成年後見制度について

成年後見制度について

それいゆ通信092号

関与先の皆さま

 こんにちは。いよいよ夏本番となり、リオオリンピックも開幕を迎えました。報道されている通りリオデジャネイロの治安が心配ですが、皆で日本選手団の活躍を祈りましょう!また、お盆休みを取られる方は、海や山にお出かけされると思いますが、くれぐれも事故には気を付けて楽しんでくださいね。それでは、事務所通信平成28年9月号とともにそれいゆ通信92号をお届けします。

 今回の事務所通信では、短期前払費用の計上時期についての注意点が取り上げられています。費用の計上については、法人の利益に関わってくるため、税務調査において入念にチェックされる項目の一つです。短期前払費用は、一定の要件を満たせば、支払時点での損金算入が認められますが、要件を満たしていないと税務調査で否認されることになります。損金算入の認否について事例が紹介されていますので、是非ご一読ください。

 今回のそれいゆ通信では、「成年後見制度」を取り上げます。以前は禁治産制度と呼ばれていましたが、平成12年より現在の成年後見制度となりました。民法で規定されているものは法定後見制度と呼ばれ、その対象となるのは、認知症や精神障害などで判断能力が低下した状態が続いている人です。対象者の判断能力の程度によって、後見、保佐、補助という制度を利用することができますが、今回は後見制度に絞って説明します。

 成年後見制度を利用する場合、その対象となる判断能力が低下した人を支援し保護するために、本人や親族、市町村長などの求めに基づき、家庭裁判所が後見人を選定します。この後見人ですが、実は特別な資格や研修は必要ありません。親、配偶者、子ども、兄弟姉妹などの親族は親族後見人と呼ばれ、弁護士、司法書士、社会福祉士、行政書士など高度な知識を持った人は専門職後見人と呼ばれます。現在は専門職後見人が過半数を占めています。

 選任された後見人は本人に代わって、介護保険などのサービスを契約したり、詐欺まがいの契約を取り消したりする権利を持ちます。つまり、財産の管理や、生活を支えるための身上監護を担うのが後見人の役割ということですね。しかし、法律の専門家は財産管理について高度な知識を持ち合わせていても、身上監護についてはもともと福祉の色合いが濃く、法律の専門家には縁遠いといわれることも少なくありません。また、専門職であるがゆえに敷居も高く感じ、費用も高額になりがちです。そこで、判断能力が低下した人を同じ地域でサポートしていくことを目的として、自治体や大学などが主体となって講習会などを開催して養成した市民後見人を活用しようという動きも広がっています。

 いまの日本は高齢化社会ではなく、「超高齢化社会」が到来しています。介護保険を利用する認知症の高齢者は現在300万人で、平成37年には470万人に増加するそうです。また、未婚率が高まり、子供の数も減っていますから、独居の認知症高齢者はますます増える見込みです。専門職後見人や市民後見人など、親族以外の第三者後見人の重要性は今後さらに高まりそうですね。

「130万円の壁」が「106万円の壁」へ

「130万円の壁」が「106万円の壁」へ

それいゆ通信091号

関与先の皆さま

 あっという間に今年も半分を過ぎましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。7月18日は「海の日」ですが、今年から8月11日に「山の日」という祝日が増えました。当初は祝日のない6月に設けようという意見が多かったようですが、ゴールデンウィーク後であることや、連休を取りにくいということもあって、経済効果の観点から8月の制定になったそうです。いよいよ本格的な夏がやってきましたが、熱中症に注意しつつ、暑さに負けずに頑張っていきましょう!それでは、事務所通信平成28年8月号とそれいゆ通信091号をお届けします。

 今回の事務所通信は、「貸倒損失」について取り上げています。法人が有する売掛金や貸付金などの金銭債権が回収不能に陥っているかどうかの認定は、その債務者の財務状況や支払い能力など総合的に勘案して判定されますが、貸倒損失の計上を法人の任意としてしまうと租税回避行為につながる可能性が生じます。税務上、貸倒損失として損金算入が認められる態様と注意点、貸し倒れにならないためにやっておくことの記載がありますので、ご一読ください。

