あなたの金融資産構成は?
2014/09/05
それいゆ通信069号
関与先の皆さま
こんにちは。8月も終わり、朝晩少しずつ気温が下がって過ごしやすくはなりましたが、雨の日が多いのが気になりますね。今年は8月の台風が1個しか発生しておらず、その反動が今月に来るとの予測もあります。8月後半に連日報道がありましたが、水害は大変な被害をもたらしました。また今月は関東大震災があった月。小学校の時の防災頭巾を被った防災訓練を思い出します(あぁ懐かしい)。これを機に、今一度防災について考えるのもよいかもしれません。備えあれば憂いなし。それでは、事務所通信10月号とそれいゆ通信069号をお届けします。
今回の事務所通信では、経営者ならば誰もが気になる「残業代」をめぐる2つの動向を取り上げています。固定残業代の制度については、残業代を計算する手間が省けるうえ、人件費の総額が把握しやすいというメリットがあるため導入する企業が増えています。ところが、残業代を巡る裁判において、経営者にとっては厳しいと言える判決が相次いでいることから注目する必要がありそうです。また、労働時間の長さと賃金のリンクを切り離す制度の議論も活発になっているとの情報もあります。ぜひご一読ください。
今回のそれいゆ通信は、日本の家計における金融資産構成についてのお話です。皆さんはご自身の金融資産のうち現預金の保有割合はどの程度でしょうか?日本人は元来農耕民族であり、家の財産を増やすよりも大事に守って次世代に受け継ぐという国民性があります。そのため、現預金の比率を米国家計と比べるとその割合はかなり高めのようです。日銀の資金循環統計によりますと、2014年現在、日本の家計における金融資産残高は1630兆円あり、このうちの53%(864兆円)が現預金で保有されているそうです。そして、保険・年金準備金が27%、リスク性のある資産での保有は株式9.1%、投資信託4.8%、債権1.8%です。対して米国家計の資産構成では、保険・年金準備金は31%とそれほど変わらないのですが、現預金が13%、株式が33%、投資信託が12%、債権が8%となっており、米国では家計の中でリスク性資産の占める割合が高くなっています。日米での資産構成はこんなにも違うのですね。
確かに、バブル経済の崩壊やリーマンショック等を見ると現預金での資産保有というのはリスクがないように思えます。しかし、現預金で資産を保有することにもリスクがあります。それは物価の上昇です。物価が上昇し、それが続く場合には、モノの価値が高くなる分お金の価値は下がってしまうので、現金保有や預金をすることでは安全に資産を守ることはできなくなってしまいます。
以前から、モノポリー(不動産取引のボードゲーム)、ファミコン時代でも株取引のゲーム等、子ども向けの資産運用練習ツールはありましたが、昨今、文部科学省の中央教育審議会でも「金融リテラシー(利用能力)の向上」を目的として、子どものころからの金融教育を進めています。実際にどれほど浸透しているかは定かではありませんが、お年玉は「ムダ遣いしないで貯金しなさい」から「株に投資しなさい」という世の中になるにはもう少し年月がかかりそうですね。しかしこんな話も。以前、「時代の寵児」「もの言う株主」として世間を騒がせた村上世彰氏には、小学生の頃すでに株取引のキャリアをスタートしていたという逸話があります。これは、父親が小遣いの支払いを廃止する代わりに100万円の現金を渡したことに端を発するもので、この資金を元手に株式市場で小遣いを捻出していたそうです。村上世彰氏の結末は皆様ご存知の通りなので、リテラシーだけでなく、コンプライアンス(法令順守)も同時にしっかりと教えるように指導してほしいものです。
冒頭で申し上げた通り、防災についても、そして金融資産構成についても見直す時機かもしれません。それではもう一度。備えあれば憂いなし!