「付加価値」と「合理的サービス」の間

「付加価値」と「合理的サービス」の間

それいゆ通信067号

関与先の皆さま

 こんにちは。しばらくすっきりしないお天気でしたが、梅雨も明けそうな気配で、いよいよ夏が近づいてきていますね。また残念ながら日本は予選で敗退してしまいましたが、ワールドカップもそろそろ大詰め、寝不足の日々が続いていませんか。私はそれに加えて、毎年恒例のツールドフランスというサイクルロードレースがあるので、これが始まると夏が来るなぁと実感します。それでは、事務所通信8月号とそれいゆ通信067号をお届けします。

 今回の事務所通信では、税務面において「夏祭りの協賛金等の税務上の処理」を取り上げました。地元の神社や商店街から協賛金や寄附をお願いされることも少なくないと思います。金額を問わず、税務的に注意すべき点がいくつかあります。法人税と消費税のそれぞれ取り扱いについて、今一度ご確認をお願いします。どちらの税目も、その支出に対して宣伝効果があるのかないのかがポイントとなります。ぜひご一読ください。

 今回のそれいゆ通信は、「付加価値」と「合理的サービス」のバランスについて考えてみたいと思います。中小企業の生き残る術として、従来提供してきたサービスや製品に付加価値を付けることで、差別化を図り、同業他社とは異なった視点からマーケットにアプローチしていくというものがあります。毎月皆さんとお会いする中でも、現在の提供内容を見直し、プラスアルファが大きな需要を生む可能性を一緒に検討することも多いので、すでによくご理解いただいていると思います。

 今から見ていくのは、それらとは真逆といえる「必要なものだけを残して徹底的に過剰を排除し、コストを下げる」という内容です。まずすぐに思いつくのは航空サービス分野ではないでしょうか。LCC(ローコストキャリア)航空と呼ばれる格安航空会社です。旅行会社を介さず、直接ネットで予約し、空港でも簡素な設備しかない専用ターミナルを利用し、機内の飲食なども有料です。これは「目的地に着くことだけが唯一の目的で、それ以外のサービスへの余分なコストを削る」というニーズに応えたものですっかり定着しています。

 私も一度LCCを利用しましたが、航空券購入時にオプション料金を省いたため、映画を見ようとスイッチを入れても、目の前のモニターには現在地情報しか流れず、ただひたすら目的地に運ばれていくだけという体験でした。

 最近では格安スマホが話題ですね。イオンやビックカメラが参入しています。通信速度が遅いため、Youtubeなど動画サイトの再生には向かないようですが、メールやSNSを使う分には何ら問題がないそうです。月に3000円以下という低価格がポイントで、毎回販売開始するとすぐに端末が売り切れるほど人気が集まっているようです。

 上記の例はいずれも国や大手企業による規制が堅固だった業界です。これが現代のネットの普及によって余計なサービスを排除できる環境が整って、その結果、合理的サービスへの転換を加速させたと考えられています。変化を迫るその圧倒的な破壊力は今やあらゆる方向に拡散しています。皆さんご存知の楽天では、今年2月KKP(ケチケチプロジェクトの略)を発表し、従来の仕事内容を見直し、上記を含めた様々な合理化サービスに切り替えることで膨大なコスト削減を達成できたと報告しています。

 いまやインターネットやスマートフォンの普及と、価値観の多様化により「合理的サービス」を望む声は一段と高まっており、我々の生活が大きく変化する分岐点に差し掛かっているように思います。安くても高品質で高性能なサービスが増えて、消費者が自分のライフスタイルを反映して、自由に選択できる時代となっています。中小企業の経営も、この時代の流れを踏まえて、付加価値だけを追求するのではなく、合理的サービスという視点を加え新製品や新サービスを作り出していくという考え方に転換すべき時なのかもしれません。