 自社で労務を行っている場合、社会保険の報酬月額算定基礎届の作成が終わり一段落した頃だと思います。しかし、平成28年10月より社会保険に加入しなければならない「130万円の壁」が「106万円の壁」へと引き下げられることはご存知でしょうか。今回のそれいゆ通信では、社会保険の制度改正について触れたいと思います。

 今回の制度改正の背景には、社会保険加入者による恩恵を受けずに働いている人の救済や、女性の社会進出の促進が挙げられます。とはいえ、奥さまがパートで働いているご家庭にとっては、社会保険料を負担する分収入を増やすか、負担しない範囲で働くかは悩ましい問題です。今後の働き方を考えるためにも、制度改正により何が変わるのかをチェックしてみましょう。

 まず、収入が106万円以上で社会保険に加入する条件として、①従業員数501名以上の企業で働いている、②勤続年数は1年以上、③週に20時間以上働いている、④月額賃金8.8万円以上、となっています。この4つの条件全てにあてはまるのであれば、社会保険への加入義務が発生します。

 次に収入が105万円(106万円の壁)の人と今までの基準であった129万円(130万円の壁)の人を実際に比較すると、105万円の人は社会保険料の負担はなく、所得税・住民税の負担が年間約1万円となり、手取り額は104万円程度、ほぼ稼いだ分をもらえます。月収に直すと8.6万円程度です。一方、129万円の人は、社会保険料の負担が年間約18万円、所得税・住民税の負担が約2万円で、手取り額は109万円程度となります。収入105万円の人と手取り額はほぼ変わらなくなりますが、社会保険料を負担しているので、自分名義での将来受け取れる年金額を増やすことができます。また、収入が141万円未満であれば、配偶者特別控除を受けられるというメリットもあります。さらに別の角度から見ると、将来受け取れる年金額の増加以外にも、被扶養者から被保険者になることで、病気やケガで4日以上連続して休職した場合に傷病手当金をもらうことができます。

 社会保険に加入しない程度の収入に抑えるか、加入して目いっぱい働くかは、配偶者の働き方や考え方、お子さまの状況等でも判断が分かれるところかもしれません。社会保険加入にはメリットもたくさんあることを理解したうえで、それぞれのご家庭にあった働き方を検討する必要がありますね。

 安倍首相は、デフレ脱却に向けた経済政策として、来年度から年金の受給資格を得るのに必要な保険料の納付期間を現行の25年から10年に短縮する意向を示しました。これにより、国民年金だけでなく、厚生年金も加入しやすくなりました。ただ、10年間保険料を納めただけではもらえる年金額は1.6万円程度にとどまるため、老後の生活保障としては不十分と考えられるので注意が必要です。

18歳選挙権について

18歳選挙権について

それいゆ通信090号

関与先の皆さま

 こんにちは。雨に映える紫陽花の花が美しい梅雨の時期となりました。気象庁の発表では、6月5日に関東甲信地方が梅雨入りしたとのこと。これは平年より3日早く、昨年より2日遅い梅雨入りだそうです。最近、TVなどのメディアでは「梅雨の時期を楽しもう」ということで、様々な傘の特集が組まれています。従来の金属の骨組みに変わり24本骨なのに骨をグラスファイバー製にして軽量化した傘や、お子様やペットと一緒に入れるように考慮した80cmサイズの傘など、気づかないところで傘も進化してるんですね。私も傘を新調してすっきりと気分転換しようかな。それでは、事務所通信平成28年6月号とそれいゆ通信090号をお届けします。

