修繕費と資本的支出について
2016/10/07
それいゆ通信094号
関与先の皆さま
こんにちは。最近ヤフーの副社長が週休3日制の導入を検討しているという報道がありましたが、報道によると単純作業は人工知能にし、従業員に人間にしかできない創造性の豊かな仕事に時間を充ててもらうことで生産性を向上させることが主な目的だそうです。日本は諸外国に比べて労働時間が長いといわれていますので働き方の多様化が今後広がりそうですね。それでは、事務所通信平成28年11月号とともにそれいゆ通信94号をお届けします。
今回の事務所通信では、金融機関が融資の際に中小会計要領を求める理由について取り上げられています。金融機関は、融資先企業から提出された決算書が客観的な会計ルールに基づいて作成されたものかを判別するために、この中小会計要領に則したチェックリストの提出を求めているそうです。
具体的に金融機関が中小会計要領に基づいて作成された決算書のどの部分に着目して融資や支援に役立てているのかについて紹介されていますので、是非ご一読ください。
今回のそれいゆ通信では、「修繕費」を取り上げます。修繕費とは事業所や備品などを修繕する際に発生するものですが、固定資産の修理・改良等のために支出した金額のうち、支払った年に支払額全額を経費とすることができる場合と固定資産の取得として複数年にわたって減価償却する場合の2つに分けられます。
一般的に固定資産の通常の維持管理・メンテナンス費用や毀損した固定資産を原状回復するための支出は、修繕費として全額経費にすることが認められています。それに対して固定資産の価値を高めたりその耐久性を増加させたりするような使用可能期間の延長をもたらすための支出は、修繕費ではなく資本的支出として固定資産として取り扱われ減価償却の対象となるので、毎期の経理処理において注意が必要です。
修繕費と資本的支出の判断は難しく、実務上、固定資産の修理・改良等のために支出した金額が修繕費と資本的支出のどちらに該当するのか明確に区分できないケースが多く見受けられます。そのため、一定の判定基準が設けられおり、1度の支出が20万円未満の修繕にかかる費用、おおむね3年以内の周期で行われる修繕に係る費用などについては修繕費とされています。また、建物の非常階段の取り付けなど物理的な付加に係る費用、用途変更のための改造・改装等に係る費用などについては資本的支出とされています。
したがって、修繕費と資本的支出の判断を誤ると、両者とも最終的には同じ税額を納めることになったとしても資金繰りに影響します。また、大規模な修繕を行って工事会社に見積書・請求書を作ってもらう際に、工事内容を詳細に記載してもらわずに修繕費と資本的支出の計上を誤ると、その年度の利益について誤った申告がなされていたことになり、過少申告加算税等のペナルティを負う可能性があるため、できるだけその判断をきちんと行わなければなりません。
今回の内容は、前号の「減価償却」に関連する内容として「修繕費」を取り上げましたが、関与先の皆さまにとって少しでもご理解の一助になれば幸いです。