消費税の転嫁について

消費税の転嫁について

それいゆ通信060号

関与先の皆さま

 こんにちは。ついに冷たい風の吹く本格的な冬が訪れて、今年ももう残り1カ月を切りましたね。いよいよ慌ただしい日々に追われていることと思います。忘年会の時期でもありますが、体調管理をしっかりして、元気に今月も過ごしましょう。それでは、事務所通信平成26年新年号とそれいゆ通信060号&毎年恒例のおまけ「一粒万倍日カレンダー」をお届けします。

 今回の事務所通信では、新年企画として、幕末の思想家・山田方谷を取り上げています。彼の政治や社会に対する考え方が、今再評価されているようですので、改めて略歴をご紹介します。

 山田方谷は、5歳から新見藩の儒学者である丸川松隠に教えを受け、その勤勉さから20歳の時、備中高松藩の士分に取立てられ、京都や江戸での遊学において陽明学を学び、藩校・・有終館の学頭を任される。その後、元締役として藩政に参加し、大胆な改革によって、破綻寸前の藩の再建に成功する。藩主・板倉勝静が幕府の老中に就いたことで幕政にも参加したが、明治維新後は多くの招聘の声を断り、一民間教育者として亡くなりました。本編の特集では、現代の経営改善につながる記事となっています。ぜひご一読ください。

 今回のそれいゆ通信は、消費税の増税への対策をご説明します。こちらをお読みいただく前に、事前に事務所通信の4ページ目にある「消費税増税後の納税額シュミレーション」を確認しておいてください。
 

 消費税の実務的な対策としては、価格転嫁を確実に実行するということがあります。本編で確認いただいた通り、価格転嫁できない場合だけでなく、転嫁できた場合でも、税率アップに伴って納税額は確実に増加することになります。それは、消費税という税目の特性上、この税金は最終的に消費者が負担する税金であり、事業者は消費税をあくまで立替えて納税しているにすぎないからです。そのため、うまく価格転嫁できれば預かる消費税と支払う消費税でバランスガとれ、最終損益に影響はありません(ただし納税額は増えます)。
 
 ところが、もし事業者が消費税増税分を価格転嫁できず、増税前の税込販売価格を維持することになってしまった場合、実質的に売上と利益が当然のことながら減少し、かつ納税も増えるためダブルパンチとなります。

 これらを踏まえ、4月からは価格転嫁を折り込んだ新価格に単純に変更したいところですが、同業者との競合状態や市場の動向などさまざまな要素を考慮して販売価格を決める必要があるはずです。最終的に販売価格を決定するのは社長の仕事であり、あと数か月後の状況を予測して準備を始めることになりますが、いくつか抑えていただきたいポイントは下記の通りです。
 ①事前に得意先と消費税について打合せを行い、増税分のアップに理解を得る。
 ②商品ごとの仕入単価などを再確認し、販売価格の引き上げ時期を検討する。
 ③顧客の納得感が得られるように、税抜価格表示に変更するなど価格表示の仕方を検討する。
 ④26年4月1日以後の商品引渡しから税率アップに伴う取引交渉や契約の仕方、お客様対応など社員全員で研修し、情報を共有する。

 また、いずれにしても納税額は増額することになるため、納税資金の確保を確実にできるように、少しずつでも納税準備用の別口座を開設して、定期的に消費税分を資金移動させておくなど対策をとるように心がけてください。

 さて。今年の分は今号が最終となります。いつもお読みいただいてありがとうございます。これからもわかりやすくお役に立てるようお届けしていきます。
 良い年末年始をお迎えください。来年もまた一緒に頑張っていきましょう!