 皆さまはどのようにお考えになりましたか。

配偶者控除の見直しについて

配偶者控除の見直しについて

それいゆ通信066号

関与先の皆さま

 こんにちは。例年よりも早く、関東は梅雨入りが発表されました。ここ数日は特に集中的な豪雨で、交通機関にも影響が出ているようです。またこの時期は、蒸し暑さ対策にも苦労しますね。今年は例年以上に、雨グッズが種類も多く店頭に並んでいます。少しでも快適に過ごせるように工夫したいですね。それでは、事務所通信7月号とそれいゆ通信066号をお届けします。

 
 今回の事務所通信では、「自社で記帳する」ことの基本である現金管理を取り上げています。一般に、企業において記帳対象となる会計取引の大半は、現金預金の出納取引です。このうち現金取引は、その都度、入出金を記録しておかないと、後で正確な現金の動きを把握できなくなってしまいます。ほんの数日前のことなのにどうしても思い出せない!ということがありますよね。①現金の入出金を正確に記録し、②日々の現金の実際残高と帳簿残高が一致することを確かめ、③一致した帳簿残高を翌期に繰り越すこと、をきちんと遅れずにできるように心がけてみてください。

 
 今回のそれいゆ通信は、最近その見直しが話題になる「配偶者控除」を取り上げてみたいと思います。配偶者控除の基本的な説明としては、所得税というのは、所得自体に課税するものではなく、所得を得た人に課税する、つまり配偶者を養っているAさんと独身のBさんを比べると、税を払う力はAさんの方が弱いと考えてAさんの税負担を軽くするべき、そのために基礎控除を配偶者の分も上乗せして控除を多くする方法というように考えられます。
 

 
 ところがご存じの通り、この配偶者控除は妻の所得が38万円超、例えばパートの収入が基礎控除と給与所得控除の合計である103万円を超えると適用されなくなってしまいます。そのため、世帯全体の手取りが減るのを恐れて、パート主婦が働くのを控えるようになる「103万円の壁」があるといわれています。主に2つ理由があって、1つ目は企業の配偶者手当の要件が所得税法上の配偶者控除に合せて103万円以内となっているが多いことで、その場合、年収110万円だと確かに夫の手取りが減ってしまいます。もう1つには、103万円を超えると妻にも所得税がかかってしまうからという点がありますが、これは大きな誤解で、103万円を超えた分に課税されるだけなので、103万円の時より手取りが減ることはありません。もし年収110万円になったら、増えた7万円の分にだけ所得税がかかるということです。ただし、「103万円の壁」の次の「130万円の壁」、こちらは社会保険に関係するもので、超えてしまうと妻が自分で社会保険を負担することになるため、家計が大幅に変わる可能性があります。
 

 最近、この配偶者控除の見直しとして、「家族控除」という制度を耳にしますが、こちらは夫婦それぞれの基礎控除38万円を合わせた76万円を、妻の収入に関わらず夫婦の控除額とする仕組みです。今の制度では、妻の年収によっては控除の合計が76万円より大きくなっているケースがあるので、その場合は負担が増えます。

 具体的には、妻の年収が65万円超141万未満のケースが該当することになります。現行の制度で使えている「基礎控除」2名分プラス「配偶者控除」という夫婦合計114万円の控除が、改正されると76万円に減ってしまうため、その分税負担が増える見込みです。ただ、このように妻の所得が低いうちは優遇されているとされる控除の重複が改められるため、制度としては公平になるといえるのではないでしょうか。

 配偶者控除を改めることによって女性のさらなる社会進出が促進されると政府は主張していますが、控除の問題だけを切り取って議論しても、女性が働くようになるとはあまり思えません。皆さまはどのように思われますでしょうか。今後も様々な改正や新制度が俎上に載ってくると思います。日本全体が良くなっていくためには、まだまだ課題が多そうですね。

26年度税制改正スケジュール

26年度税制改正スケジュール

それいゆ通信065号

関与先の皆さま

ゴールデンウィークはいかがお過ごしでしたか。お天気に恵まれ、どの行楽地も多くの人出で賑わっていました。これで少しでも弾みがついて、上向きの景気循環になっていくとよいですね。それでは、事務所通信の平成26年6月号とともに「それいゆ通信065号」をお届けします。

