公益法人制度改革

公益法人制度改革

それいゆ通信026号

関与先の皆さま

 
 そろそろ花粉症の時期ですね。今年は例年に比べて随分と量が多いとか。私はすでに予防薬を飲んで備えているつもりですが、皆さまもしっかり対策をして花粉に負けずに頑張りましょう。それでは、事務所通信の平成23年3月号とともに「それいゆ通信026号」をお届けします。

 今回の事務所通信は、『ヒットの秘訣』を特集しています。本編で紹介されている「24時間営業の畳屋」は、夜中に畳を張り替えてもらえないかといった問合せが何件かあったことから思いついたサービスだそうです。みなさんの会社にも「変わったお客さんがいた」「普通ではない問合せがあった」など、一風変わった要望などが寄せられることもあるかと思います。そんなときには、ただ「変わったお客さん」ということで終わらせず、新たな商品やサービスを生み出すヒントにならないか検討してみてはどうでしょうか。

 今回のそれいゆ通信では、当事務所業務案内も兼ねて、公益法人改革について説明したいと思います。あまり耳にする機会は多くないと思いますが、平成20年12月から「公益法人改革3法」が施行され、新公益法人制度が始まっています。
 
 公益法人とは、社団法人や財団法人の名称を持つ法人のことで、最近は事業仕分けで取り上げられ、天下りの温床だと指摘されたり、一旦公益法人として設立されてしまえば、一般企業よりも税制面で優遇されているため、営利性、収益性が高い公益法人は膨大な内部留保を持つ点などが問題視されました。その他にも政治資金や官との癒着など様々な問題が表面化したため、今回の大改正となったわけです。
 具体的には、上記の3法施行以降、従来の公益法人は特例民法法人と呼ばれることになり、平成25年11月末までの5年間をかけて、公益性を追求する新公益社団・財団法人へ移行するか、通常の一般社団・財団法人に移行しなければ、解散しなければならなくなりました。この移行のプロセスについては割愛しますが、法人の組織、理事会や評議会などを再構成し、定款を見直し、さらに公益法人新会計基準に基づいて移行申請書を作成するなど揃える書類も多岐にわたるため、外部の専門家に依頼されるケースが多いようです。当事務所でも現在、数法人から申請支援コンサルティング業務を受託しているところです。公益法人というのは、今までディスクロージャーが不要であったこともありブラックボックスとも言われ、、通常の税務顧問とは異なり外部の立場から、公益法人の実情と現実に非常に興味を持って仕事をしています。

 さて、その公益法人改革ですが、最近新聞を賑わしているのがご存じ「財団法人日本大相撲協会」ですね。国技である大相撲の興業を事業とするこの公益法人も例外ではなく、税制のメリットを受け続けられる新公益法人として存続するか、一般企業並みの一般公益法人に移行するかと決断を迫られるわけですが、今回の様々な問題をはじめ、年寄名跡など金銭面の不透明さや反社会勢力との関係が問題視され、新公益法人の認定には依然障害が大きいと思われます。
 ただ、所管官庁の文部科学省からは、公益制度改革とは別に、現状の公益認定自体を取り消す可能性もあるとのコメントが出されているようです。これはどういうことかというと、財団法人として認可を今現在取り消されるとなると、大相撲協会は平成25年11月末のタイムリミットを待たず、即刻解散に追い込まれ、国技館などの膨大な財産はすべて処分、つまり国庫に没収される可能性が出てきます。国技である以上、そのような最悪の事態は考えづらいですが、公益法人改革に則った新公益法人への道は遠く険しくなったのは間違いないと思われます。

 タイムリミットまであと約3年、これからますます公益法人関連のニュースは多くなるはずですし、また改革自体を司るのは内閣府特命大臣である蓮舫大臣で、内閣府のホームページでメッセージも発信しています。ご興味を持たれた方はぜひ一度ご覧になってはいかがでしょうか。