貸倒損失の取扱いについて

貸倒損失の取扱いについて

それいゆ通信095号

関与先の皆さま

 こんにちは。マンション販売大手7社が運営するサイトでのマンション購入希望者への「住んでみたい街」アンケートで、首都圏では2年連続で1位が恵比寿、2位が吉祥寺だったそうです。恵比寿を選んだ理由が「交通の便」、吉祥寺を選んだ理由が「商業施設の充実」といった利便性を上位に挙げていることから、マンション購入希望者の「職住近接」を求める傾向が反映された結果であることがよくわかりますね。それでは、事務所通信平成28年12月号とともにそれいゆ通信95号をお届けします。

 今回の事務所通信では、扶養控除等申告書の記載上の注意点と印紙の貼り忘れ等をメインに、印紙税の基礎知識について取り上げられています。
 主に前者については記載の仕方でよくある記入漏れや間違いやすい箇所についての注意点が紹介されており、後者については課税文書の具体例と課税文書の印紙の貼り忘れや消印漏れがあった場合の留意点について紹介されています。どちらも重要な内容ですので是非ご一読ください。
 株式会社TKC発行「戦略経営者」11月号P.72に当法人が取り上げられました! こちらもどうぞご一読ください。

 今回のそれいゆ通信では、「貸倒損失」について取り上げます。貸倒損失とは、当期に発生した売掛金や貸付金などの金銭債権が取引先の経営不振や倒産により、回収できないことが明らかとなった場合に計上する費用です。
 では、税務上ではどのように取り扱われているのでしょうか。貸倒損失は回収不能となった法人が有する債権の全部または一部の額が、厳密に定められた一定の要件により、その事実が発生した日の属する事業年度に損金算入することが認められています。

 一定の要件とは、法律上の貸倒れ、事実上の貸倒れ、形式上の貸倒れの3つの場合に限定されています。法律上の貸倒れは、債権の全部または一部が会社更生法や民事再生法等の法的手続きにより切り捨てられた場合や債務者の債務超過の状態が相当期間継続し、その金銭債権の弁済を受けることができないと認められる場合で、法人の経理方法を問わず、法的手続きにより切り捨てられた金額または書面による債務免除額が損金算入されます。
 事実上の貸倒れは、対象となる債権の全額が債務者の資産状況や支払能力などからみて回収不能と明らかとなった場合で、その事業年度において債務者に担保物を提供させていたら、その処分後に貸倒れとして経理処理したときに損金算入が認められています。
 形式上の貸倒れは、継続的な取引を行っていた債務者の資産状況や支払能力などが悪化し、債務者との取引停止後1年以上経過した場合や債務者に対する債権の総額が取立費用より少なく、支払を催促しても弁済がない場合で、対象となる債権が売掛金などの売掛債権に限定されており、固定資産の譲渡による未収金、貸付金や未収利息などは含みません。また、売掛債権の額から備忘価額1円を控除した残額を貸倒れとして経理処理する必要があるため、備忘価額の控除を失念した場合には適用要件を満たさず、売掛債権の貸倒れそのものの損金算入が否認されますので注意してください。

 次号以降は、これから年末調整と確定申告の時期を迎えるということで、これらに関連した内容でよく質問を受ける項目について取り上げたいと思います。