今回の事務所通信は、、「会計で会社を強くする」というテーマにおける、基本中の基本である「自社で記帳する」ことの大切さを取り上げました。毎日、自社で記帳するのはなぜでしょうか。根本的ですが、とても大切なことです。社長自らが金融機関に経営を語れるようになるための第一歩となります。対話形式で書かれて読みやすいと思いますので、ぜひお目通しください。

今回のそれいゆ通信は、この春からの様々な制度改正について、家庭への影響を取り上げてみたいと思います。消費税増税から1カ月、わずか3%の違いですが、業務上の支払いや家庭での買い物のたびに改めて大きな違いを実感しているのではないでしょうか。ただ、消費税にばかり焦点が当たっていましたが、3月から10月にかけて社会保険料や税金などが相次いで引き上げられることも決まっていますので注意が必要です。

まず社会保険について、現在40歳以上の方は、健康保険料に加えて介護保険料が徴収されていますが、3月の給与明細から金額が増えていませんでしたか。また、毎年のことですが9月からは、厚生年金保険料が引き上げられます。その他給与にかかるものとして住民税がありますが、今回から均等割という所得にかかわらず定額で課税される部分が一律で年1,000円上がります!

これに対して、家計にとってプラスの改正もあり、最大のものは、住宅ローン控除の拡充だと思われます。昨年度の住宅購入では10年間で最高200万円しか戻ってこなかったものが400万円に倍増となり、所得税から控除しきれず住民税から控除できる金額も増額され、全体的に控除が拡大しました。また、自動車を保有している方に朗報なのが、自動車取得税(普通車)の引き下げです。ただ、これらは消費税引き上げの影響を和らげるための改正であり、結局利用できる人は限定されそうです。

今後は、さらに消費税率が10%へ引き上げが予定されているので、収入がアップしないと可処分所得は確実に減るため、家計の見直しは不可欠です。まずは3%分の消費税が上がった影響がいくらになるか計算してみましょう。月々の支出(消費税非課税の住宅ローンや家賃、保険料、教育費などを除く)が仮に20万円だとすると、20万円×3%=6,000円が月々の負担増分となり、年換算すると72,000円にもなると計算できます。無駄をなくして効率よく節約できるように、日々の生活を工夫していく必要がありそうですね。

コンビニ考

コンビニ考

それいゆ通信064号

関与先の皆さま

 こんにちは。いよいよ春がやってきましたね。桜が開花し、TVでも全国各地のお花見の模様が放送されています。東京では先週末が最後の見頃だったでしょうか。新入社員の入社した会社では、研修や配属で慌ただしい時期かと思います。新しい1年のスタート、一緒に頑張っていきましょう。それでは、事務所通信平成26年5月号とそれいゆ通信064号をお届けします。

 今回の事務所通信は、中小企業を応援する最新の公的補助金情報です。アベノミクスの大号令で現在政府は、経済再生を図ろうと様々な施策を講じています。平成25年度補正予算と平成26年度予算において、企業向けの補助金がいくつか設けられています。企業規模や業種などの要件があること、計画を事前に申請し、審査を通る必要があること、補助金は後払い、実施後にも報告義務があること等、手間や時間はかかりますが、設備等の導入の際には申請を検討する価値はあると思います。詳しい内容や事業計画作成など支援が必要な場合にはぜひご相談ください。

 
 今回のそれいゆ通信では、消費税率アップでも注目された小売業界、特にセブンイレブンとローソンの違い、また来月付での新人事発表したローソンの戦略などを考えてみたいと思います。

他にもコンビニは多くありますが、やはりこの2社は長年しのぎを削りながら革新をもたらしてきたというイメージがあります。それでも、2012年度の売上シェアでみると、セブンイレブン37.1%に対し、ローソン20.2%とセブンイレブンの一人勝ちの感があります。なぜセブンイレブンだけが勝ち続けるのでしょうか。1974年に1号店を豊洲で開店させ(ローソンは1975年大阪)、いち早く日本にコンビニ文化を定着させ、鈴木会長の元でのぶれない強さやこだわりなど保守的といわれることも多いですが、常に消費者目線での「便利」を追求し、変化に対応して王道を貫いています。近年では、住民票が取れたり、高品質PB、手軽に本格的な「セブンカフェ」、そして高齢者向けの宅配「セブンミール」など地域の拠点を目指す戦略が目立っています。

