マイナンバーで生活はどのように変わるのか

マイナンバーで生活はどのように変わるのか

それいゆ通信081号

関与先の皆さま

 こんにちは。9月に入り、暑さも少しは和らいできましたね。ただ、雨の日も多く不安定な天気が続いています。夏の疲れが出るころでもありますので、体調管理にお気を付け下さい。また、9月は関東大震災があった月であることから、各所で防災訓練が行われています。大阪府では大規模な防災訓練が行われ、東京では防災ブック「東京防災」が配布されました。皆様もこれを機に防災について考え直してみませんか。それでは、事務所通信平成27年10月号とともにそれいゆ通信081号をお届けします。

 今回の事務所通信は、「会社と社長の金銭取引」について取り上げています。仮払金などは、本来の科目に振り替えるまでの一時的な勘定科目で、本来は月末までに清算しなければなりません。清算できなかったとしても、通常、決算時には残高はないか、あるいはあっても少額であるはずのものです。長期にわたって多額の仮払金が清算されずに残っている場合、税務調査において経理処理がずさんであるとの印象を調査官に与えてしまいますので、ご注意ください。

 今回のそれいゆ通信は、今までのそれいゆ通信で取り上げていた企業の安全管理措置ではなく、今月3日にマイナンバーの利用範囲を金融分野などに広げる改正法も成立したことを受けて、「2016年1月からスタートするマイナンバーで私たちの生活はどのように変わるのか」をご説明します。そもそもマイナンバー制度は、事務の効率化や税・社会保険料の徴収強化、様々な行政手続きの簡略化を進め、暮らしを便利にする狙いがあります。おさらいになりますが、12桁の番号(マイナンバー)は2015年10月5日に決まり、住民票に記載された住所にマイナンバーを記載した「通知カード」が家族の人数分、簡易書留で送られてきます。マイナンバーは原則として生涯変わりません。通知カードとは別に、マイナンバーを記した「個人番号カード」の発行を申請することができます。そしてその個人番号カードには、表面に顔写真と氏名、住所、生年月日、性別、裏面にマイナンバーが記載されます。これは運転免許証やパスポートと同様に公的な身分証明書として使うことができます。自治体によっては公立図書館の貸し出しに利用できたり、コンビニエンスストアでの住民票の取得に使えたりします。一方、生活の様々な場面で番号の提示を求められます。まず、正社員、アルバイト、パートにかかわらず、勤務先にマイナンバーを伝えなければなりません。確定申告、失業手当、児童手当、日本学生支援機構の奨学金の申請にもマイナンバーは必要になります。また、新たな証券口座の開設や、100万円を超える死亡保険金の受取のときにも金融機関にマイナンバーを提示する必要があります。

 次は、行政の仕組みについてご説明します。国の機関は2017年1月にネットワークでつながり、同年7月には市区町村もネットワークに加わります。各機関が管理する個人情報がマイナンバーで結びつけられると、失業手当の申請や児童手当の申請など多くの行政手続きが個人番号カードで済ませられるようになります。また同時に、インターネットサイト「マイナポータル」が利用できるようになります。これは、自分のマイナンバーがいつ、どのように使われたか確認できるほか、確定申告の手続きを簡素化するなどのサービスが検討されています。さらに、預金口座番号とマイナンバーを結びつける仕組みが2018年1月に始まります。これは、別々の金融機関に預けられた資産を把握しやすくして、課税逃れや不正受給などを防ぐ狙いがあります。ただし、口座番号を結びつけるには預金者の同意が必要とされています。政府は、預金口座番号とマイナンバーの結びつきを義務化したいようですが、資産が「ガラス張り」になってしまうことに対する国民の理解を得るのは難しいだろうとの見方が多数です。

 なお、日本年金機構の個人情報流出問題を受けて、基礎年金番号とマイナンバーの結びつけについては予定されていた2016年1月からの運用が延期されることになりました。さすがにこの部分は、強引に成立させなかったようですね。

 さて、皆様ご存じのとおり、当事務所では9月14日、10月7日にマイナンバー研修会を行います。是非この機会にマイナンバーの仕組みを理解し、マイナンバー施行に備えましょう!また、皆様と会場でお会いできるのを楽しみにしています。 (T.N記)