 今回の事務所通信は、2016年版小規模企業白書による小規模事業者の商圏拡大・売上増加要因について触れています。小規模事業者は、経営資源(人材、資源等)に大きな制約があるうえに、商圏や取扱商品・サービスが限定され、その上、価格競争やリスク対応力が弱く、構造変化の影響を受けやすいといわれています。しかし、2016年版小規模企業白書によると、商圏拡大、IT活用、経営計画作成などの取り組みを通じて、需要を踏まえた販路開拓などが一層活発に行われることが、今後、小規模事業者が持続的に発展していくための鍵になるとしています。特に、経営計画作成については効果を実感する経営者が増加傾向にありますので、経営計画作成や見直しなど、作成経験が豊富な当社に是非ご相談ください。

 ここ数日、街を歩いていると参議院選挙の立候補者掲示板が立ち始めています。そこで、今回は7月10日の参議院選挙から投票可能となる「18歳選挙権」について取り上げたいと思います。6月19日、選挙権年齢を現行の「20歳以上」から「18歳以上」へと引き下げる改正公職選挙法が施行されます。男女普通選挙が実現した1945年の見直し以来、約70年ぶりの選挙権拡大となります。これにより、1998年7月11日までに生まれた人が投票権を得ることになり、18、19歳の約240万人(有権者全体の約2%)が新たな有権者に加わります。そして、選挙権拡大に伴い、18,19歳の選挙運動も解禁され、ツイッターやLINEなどのSNSでの選挙運動も可能となります。一方、禁止事項も多くあります。例えば、メールを使った選挙運動は政党や候補者に限られ、政党などから届いた選挙運動のメールの転送は禁止されています。また、選挙運動を目的としたウェブサイトは、解説者のメールアドレスなどの表示が義務とされています。18、19歳の未成年でも、買収など連座制の適用となるような悪質な選挙違反に関われば、家庭裁判所が原則、検察官送致(逆送)とするので、成人並みの厳しい処罰を受けるという点も注意が必要です。

 そもそも、選挙年齢が18歳へと引き下げられたのはどういった経緯だったのでしょうか。そのきっかけとなったのは、安倍首相が目指す憲法改正に関する手続きを定めた国民投票法でした。改正国民投票法では、国民投票が可能な年齢を18歳以上としたため、その付帯として選挙権年齢も引き下げたという経緯があります。また、少子高齢化も選挙権年齢の引き下げを後押ししました。有権者に占める高齢者の割合が一層高くなる反面、国の借金や社会保障制度など今の若い世代が将来的に影響を受ける課題の重みが増したため、若い世代の声をもっと国政に反映させるべきだという声が強まったことも影響しています。政治は投票率の高い高齢者らに目を配りがちです。日本では諸外国に比べ、子育て支援など、若い世代向けの予算より、介護、医療、年金など高齢者に充てる予算が手厚いといわれています。若者の声が政策に反映されるかどうかは、その投票率が重要な要素になりそうです。すでに高校生は学校の授業で選挙や選挙権について学習されているようですし、お子様やご親戚に18,19歳の方がいらっしゃれば、話し合われてみてはいかがでしょうか。

 ただ、注意点として、国民投票年齢、選挙権年齢は下がっていますが、民法が規定する「成人」の年齢は「20歳」のままです。当然、お酒やたばこなどは従前どおりの取り扱いです。こういった点も踏まえると、大人の定義を巡る議論は今後も続きそうですね。

 安倍首相は選挙の争点として、消費税増税を延期したということの「国民の信を問う」と表明しているそうです。延期した分の財源についてこれから議論していくことになるとは思いますが、私たちの納めた税金が適正適所に使われるようきちんと見守っていきたいですね。この点はどこかの知事のように不透明な会計処理が行われないことを願っています。

