マイナス金利発動!
2016/02/08
それいゆ通信086号
関与先の皆さま
早2月となりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。まだまだ寒い日が続いておりますが、立春も過ぎ、徐々に日脚が伸びてきて春に向けての準備が進んでいる気がします。今シーズンはインフルエンザの流行が遅れているようで、これからピークを迎えるそうです。2月16日(火)からは確定申告が始まり、多くの関与先様が3月に決算を迎えられ、忙しい時期となりますので、しっかりと手洗い・うがいをし、インフルエンザ予防をしましょう。それでは、事務所通信平成28年3月号とそれいゆ通信086号をお届けします。
今回の事務所通信は、3月に決算を迎える企業も多いため、『決算期をまたぐ売上計上等の「期ズレ」に注意しよう』と題して、決算のための確認事項を解説しています。期ズレとは、売上取引が決算日をまたいで行われたときに、売上計上の誤りが起こることをいいます。今期に計上すべき売上等が来期に計上されてしまうと法人税額に影響するため、期ズレは税務調査においても厳しくチェックされるところです。また、売上以外にも決算日前後に発生する経費についても注意点があります。ご一読いただき、不明点は、お気軽にご質問ください。
今回のそれいゆ通信では、1月28‐29日に開かれた日銀の金融政策決定会合で決定した「マイナス金利」を取り上げます。これまで実施してきた量的緩和策に加えて、金融機関から預かっている当座預金の一部に対してマイナス金利を付与するということですが、一体どのような仕組みなのでしょうか。
通常、金融機関にお金を預けると一定の利子(金利)を受け取ることができます。しかし、「マイナス金利」では、お金を預けると逆に利子を取られることとなり預金の手数料を支払うような形となります。そうなると心配なのは、私たちが金融機関に預けた預金はどうなるかということになりますよね。今回、日銀の決定したマイナス金利では、金融機関に預けている一般的な預金についてはマイナス金利の適用はありません。マイナス金利が適用されるのは、金融機関が日銀に預けているお金の一部です。金融機関は、万一の預金の払い戻しなどに備えて、日銀に一定のお金を預けることが法律で義務付けられています。今まで日銀は、義務付けの範囲を超えて金融機関が日銀に預けているお金に年0.1%の利子を付けていましたが、2月16日から、このお金の一部にマイナス0.1%の金利を適用することになりました。これは金融機関に対してお金を余らせないようにする措置といえます。それでは日銀は、どうしてそのようなことをするのでしょうか。これまで日銀は、世の中に出回るお金の量を増やして、個人や企業がお金を借りやすくすることで消費や投資を活性化させ、それによって物価を押し上げてデフレ脱却を実現しようとしてきました。しかし、これまでは0.1%の利子が付くので日銀がいくらお金の量を増やしてもその多くが日銀への預金に回っていましたが、これからは日銀にお金を預けると、一部はマイナス金利によって手数料を支払わなければならなくなります。そうなると金融機関は手数料を支払いたくないので、日銀に預金をせず、必然的に世の中に出回るお金の量が増えるということになります。
では、世の中のお金の量が増えると、私たち個人や企業にとってどのような影響があるのでしょうか。良い影響として、個人は、住宅ローンや自動車ローンなど金融機関からお金を借りる際の金利引き下げで購入がしやすくなります。同様に、企業も金融機関からの借入金の金利負担が軽減されます。一方、悪い影響としては、個人が金融機関に預けている定期預金や普通預金の金利が低下し、生命保険会社の運用利回り悪化の影響も受けて保険料の値上げも予想されます。そして、企業は、金融機関の金利収入減少による業績悪化の影響を受け、資金調達が難しくなる恐れがあります。
当事務所にとっては、身近な存在の日銀(場所的に)。様々な金融政策を駆使して、景気にも早く立春が到来してほしいですね。