一方ローソンは、メデイアによく登場する新浪氏の長期政権から、以前ユニクロの社長も務めたことのある玉塚氏(現在はCOO)が来月社長(CEO)に就任することになり、経営体制を刷新し、特徴的な取り組みを磨き続け、セブンイレブンとの差別化を図ります。1号店の開店から40年、コンビニは、すぐに食べられる「冷蔵庫」代わりから、ATMを備えた「財布」代わり、最近では食卓にものぼるお惣菜も扱う「台所」代わりへと消費者のニーズの変化に対応して、店の在りようを変えてきています。先のセブンイレブンの地域拠点の戦略がまさにそうですが、さらにローソンにおいては、異なるニーズに合せて複数業態を採っているのをご存知でしょうか。①通常の「ローソン」②都市部の女性をターゲットにした「ナチュラルローソン」③108円均一と生鮮品の「ローソンストア100」④都市の住宅地でのスーパー代わりの「ローソンマート」、このように4つの業態を全国で使い分けているのはローソンだけのようです。また、「ポンタ」というポイントカードで収集した購買データをマーケティングに活用したりなど、新しい試みを導入するスピードはローソンに軍配があがるようです。

 コンビニは普段から使い慣れている店でばかり買い物をしがちですが、たまには違うコンビニに行くことで、品揃えやサービスからそれぞれのターゲットや戦略を考えてみるのも面白いかもしれません。私もひと頃プレミアムロールケーキを買いにローソンに通っていましたが、セブンイレブンのPBの品揃えに圧倒されて、ちょっと前にブームになった「金の食パン」でたまの贅沢をしたりしています。さて、皆さまのご近所には、どのコンビニが多いでしょうか。

ビールに含まれる税金は。

ビールに含まれる税金は

それいゆ通信063号

関与先の皆さま

 こんにちは。暖かい日と寒い日が交互にやってきて、なかなか春の予感がしませんね。それでも事務所から見下ろすと、前の桜並木(その名も「さくら通り」)では、少しずつ木々のつぼみが大きくなり、色づいているのがよくわかります。春はもうすぐそこですね!事務所通信平成26年4月号とともにそれいゆ通信063号をお届けします。

 今回の事務所通信は、来月1日からの8%への増税を前に、施行日以降の誤りやすい消費税の処理について、国税庁発表のQ&Aから抜粋して取り上げました。特に混同しやすい下記のケースについて再度確認してください。

 ①仕入先(出荷基準採用)が4/1前に出荷した商品を4/1以後に検収した場合・・・出荷時点の旧税率5%で計算した請求書となる
 ②月ごとに完了する保守サービスで4/1をまたいで(3/21-4/20分など)終了する場合・・・サービス提供が完了した日の新税率8%が適用
 ③前家賃契約、3月中に「4月分」を支払う場合・・・施行日以降の資産の貸付の対価なので新税率8%を適用

 誤りやすい事例ですので、必ず本編を確認しておいてください。ご不明点はお問い合わせください。

 今回のそれいゆ通信では、ビールの税金の話です。皆さんは、ビールの約半分が税金だというのを知っていますか?ひと頃、「発泡酒」や「第3のビール」が出現し、ビールテイストなのに低価格というのを謳い文句にしていましたが、それでは実際にどの程度アルコール類には税金(酒税)が含まれるのでしょうか。

 スーパーやコンビニで売られている小売価格を基準に考えてみると、値段に占める税金は、ビール大瓶1本(633ml)だと約半分、庶民の味方の発泡酒1缶(350ml)は1/3、さらに安い新ジャンル第3のビール1缶(350ml)は1/4となっています。安いからといって発泡酒を3本飲むと、1本分は税金として払っていることになるなんて驚きですね。あまりに高いビールの税金に対抗すべく誕生した発泡酒にもかかわらず、それほど割安感が感じられなくなっている様に思います。
 