マイナンバー制度における災害対策

マイナンバー制度における災害対策

それいゆ通信089号

関与先の皆さま

 こんにちは。ゴールデンウィークもあっという間に終わってしまいましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。「目には青葉 山ほととぎす初鰹」といわれるほど、木々も青々と生い茂ってきましたね。食べられない「ほととぎす」は置いておいて、料理人をやっていたこともある身としては「初鰹」は楽しみです。やっぱり初鰹は冷酒かな。最近冒頭でお酒の話ばかりしているような…。閑話休題。それでは、事務所通信平成28年5月号とそれいゆ通信089号をお届けします。

 今回の事務所通信は、「外注費」について取り上げています。最近、個人事業主に支払う外注費は、原則的に所得税の源泉徴収の必要がないことや、消費税の仕入税額控除ができること、社会保険料の負担がないことなどから社員との雇用契約を業務委託契約に切り替え、外注とするケースがあります。しかし外注費か給与かについては、税務調査で厳しくチェックされる項目ですので、適正な処理が特に重要です。外注費になるかどうかの判断ポイントの記載がありますので、改めてご確認をお願いします。

 以前からお伝えしている通り、マイナンバー制度においてマイナンバーを活用する分野は3つ、「社会保障制度・税制・災害対策」です。我々会計人は税務会計を基本としていますので、社会保障制度も含めた税制に対する情報を皆様にお伝えすることが使命です。しかし、4月14日に発生した熊本地震では、マイナンバー制度施行後、初の災害対策としてマイナンバーが活用されようとしています。そこで、今回のそれいゆ通信では、今まで漠然としていた「マイナンバー制度における災害対策」を取り上げます。

 まずは、おさらいです。マイナンバー制度は、住民票を持つすべての人に12桁の番号を割り振り、法令で認められた範囲(社会保障・税制・災害対策)で個人情報を連携させる制度です。運用システムはまだ整備途中で、3年後を目途に活用分野の拡大など見直しを進める予定となっています。
 
 では、災害対策としてどのように活用するのでしょうか。地震などの災害から一定期間が過ぎ、救出と緊急支援の段階が過ぎると、被災地では「被災者台帳」の作成が本格化します。自治体は氏名や住所、被害状況などとともにマイナンバーも台帳に付記します。原則としては、自治体はあらかじめマイナンバーの活用計画を示しておかなければならず、今回地震のあった熊本県では、阿蘇市、宇土市、八代市、多良木町の4つの自治体のみが計画を示していました。しかし、災害時は事後に計画を立てることも良いとされているので、これから計画を立てる自治体も出てくるとみられています。ただ、現段階ではマイナンバーが目に見えて役立つというわけではありません。マイナンバー最大の利点は、ある個人について異なる行政機関が持つ情報を結びつけ、素早く手続きができることですが、マイナンバー制度の導入スケジュール上、それが可能になるのは来年7月です。この点が可能になれば、被災者の税金や社会保険料を減免する措置など、様々な行政機関が関係する支援事務や手続きの簡略化・迅速化が期待されます。

 また、熊本地震では、普及の進んでいないマイナンバーカードが脚光を浴びました。例えば、避難所ごとにカードリーダーを接続したパソコンを置き、被災者のカードを読み取れるようにするとします。すると、だれがどこに避難しているかが瞬時に登録でき、どの避難所に高齢者や乳幼児が何人いるかといったデータが即座に分かるようになります。さらに、健康保険のレセプトデータと連携すれば被災者が服用している薬も分かります。そこまで把握することができれば、どんな物資や薬をどの避難所に発送するかといった判断が迅速にでき、より手厚い支援ができるようになります。たしかに、社会保障や税制も重要ですが、地震大国である日本の政府は、災害対策で有効活用ができることをもっと前面に押し出すべきではないでしょうか。そうすれば、マイナンバーカードの普及ももっと進むはずですし、より公平・公正な社会に近づくと思います。

 さて、先月末にご案内した通り、温井会計事務所は「税理士法人 TGNそれいゆ」として生まれ変わります。監査体制は今まで通りですが、 税理士3名、職員7名の総勢11名体制で、今まで以上に皆様をサポートいたします。
 今後ともご指導、ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします。