社会保障・税に関わる番号制度とは

社会保障・税に関わる番号制度とは

それいゆ通信020号

関与先の皆さま

 いつもお世話になっております。猛暑がつづいていますね。そろそろ夏休みを取られる皆さんもいらっしゃるのではないでしょうか。夏バテや熱中症に気をつけて、夏を精一杯楽しみましょう。それでは、事務所通信平成22年9月号とともに「それいゆ通信020号」をお届けします。

 今回の事務所通信は、『資金繰り改善のヒント』がテーマです。本編の改善事例におけるポイントは、主として次の3つです。①回収と支払サイトの改善、②過剰在庫の削減、③利益の確保。特に②の過剰在庫については、売れ残りだけでなく、不良品、クレームなどによる返品があったり、担当者任せで仕入(発注)のルールが明確になっていないようなことも要因として考えられます。保管状況の悪さなどが破損・汚損、盗難・横領等の誘因となっていることもあります。このようなことを防ぐためにも、定期的な棚卸しは有効です。さらに詳しくは、事務所通信P3の下段の枠囲みの記事もご一読ください。

 今回のそれいゆ通信は、前回の経営分析がやや不評でしたので、趣向を変えて「納税者番号制度」についての考察をお伝えします。
 昨年の政権交代を機に、「社会保障・税にかかわる番号制度」が実現化に向けて検討されているのをご存知ですか。この制度は、納税者一人ひとりに付番し、納税者の税に関する記録を一括管理する仕組みです。現状は確定申告する方のみ整理番号という形で付番されていますが、それを給与所得者である会社員等を含めた全納税者にまで拡大し、銀行の口座開設から預金の入出金、海外及び国内送金、株式等の売買、さらに不動産の売買までも一元管理しようということだそうです。
 すでに欧米では導入済みの国々もあり、それらを参考に日本が実際に導入した場合の初期費用や運営費用の試算をしている段階です。アメリカやカナダでは、(日本でいう年金番号に当たる)社会保障番号を利用しており、また北欧の国々では、出生時に付番した住民登録番号というものを税務や行政分野全てで活用しているそうです。日本でも、納税の捕捉だけでなく、社会保障制度との連携を視野に入れ、基礎年金番号や住基ネットとの併用も検討しているようです。皆さまの中にも、確定申告の際、5,000円の還付があるからと住基カードを取得された方も多いと思いますが、あの税額控除の施策自体が、納税者番号制度導入の先駆けだと言われることもあります。
 メリット、デメリットについて。この番号制度を導入することで、金融に係る様々な資料の名寄せができるようになり、課税の不公平さが排除され、正確な所得に基づく社会保険料負担や年金の納付や給付管理の効率が上がることが期待されていますが、一方で膨大なコスト、つまりそれは我々の税金で賄われるわけで、またプライバシーやセキュリティーの面からの問題もでてくるでしょう。
 政府内、各省庁内では、すでに様々な議論が交わされ、国民の意向を無視するがごとく粛々と制度導入へ進んでいるようなところがありますが、裏を返せば我々国民の関心が低いとも言えるのではないでしょうか。「導入ありき」ではなく、膨大な費用(全部税金です)をかけてまで導入すべきか、我々も普段から意識高く関心をもって見守っていきましょう。
 それでは、またお会いできるのを楽しみにしています。