やさしい経済学

やさしい経済学

それいゆ通信070号

関与先の皆さま

 こんにちは。まだまだ日中は汗ばむ日もありますが、朝晩涼しくなりすっかり過ごしやすくなりましたね。皆様はどんな秋をお過ごしですか。読書の秋、スポーツの秋、食欲の秋など皆様それぞれの秋をお過ごしかと思いますが、それにしてもスポーツ!今秋のスポーツ選手たちの活躍はすごいものがありますね。錦織圭選手の全米オープン準優勝、大相撲秋場所での逸ノ城関の金星、先日まで行われていた仁川アジア大会での日本人選手の活躍等々、挙げればきりがありません。また、プロ野球では読売ジャイアンツとソフトバンクホークスがリーグ優勝を決めました。私も大活躍の選手たちに敬意を表して、久しぶりにジョギングでもしようかな。それでは、事務所通信11月号とそれいゆ通信070号をお届けします。

 今回の事務所通信では、パートで働く主婦の税金と社会保険と題して、103万円の壁と130万円の壁について解説しています。いわゆる「103万円の壁」は、パートで働く従業員にとって気になるところであり、また、今年は政府が「配偶者控除の見直し」の議論を始めたことで、「103万円の壁」という言葉が何度も新聞紙上を賑わせた年でもありました。本編では、所得と収入についての混同をさけるために、収入を給与収入のみに限定したうえで、収入という表現で説明しています。パートで働く妻とサラリーマンの夫を例に、収入別に段階的に解説していますので、ぜひご一読ください。

 
 今回のそれいゆ通信は、経済学のお話です。そもそも経済という言葉は明治以降に作られた造語で、「世を治め、民を救う」という中国の「経世済民」という言葉から作られたと言われています。では、経済学とはいったいなんでしょう?

 伝統的な経済学においては、人間の心を「冷徹無比で計算高い人間」、「お金ばかり重視する人間」、「自分の利益ばかりを優先する人間」と定義し、ホモエコノミカス(経済人)と呼びます。そして、このホモエコノミカスは、合理性と行動主義という二つの重要な仮定だけを重視しています。合理性とは、人間の行動に関して、最低限成り立つだろうと考えられる矛盾のなさ、行動主義とは、人間の心の中身がわからなくても、観察される行動から人間の好みがわかるという考え方です。つまり、経済学を考える上では人間の中身を思い煩うことなく、合理的な行動だけに注目して分析すれば事足りると考えられていました。しかし、それで本当によいのでしょうか。

 たとえば、言わずと知れた経済学の父、アダム・スミス。彼は、人間の合理的な利益追求行動が市場メカニズムの調整機能を通じて、社会全体の公益につながることを「国富論」の中で論じていますが、それに先立って、他者への共感を持ち、公平な観察を通じて世の中の秩序の実現をめざす社会的な存在としての人間を「道徳感情論」の中で書いています。「国富論」と「道徳感情論」、二つの著作の異なる人間像をどう考えればよいかというのは、今日なおアダム・スミス問題と呼ばれています。経済学の父アダム・スミスが解けない問題に挑むというのも面白いとは思いますが、かなりハードルが高い気がしますので、経済学を別の角度から考えてみましょう。
 
 上述の通り経済学は合理性・行動と道徳感情の問題ともいえるとは思いますが、現実的には、経済学において重要視される部分は、資源(財産)の最適な配分を考えることではないかと思います。有限である資源をいかにうまく利用するか。そして利用し、時には捨てなければならないときも出てくると思います。つまり、経済学においては「選択」が重要になってきます。当事務所では当然のことながらお客様に最適な提案を致します。そして、お客様も自身の経験に基づいた経済学があると思います。その中で、時にはお客様の譲れない部分や納得のいかない選択もあるかもしれません。是非、最適な選択をし、最高な経済学(財産の最適配分)を一緒に作り上げていきましょう!