うさぎ税とは
2014/08/09
それいゆ通信068号
関与先の皆さま
こんにちは。猛暑がつづいていますね。台風も接近しているようです。そろそろ夏休みを取られる皆さんもいらっしゃるのではないでしょうか。夏バテや熱中症に気をつけて、夏を精一杯楽しみましょう。それでは、事務所通信9月号とそれいゆ通信068号をお届けします。
今回の事務所通信では、「外形標準課税」について解説しています。次回の税制改正に向けて、資本金1億円以下の中小企業にも導入が検討されている外形標準課税ですが、いったいどのような税金でしょうか。様々な反対意見が多いですが、万が一、導入が決まれば、赤字であっても税負担が生じることになり(今までは均等割だけでしたが、さらに増えるという意味です)、少なくない影響が生じることとなります。本編では基本的な仕組みについて解説してありますので、ぜひご一読ください。
今回のそれいゆ通信は、税金のよもやま話です。さて、明治時代に本当に存在したおもしろ税はなんでしょうか??これは、小学校で租税教室などをやるとまず聞いてみるクイズです。答えは「うさぎ税」です。
明治時代という時代背景を考えると、うさぎの毛、皮、肉、そのすべてが生活に重宝されており、うさぎの飼育は民の生活に大いにメリットがあったようです。また珍しい種類であれば、投機対象にもなったため、売買で大儲けする人も現れて、そもそも繁殖や飼育が非常に簡単ということから、一時期はうさぎバブルのような状態があったそうです。新品種や希少品腫のバブルといえば、17世紀のオランダではチューリップの球根の売買を巡るチューリップバブルがよく知られているところですが、似たようなことが日本でも起こっていたのですね。オランダの場合は、この球根への投機が規制されるだけでしたが、日本においては、税務当局はうさぎ熱を冷ますと同時に、うさぎの保有に担税力(税金を負担できる能力)があるとして、課税体制を敷くこととしました。
そのうさぎ税の内容はというと、課税標準はうさぎの羽数であり、飼育数が増えるほど税金が増える仕組みでした。税額はというと、1羽当たり1円で、当時の1円はなんとお米30㎏に相当したとか。かなりの高額の税金のように思えますが、時代はなんといってもうさぎバブルですから、税金の分を差し引いても売買などで儲けた人が多かったと考えられます。ちなみに、建物や機械と違って価値の減耗はなく、つまりゼロか100かで減価償却はありませんでした。命なのですから、当たり前といえば当たり前ですね。
うさぎを飼育している人は、総飼育数に応じた税額を自主申告し、納税するという制度だったそうですが、無申告で後日保有が判明した場合は、なんと本税の2倍の過怠税が罰金として課せられました。うさぎの飼育数をカウントして適正申告かを確認する調査官がいたというのは面白い話です。とはいえ、さすがにそんなブームも長くは続かず、うさぎ税も6年余りで消滅しました。その後、元の普通の家庭の衣食用の飼育のみに収束していく・・・と思いきや、税金がなくなったため、第二次うさぎバブルがやって来たとか。懲りないですね。
現在、法人税を世界基準である20%台にまで下げるという案を政府が検討しているのはご存じの通りですが、その分減収となる税収を補完する仕組みについての議論が進んでいないようです。今一番のターゲットは、現行法で優遇されている中小企業の軽減税率適用の廃止です。確かに資本金が小さいというだけで、大企業と同等の売上や利益の法人もあります。時代に適合する税制を構築するために、何が担税力を有するのか、今こそ厳しい視点からの見極めが大切だと思います。また今年も年末に向けて税制改正の論議が活発になっていきますので、ぜひ皆さまも今後の税制の行方に関心を持ってみてください。