 ところで、この高い酒税は諸外国から見るとどうなのでしょうか。まず全体の日本の酒税総額の約7割はビール、発泡酒、新ジャンルで占められていて、ちなみにそれ以外は日本酒や焼酎、ウイスキーなどです。国税に占める酒税の割合は、日本が3%なのに対し、ビール大国ドイツでは0.7%、アメリカも0.8%と嗜好品に優しい税制ですね。具体的には、先の大瓶1本あたりに日本は139円が酒税ですが、ドイツではたったの8円、アメリカは14円、フランス29円と日本の酒税が極めて負担の重いものとなっているのがわかります。

 平成元年に消費税が導入された際には、酒税改正で日本酒やウイスキーは大幅な減税となったそうですが、ビールはあまり減税とならず。その後の平成9年の3%から5%への引き上げの時にも、ウイスキーは減税されましたが、ビールは据え置きだったそうです。今回の8%への増税に際しても、税負担は増える見込みで、一部の議員が「国酒」として軽減を働きかけている日本酒は減税になる可能性はありますが、タバコにならぶ嗜好品としてビールは増税の傾向になりそうです。

 TVCMなどでは新製品の発売をよく目にしますし、プレミアムビールも種類が増えてきていますが、それでもビール市場は縮小の一途のようです。余談ですが、現在アルコール市場で一番元気なのはワインといわれていて、ワインの消費だけが唯一前年比増のようです。近年注目を集めるTPPでは、ワインやチーズの輸入関税撤廃も俎上に載っていますが、それは日本酒の輸出関税撤廃との駆け引き次第のようです。とはいえ、それらの話はまた別の機会に。それでは、年度末まであとわずか。今月も頑張りましょう!

印紙税の取扱いが変わります!

印紙税の取扱いが変わります!

それいゆ通信062号

関与先の皆さま

 寒い日々が続いて、皆さまいかがお過ごしでしょうか。インフルエンザや風邪もまだまだ流行っていて、人ごみを歩く際にはマスクが欠かせない方が多いかと思います。私もマスクはもちろんですが、先日「宝来柑」という珍しいミカンを食べる機会があり、思いがけずどっさりビタミンCを摂取できて、しばらく風邪は引かないかなと思っています。まぁ、過剰なビタミンは流出してしまうらしいですが、とはいえ、病は気から。皆さまもくれぐれも気を付けてくださいね。それでは、事務所通信平成26年3月号とともにそれいゆ通信062号をお届けします。

 今回の事務所通信は、「印紙税の引き下げ」についてです。今年の税制改正については、4月1日の消費税増税が予定されているため、その対応に追われている感がありますが、一部とはいえ印紙税の引き下げ、非課税範囲が拡大している点についても正しく把握しておく必要があります。例えば、もっとも身近だと思われる領収書等へ貼付する印紙ですが、現在は記載金額が3万円以上から必要となりますが、非課税範囲が5万円未満までと拡大するため、当該金額を超えるものに対して貼付する義務が生じることとなります。消費税率の改正のタイミングでもあるので、どのような場合に印紙が必要となるのか、無駄な印紙を使うことのないよう、また貼付もれが発生しないよう、必ず本編を確認しておいてください。

 今回のそれいゆ通信では、引き続き「印紙税」についてみていきましょう。印紙税法は、明治6年から施行されていてその歴史は古く、契約書や領収書に印紙を貼らなければいけないことは大抵の人は知っていて、広く国民に定着している税金だといえますが、貼付もれや誤った金額を貼付したことによるペナルティがどの税金よりも重いというのはあまり知られていません。また、実態が契約書や領収書という名称であっても、標題が「覚書」となっていたり、あるいは売上伝票や請求書に 了 済 の印を押しただけのものであれば印紙は不要と考えられていたり…と、正しく印紙税が納められていないことも多いようです。

