成年後見制度について
2016/08/07
それいゆ通信092号
関与先の皆さま
こんにちは。いよいよ夏本番となり、リオオリンピックも開幕を迎えました。報道されている通りリオデジャネイロの治安が心配ですが、皆で日本選手団の活躍を祈りましょう!また、お盆休みを取られる方は、海や山にお出かけされると思いますが、くれぐれも事故には気を付けて楽しんでくださいね。それでは、事務所通信平成28年9月号とともにそれいゆ通信92号をお届けします。
今回の事務所通信では、短期前払費用の計上時期についての注意点が取り上げられています。費用の計上については、法人の利益に関わってくるため、税務調査において入念にチェックされる項目の一つです。短期前払費用は、一定の要件を満たせば、支払時点での損金算入が認められますが、要件を満たしていないと税務調査で否認されることになります。損金算入の認否について事例が紹介されていますので、是非ご一読ください。
今回のそれいゆ通信では、「成年後見制度」を取り上げます。以前は禁治産制度と呼ばれていましたが、平成12年より現在の成年後見制度となりました。民法で規定されているものは法定後見制度と呼ばれ、その対象となるのは、認知症や精神障害などで判断能力が低下した状態が続いている人です。対象者の判断能力の程度によって、後見、保佐、補助という制度を利用することができますが、今回は後見制度に絞って説明します。
成年後見制度を利用する場合、その対象となる判断能力が低下した人を支援し保護するために、本人や親族、市町村長などの求めに基づき、家庭裁判所が後見人を選定します。この後見人ですが、実は特別な資格や研修は必要ありません。親、配偶者、子ども、兄弟姉妹などの親族は親族後見人と呼ばれ、弁護士、司法書士、社会福祉士、行政書士など高度な知識を持った人は専門職後見人と呼ばれます。現在は専門職後見人が過半数を占めています。
選任された後見人は本人に代わって、介護保険などのサービスを契約したり、詐欺まがいの契約を取り消したりする権利を持ちます。つまり、財産の管理や、生活を支えるための身上監護を担うのが後見人の役割ということですね。しかし、法律の専門家は財産管理について高度な知識を持ち合わせていても、身上監護についてはもともと福祉の色合いが濃く、法律の専門家には縁遠いといわれることも少なくありません。また、専門職であるがゆえに敷居も高く感じ、費用も高額になりがちです。そこで、判断能力が低下した人を同じ地域でサポートしていくことを目的として、自治体や大学などが主体となって講習会などを開催して養成した市民後見人を活用しようという動きも広がっています。
いまの日本は高齢化社会ではなく、「超高齢化社会」が到来しています。介護保険を利用する認知症の高齢者は現在300万人で、平成37年には470万人に増加するそうです。また、未婚率が高まり、子供の数も減っていますから、独居の認知症高齢者はますます増える見込みです。専門職後見人や市民後見人など、親族以外の第三者後見人の重要性は今後さらに高まりそうですね。