祝100号
2017/04/12
それいゆ通信100号
関与先の皆さま
皆さま、こんにちは。温井德子です。今回は「それいゆ通信100号」であり、日頃なかなかお会いできない皆さまに是非ともお礼を申し上げるべく寄稿することになりました。
思い起こせば平成21年1月、多くの方に通し番号を付けると休めないから「〇月号」とするのが長続きする秘訣とアドバイスを頂戴したにもかかわらず、無謀にも001号としてスタートしたことを覚えています。そこから8年が過ぎ、担当者も数度の変更がありましたが、現在では入社して最初の業務がお客様の社名を覚えることと、それいゆ通信の執筆になっています。
現在の税理士法人TGNそれいゆは、その前身の温井会計事務所が本年1月で14周年を迎えました。これはひとえに、皆さまに支えてきていだだいたからに他なりません。本当に言葉では言い尽くせないほど感謝しております。最初は7坪の1フロアで父と二人で始めた事務所ですが、現在では八重洲事務所5名、八丁堀事務所7名の大所帯になりました。お客様も業種や規模など様々に広がり、最近では外国人社長の法人も増えてきております。弊社一同は、皆さまがいつも真摯に経営に取り組んでいることを支援できる喜びを感じ、また関与先企業のより良い業績と繁栄のために何が出来るのかを常に社内での検討課題としています。
そこで15年目の今年、更にお客様との関わりを深め、より身近な相談相手として活用いただくことを目的として、提供業務の大きな転換を図ろうと考えております。それは、多くの方には従来よりご案内をしていますが、経営計画策定の支援の充実です。
事業計画や経営計画というとどのようなイメージをお持ちでしょうか。弊社では最近、上場企業やその一歩手前のお客様のセカンドオピニオン業務の依頼があり、その際に感じるのは、いわゆる大企業にあって中小企業にないものは、事業計画、特に中・長期経営計画だということです。誤解を恐れずに言うならば、税務会計の上では、会計ソフトや販売管理ソフト等の普及により、取引数の多寡はあるにせよ、業務レベルは大企業も中小企業も大差ありません。むしろ、中小企業の方が緻密な会計処理をし、社長と経理担当者が細部まで把握していることも多いと感じています。
一方、こと話が未来会計である経営計画に基づく管理会計に及ぶと、3年後や5年後、それどころか1年後の計画さえ数値化せずに日々仕事をされている中小企業とその社長様がほとんどではないでしょうか。海図を持たずに出航する船長さんはいないはずです。海図や羅針盤を手に、実際の運航を調整し、目的の場所へたどり着く、これは皆さんの会社経営と何も変わるところはありません。
先月、ドイツのハノーファーで行われたCeBIT(セビット)というITビジネスの国際見本市に参加し、新しい会計システムを各国企業に向けて紹介する機会がありました。その会計システムというのは、海外の異なる科目配置基準や異なる言語による壁を越えて、世界中のあらゆる会計ソフトを皆さまが今、現にお使いの会計システムと日本語で直接連携させるという非常に画期的なソフトウエアで、確かに見本市では注目を浴びました。ところが、プレゼンテーションの合い間に他社や他国の展示ブースに行ってみると、AIやさらにそれを利用したディープラーニング(IBMのワトソンが有名ですね)、様々なIT技術のデモンストレーションに圧倒されました。
我々会計業界では、IT技術は昨今Fintechという名称で、預金通帳をデータ化して読み込ませたり、スマホで領収証を画像として取り込むことで会計伝票が自動起票される仕組みとして、既に活用されている会社も多い技術です。そして現在はまだ、仕訳辞書を活用して起票している分についても、システムの進化に伴い、入力は次第に減っていき、すべてが自動起票になる日も近いと考えています。さて、その場合、社長や経理担当者のなすべき業務はどのようになっていくでしょうか。せっかく手元に、最新で正しかろう(最終的に適正かどうかは、月次監査が必要ではありますが)データが揃っているのに、その先の見通しはどのように検討していくのでしょうか。