 ペナルティについては、仮に不納付であったとして追徴される過怠税は、法人税の計算上、まるまる損金不算入となってしまいます。つまり、過怠税は3倍と決まっていますが、仮に200円の印紙を貼るべき文書に貼付もれが発覚した場合、あらかじめ貼っておけば200円の損金(経費)で済んだところが、3倍の600円の支出となり、かつ法人税の計算上、損金の額として計上されないため、その600円にまでも課税されることになってしまいます。法人税の実効税率は約38%ですので、約220円納めなければなりません。このように、たった200円の印紙の貼付もれで、820円の支出が引き起こされてしまうところに印紙税の恐ろしさがあります。下記は、代表例な取扱事例です。細かい判断基準ですが、ぜひ今一度ご確認ください!

あけましておめでとうございます!

あけましておめでとうございます!

それいゆ通信061号

関与先の皆さま

 あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

 年末年始はいかがお過ごしでしたか。今年も元気よくという前に、まずはどのような1年にしたいか、目標を明確にというところからが仕事初めです。毎朝、目標を鏡に向かって発声し、ニッコリ微笑む・・・夢を現実にする第一歩だそうです。なかなか恥ずかしくてできないものですが。…なんていっている意識を改めることから始めたいものです。私は巻末にコラムがありますが、「集中力」を今年のテーマにしたいと思っています。今もストップウォッチを目の前に置いて集中しています(つもり?)。皆さまにとっても日本全体にとっても、素敵な1年になりますように。それでは、事務所通信平成26年2月号とともにそれいゆ通信061号をお届けします。

今回の事務所通信は、「所得税の確定申告」特集です。本編では、年末調整のみで終わる給与所得者の給与以外の収入の漏れなどへの注意喚起を中心に、それぞれの所得の証明や控除に必要な書類等を整理してあります。今年の確定申告では、増税前の住宅取得や外貨預金に注意が必要です。駆け込みで住宅を購入し、住宅ローンを組んだ場合、今回確定申告で還付を受けることになります。また、従来の円高から一転して円安傾向になったため、為替差益が生じている方も多いかもしれません。外貨預金利息については、源泉分離課税となっているため確定申告は不要ですが、為替差益は雑所得として、給与や年金などの他の所得と合算して税額を求める総合課税の対象となりますのでご注意のうえ、従業員の皆さまにも周知をお願いします。

 今回のそれいゆ通信では、今年の飛躍につなげるべく2013年のヒット商品番付を振り返ってみたいと思います。2013年の日本、安定したのは政権ぐらいで、全体的に落ちつきのない1年、様々な価値観がぶつかり合った極端な年だったように思います。例えば、スターバックスに象徴される高級コーヒーから、デザイン性や低価格といった付加価値を含んだコンビニコーヒーへと消費が流れました。アベノミクスで生まれた「上質」消費ですが、消費者は、上質さだけではなく、よりメリハリのある生活スタイルに変化しつつあるのかもしれませんね。

 ヒット番付大関のあまちゃんについては、年末に改めて総集編をご覧になった方も多いと思います。新年からあまロスに陥らないように気を付けましょう。また殊勲賞には「東京五輪」で、今後の明るい材料になりそうです。湾岸マンションはその先取りで、招致が決まった途端に、選手村ができる晴海周辺のマンション販売が活況になったそうです。今年も五輪からは、数々のヒット商品が生まれそうですね。
 
 最後に、今年は午年。フェラーリの跳ね馬のように、飛躍の年にしましょう。本年もよろしくお願いいたします。

消費税の転嫁について

消費税の転嫁について

それいゆ通信060号

関与先の皆さま

 こんにちは。ついに冷たい風の吹く本格的な冬が訪れて、今年ももう残り1カ月を切りましたね。いよいよ慌ただしい日々に追われていることと思います。忘年会の時期でもありますが、体調管理をしっかりして、元気に今月も過ごしましょう。それでは、事務所通信平成26年新年号とそれいゆ通信060号&毎年恒例のおまけ「一粒万倍日カレンダー」をお届けします。

