの考察でした。ただ中部地方では、在庫回転率(販売効率の良さを示す指標です)の高さは上場企業に限ったことではなく、中小企業までトヨタの管理手法での巧みな在庫管理が浸透しているとの説もあります。ぜひ参考にしたいところですね。
以上、それぞれ財務の「お国柄」を紹介しましたが、何事にも中庸なのが首都圏の特色というのは少し残念な気もしますね。これらは、あくまで一部の上場企業の統計データの解読でしたが、みなさまの企業はいかがでしょうか。ぜひ経営指標を計算し、どこの地域に似ているか一緒に考えてみませんか。思わぬ特徴がでてくるかもしれません。
では、またお会いできるのを楽しみにしています。