私見ですが、ここで必要になるのは、1年先、あるいは3-5年先を見据えた経営計画との比較検討、それを踏まえた改善だと考えています。ドイツのCeBITにおいても、AIは今のところ、1を5する、あるいは1から正しく10を導き出す計算に関しては、過去の膨大なデータを基に自動化できていますが、0を1にする、つまり何もないところから何かを生み出す、ゼロから将来の計画を策定していくことは今しばらく時間が必要のように感じました。さらにいうなら、今現在、数字に表さずとも既に社長の頭の中にあるビジョンを計画として数値化し、立案していくのはAIにはまだ荷が重いはずです。この社長の頭の中の考えや想いの整理を助け、数字に起こしていく支援、これこそが15年目を迎えた我々の使命なのだと強く感じたドイツ出張でした。
さっそく今月から経営計画策定支援の担当者を選任しました。これから順次、皆さまにご連絡して、まずは当期と来期の経営計画の策定をご支援します。初年度ですから、まずは前年決算と比較して自社がどのようになっていくかの予測を相談してみてください。経営計画が出来上がると、進捗が気になり、未達成の予算数値について修正をしたいと感じるかもしれません。その場合は四半期または半期での見直しをする、あるいは一度確定したものは通年で執行状況をモニタリングし続ける、どちらも正しい予実管理の向き合い方だと思います。未来会計ともいわれるこの経営計画に基づく業績管理には、正解も不正解もなく、また会社ごとにニーズが異なり、ゴールもありません。ぜひ我々と、過去実績である月次の数値だけでなく、それに基づいた御社の未来について対話を重ねていきましょう。
弊社のある八重洲さくら通りでは、毎年4月初旬には桜祭りがおこなわれています。新入社員が入社した会社も多く、いよいよ春に向かっていくウキウキした気分のこの時期にぜひ明るい、そして堅実な未来設計に取り掛かりましょう。計画策定についてはご支援を継続的に行い、また皆さまにご満足していただける業務を提供するよう、職員一同努めてまいります。今後ともどうぞご指導、ご鞭撻の程お願い申し上げます。
月別: 2017年4月
★新入社員歓迎会★
税金の歴史
税金の歴史
20/03/06
それいゆ通信099号
関与先の皆さま
春まだ浅く、風に冷たさが感じられる今日この頃、つつがなくお過ごしでしょうか。今年の冬は気温の寒暖差が激しいので、関与先の皆さまも体調管理にはくれぐれも気を付けましょう。それでは、事務所通信平成29年4月号とともにそれいゆ通信99号をお届けします。
今回の事務所通信では、決算手続について取り上げられています。決算日までの手続きとして滞留債権、不良債権への対処、死蔵品、たなざらし品の処分、固定資産の確認があります。決算手続は、期末における財産(資産・負債)の一切を帳簿から離れて、その実在性や網羅性を確認し確定することにあります。「資産として実在しているか」だけでなく、将来のリスクに備える意味で資産としての評価の妥当性についても検討することが必要です。決算手続で重要な項目ですので是非ご一読ください。
今回のそれいゆ通信では、確定申告の時期ということもあり、引き続き税金について取り上げます。今回は税金の歴史のお話です。税金の起源を歴史的な流れで見ると新鮮な発見もありますので紹介いたします。
日本では3世紀頃、魏志倭人伝に日本の税に関する最初の記述があるそうです。卑弥呼が支配する邪馬台国では、税が納められていたと記述されています。その後飛鳥時代に入り、有名な大宝律令による租庸調という税の仕組みが整備され、稲や絹、特産品その他労働(年10日間都で働く!)まで様々なものを納めていました。
奈良、平安、鎌倉、室町時代には、基本的には年貢を納め、納税者は主に農民でした。鎌倉時代に入ると更に不役(労働で納める税)も課せられ、納税の負担が増してきます。室町時代には、商業活動の発達で商工業者に対しても税が課せられ、街道の関所では、関銭(通行税)などが税となりました。税の細分化と納税者の対象も農民、商人へと拡大されています。
安土桃山時代には、豊臣秀吉が税金の徴収を厳格にしていきます。太閤検地により全国の田畑の広さを測り、年貢取り立ての基準「石高(こくだか)」を定めました。当時の税率はかなり高く、収穫の三分の二を年貢として納めていたそうです。豊臣政権は割と苛政だったという説もあります。