 今回の事務所通信では、新年企画として、幕末の思想家・山田方谷を取り上げています。彼の政治や社会に対する考え方が、今再評価されているようですので、改めて略歴をご紹介します。

 山田方谷は、5歳から新見藩の儒学者である丸川松隠に教えを受け、その勤勉さから20歳の時、備中高松藩の士分に取立てられ、京都や江戸での遊学において陽明学を学び、藩校・・有終館の学頭を任される。その後、元締役として藩政に参加し、大胆な改革によって、破綻寸前の藩の再建に成功する。藩主・板倉勝静が幕府の老中に就いたことで幕政にも参加したが、明治維新後は多くの招聘の声を断り、一民間教育者として亡くなりました。本編の特集では、現代の経営改善につながる記事となっています。ぜひご一読ください。

 今回のそれいゆ通信は、消費税の増税への対策をご説明します。こちらをお読みいただく前に、事前に事務所通信の4ページ目にある「消費税増税後の納税額シュミレーション」を確認しておいてください。
 

 消費税の実務的な対策としては、価格転嫁を確実に実行するということがあります。本編で確認いただいた通り、価格転嫁できない場合だけでなく、転嫁できた場合でも、税率アップに伴って納税額は確実に増加することになります。それは、消費税という税目の特性上、この税金は最終的に消費者が負担する税金であり、事業者は消費税をあくまで立替えて納税しているにすぎないからです。そのため、うまく価格転嫁できれば預かる消費税と支払う消費税でバランスガとれ、最終損益に影響はありません(ただし納税額は増えます)。
 
 ところが、もし事業者が消費税増税分を価格転嫁できず、増税前の税込販売価格を維持することになってしまった場合、実質的に売上と利益が当然のことながら減少し、かつ納税も増えるためダブルパンチとなります。

 これらを踏まえ、4月からは価格転嫁を折り込んだ新価格に単純に変更したいところですが、同業者との競合状態や市場の動向などさまざまな要素を考慮して販売価格を決める必要があるはずです。最終的に販売価格を決定するのは社長の仕事であり、あと数か月後の状況を予測して準備を始めることになりますが、いくつか抑えていただきたいポイントは下記の通りです。
 ①事前に得意先と消費税について打合せを行い、増税分のアップに理解を得る。
 ②商品ごとの仕入単価などを再確認し、販売価格の引き上げ時期を検討する。
 ③顧客の納得感が得られるように、税抜価格表示に変更するなど価格表示の仕方を検討する。
 ④26年4月1日以後の商品引渡しから税率アップに伴う取引交渉や契約の仕方、お客様対応など社員全員で研修し、情報を共有する。

 また、いずれにしても納税額は増額することになるため、納税資金の確保を確実にできるように、少しずつでも納税準備用の別口座を開設して、定期的に消費税分を資金移動させておくなど対策をとるように心がけてください。

 さて。今年の分は今号が最終となります。いつもお読みいただいてありがとうございます。これからもわかりやすくお役に立てるようお届けしていきます。
 良い年末年始をお迎えください。来年もまた一緒に頑張っていきましょう!

自動車関連税制

自動車関連税制

それいゆ通信059号

関与先の皆さま

 今回のそれいゆ通信は、自動車関連税制とその改革について取り上げます。先月末、総務省より自動車関連税の改革案が示されましたが、それによると、消費税率がさらに上がる平成27年10月に向けて、現在の排気量に応じた自動車税と軽自動車税を、燃費を加味した基準に変えるという案でした。エコカー減税はあるものの、もともと税額の低い軽自動車や燃費の悪い高級車は増税になる見通しのため、メーカーからの反発は必至のようです。

 まずは、「自動車」にかかる税金をまとめてみましょう。まず①購入段階にかかる「自動車取得税」(5%)、②保有段階の「自動車税」(29,500円-111,000円/1年)or「軽自動車税」(7,200円/1年)、③車検時の「自動車重量税」(重さや使用年数により異なる)の3種類があります。このうち①②は地方税、③は国税です。

