相続相談、最近の傾向
2012/08/07
それいゆ通信044号
関与先の皆さま
こんにちは。それいゆ通信がお手元に届くころには、オリンピックもそろそろ終盤です。連夜の熱戦で寝不足になっている方も多いのではないでしょうか。日中もまだまだ暑い日が続いて夏バテが心配ですが、本日は二十四節気の1つ、立秋で、暦の上ではもう秋がやってきます。体調管理に注意してお過ごしください。ちなみに8/7はバナナの日でもあります!それでは、事務所通信平成24年9月号とそれいゆ通信044号をお届けします。
今回の事務所通信は、収益改善についてそのヒントをどこにみつけるかという観点から損益計算書を解説しています。月次決算の重要性は言うまでもありませんが、適正な損益が図れるよう売上や仕入、大きな費用などは発生主義により計上し、在庫の洗い替えをおこなうことも大切です。特集をぜひご一読ください。
今回のそれいゆ通信では、近頃盛んに新聞や雑誌で取り上げられている「大相続時代を考える」をテーマに検討してみたいと思います。
相続税大幅増税と騒がれていますが、最近当事務所でも寄せられる相談内容に変化がみられるように思います。これまでは亡くなってから申告や分割のご相談を承り、遺産分割や相続税計算をするのが主でしたが、ここ数年は、節税や遺言など生前対策のご相談が大半を占めるようになってきました。
相続には、相続税申告や納税だけでなく、節税対策、資産組み換えなど様々なプロセスがあります。必要になる手続きは、ご依頼者様個々の事情により異なるため、なおさら何から手を付ければいいのかわからない、どういう風に相談すればいいかわからないとお話される方が多くいらっしゃいます。
また既に相続トラブルを抱えている方の相談事例については、決して富裕層の方ばかりではなく、遺産額に関わらず発生しているように見受けられます。実際に司法統計年報(2010年)によると、家庭裁判所に持ち込まれた遺産分割件数の約74%が不動産を含む遺産額が5000万円以下のケースだそうです。
多くの一般家庭では、現在居住している不動産が財産の大半を占めますが、不動産は評価が難しく、また相続人が複数いても、容易に分割することができません。そのため、事前に何も話し合わないまま被相続人が亡くなってしまうと、無用な争いを招きかねません。損得では割り切れない、兄弟間の感情的な要素も考慮して、トラブルを避けるためにも、被相続人の意思を遺言書で明らかにしておくことをご提案しています。
ところで、遺言と遺書。似ているようですが、皆さんは違いを認識されていますか。「遺言」とは、法定の厳格な要件を備えた法的効力をもつ文書であり、「遺書」とは、所定の書式などはなく、亡くなる前の自分の気持ちを家族や友人あてに書き記したものです。
遺言書の書き方やその有効性を論じる書籍などが多く出版されていますが、考えてはいても実際に作成されている方はまだまだ少数のようです。元気なうちに財産を整理し、計画的に対策を講じるためにも、遺言の作成には早期に取り掛かることが望ましいといえます。
本年末の税制改正では、基礎控除の減額などによる相続税増税が決定する見込みです。消費税増税の大論議が一進一退でいる陰で、相続税増税は着々と進められていました。これにより、課税対象者は大きく増えるとみられ、今後、皆様にもますます関心を強め、意識を高めていただく必要がありそうです。
それではまた来月お会いしましょう。