江戸時代では、農民は田畑に課税される年貢の地租が中心で米などを納め、商工業者に対する税も、運上金・冥加金(同業者に商売の特権を認めるかわりに納める税)といった形で納められました。明治・大正・昭和時代から税金も現代的になります。明治時代には地租改正で地価の3%を地租として貨幣で納めるようになり、更に所得税や法人税もこの時代から始まります。1946年には日本国憲法の公布で納税の義務も定められます。納税者の対象が全国民へと変わります。
歴史的に見ると、時代のプレーヤーとして影響力を持つと納税者となるようです。古くから農民が納税の対象者となってきたのは、国の食を支える仕事をしていたからです。経済が発展することで経済を動かす商人も対象者となり、一方で税の恩恵を受けてきた特権階級者も明治以降には特権が剥奪され、納税者へと立場が変わります。こうして納税者が全国民に課せられるようになります。納税者であるということは、その時代を担っていることであると考えると税金についても興味を持たれるのではないでしょうか。
税務署と都県税事務所の違い
税務署と都県税事務所の違い
20/02/05
それいゆ通信098号
関与先の皆さま
立春を過ぎたとはいえ、本格的な寒さはまだしばらく続くのではと思われる時期ですが、いかがお過ごしでしょうか。そろそろ首都圏では花粉症の予防、対策などを取り上げた番組や雑誌等が出てくる頃です。北海道では、スギ等の植生が限定的なため花粉症に罹る人が少ないので、私もまだ花粉症の洗礼を受けておりません。このまま未経験で過ごしたいものです。花粉症の方はくれぐれもご自愛ください。それでは、事務所通信平成29年3月号とともにそれいゆ通信98号をお届けします。
今回の事務所通信では、税務調査のポイントについて取り上げられています。税務調査による申告もれの指摘や追徴税額を受けるケースが増加しているというデータが概要や図表とともに紹介されています。安心して税務調査を受けるポイントとしては、日々の記帳を正しく行う、月次決算を行い巡回監査を受けるという2つがあります。この両者を実践することで決算書の信頼性が高まり、更に経営分析に役立つ資料にもなります。そして、その一助となるものとして書面添付制度の活用も別枠で紹介されていますので、是非ご一読ください。
今回のそれいゆ通信では、確定申告の時期ということもあり、税金を取り扱う税務署と税事務所の違いにについて取り上げたいと思います。「署」と「所」の違いを調べてみると字以上に異なるもので、税金に対する理解が深まるものと感じましたので紹介いたします。
税務署と税事務所の違いは、国税と地方税という税の種類によって分けられています。国税は国に納めるもの、地方税は住んでいる都道府県や区市町村に納めるものです。当然管轄組織も違います。ご存知の税務署は国税庁の地方出先機関のことで所得税、法人税、相続税などの国税を取り扱います。税務署は、国税庁や国税局の指導及び監督のもとに、内国税の賦課・徴収を担当する最前線の執行機関であり、納税者と最も密接なつながりを持つ行政官庁です。全国に524 署置かれており、それぞれ各国税局、沖縄国税事務所に所属しています。そして、国税庁は財務省の外局に位置付けられています。
一方、地方税は県税と市町村税に分かれ、扱う機関も違います。前者は都道府県税事務所、後者は市役所、町役場、村役場(税務課など)になります。都道府県ということから総務省が上部組織となります。
しかし、税目によって国税と地方税が密接に関わっているものもあります。例えば、自動車税や自動車取得税は都道府県が課税するので、税事務所が担当する事になります。ですが、同じく自動車の税金である自動車重量税は国税となりますので、税務署の管轄になります。また、軽自動車税は市町村が課税するので市町村税となり市役所などが取り扱います。
通常、税金の支払いに関しては、納税通知書通りに支払っていますので、納付先がどの機関であるかはあまり気に留めない人も少なくないのではないでしょうか。ただ、こうした事情を知ると税金の使い途がどのようになっているのかをイメージしやすくなるかもしれません。
なお、税務署と税事務所では、取り扱う種類は異なりますが、基本的な税金に関する法律は同じです。税金の納付先という観点から税金を見ると通常にはない税金の捉え方ができると思いますが、関与先の皆さまはどう感じましたでしょうか。以上、今号のそれいゆ通信でした。(N.Y)