 自動車税制については、かねてから①自動車取得税が、購入時にかかる税金として消費税との二重課税だという指摘があり、その撤廃が論議されてきた経緯がありますが、この度、消費税が8%になる時点で自動車取得税率が5%⇒2%へ、消費税率10%時点ではいよいよ廃止が決まりました。ただその場合、地方自治体は年間1900億円の税収が失われることになるといわれています。

 そこで、その穴埋めの施策として浮上しているのが今回の②自動車税と軽自動車税の改正です。総務省はまだ具体的な計算方法や税額は示していませんが、税額が飛びぬけて低い軽自動車やハイブリッドでないスポーツカーや高級車など燃費が比較的悪い車を増税する方向のようです。今までは軽自動車は一律年間7,200円、それ以外は「排気量」に応じた税額でしたが、今後は「排気量」だけでなく「燃費」に応じた課税にすることで、地球温暖化を招くCO2の排出を減らすために、環境に優しい車への乗り換えを促すというアピールも含んでいるようにも思えます。そしてその結果、①自動車取得税の減収で減った地方財源を、②自動車税等で穴埋めしようというシナリオになりそうです。

 ただこの軽自動車税の増税については、軽ユーザーがいまや全自動車販売量の4割に達するということもあり、業界全体、特にスズキやダイハツから猛反発があり、今後の見通しは立っていません。また、来年4月からの消費増税に伴って自動車販売が落ち込む心配もあり、業界は戦々恐々としているようです。私たちにとっても、身近で高価な買い物の1つである自動車について、ぜひ関心を持って見守っていきましょう。

NISAについて

NISAについて

それいゆ通信058号

関与先の皆さま

 今回のそれいゆ通信は、今月から受付の始まった「NISA」(ニーサ)についてです。新聞やTVでかなり話題になっていますね。これは、来年1月から、証券会社などで新しく「NISA口座」を作って、株式や投資信託を購入すると、配当金や売買益(要は儲かった分!)の税金が非課税になるという制度です。購入できる金額は、1人年間100万円まで、5年間非課税になります。本来は20%課税されるものなので、かなりの投資促進になるのではないかと期待されています。

 景気の回復が実感できない上、低金利が続いている昨今、それでも将来の資産形成の方法は多様化して、より高い利回りが期待できる株式や投資信託への投資が注目されています。NISAをきっかけとして、自助努力としての資産形成に取り組んでみてはいかがでしょうか。

 NISAは簡単に利用できますが、いくつか注意点があります。

① 開設できる口座は1人につき1口座のみ。証券会社1社もしくは銀行1行だけに口座開設を手続きします。
② 口座開設後、証券会社もしくは銀行の変更はできません。
③ 非課税枠の未使用分の翌年への繰越し、または売却した非課税枠の再利用はできません。
④ 既に保有している株式は対象外。非課税となるのは、新たに開設したNISA口座で購入した株式や投資信託のみです。
⑤ NISA口座の売買損失を既に持っている一般口座や特定口座の収益と通算する、または損失の繰越しもできません。
 
 将来のための資産づくりは大切なことですが、株価や債券価格は変動するリスクがあり、自由に選択した結果としてもたらされる利益・損失については、1人1人が十分に理解しておく必要があるでしょう。「長期間」「分散投資」といったポイントで、ある程度のリスクを取りつつも安定した収益を得るために運用することが大切です。また、住宅購入や老後といった人生設計において必要となる資金をシュミレーションした上で、投資目的や計画を考え、家族で相談しながら無理のない範囲で、投資銘柄や商品を検討するとよいと思います。

 私もさっそく証券会社に口座開設の資料を取寄せました。住民票の写し等必要書類の準備をして、郵送後、手続き完了までに4-6週間かかるようです。新年早々からさっそく運用してみたい方は、なるべく早く申し込んだ方がよさそうですね。私も初めてですが、ご質問などありましたらいつでもどうぞ。ぜひ一緒に資産運用に取り組んでいきましょう。