ふるさと納税

ふるさと納税

それいゆ通信036号

関与先の皆さま

 早いものでもう師走ですね。ますます寒くなっていきますが、暴飲暴食にはくれぐれも気を付けて、体調管理には十分ご注意ください。また、別紙には来年の一粒万倍日カレンダーを載せましたので、ご参考にどうぞ。それでは、事務所通信平成24年1月号とともにそれいゆ通信036号をお届けします。

 今回の事務所通信は、新年号らしく商売に対する心構えや思想についての記事があります。江戸時代は、現代と経済のしくみが異なりますが、現代にも通じる商人道、商売の原点や思想は、この時代に生まれたようです。TVの時代劇のような華やかな町人や商人文化の陰には、現代同様の長い不況があったようで、その厳しい経済環境を生き抜くための知恵など、新年からの心構えとして参考になされてはいかがでしょうか。そしてやはり何よりも大切なのは、経営者のブレない理念です。ぜひ年も改まるこの時期に、御社の理念は何であるか、ぜひ時間をかけて考えてみてください。

 さて今回のそれいゆ通信では、ここ数回連載している社内の「ネジ巻き」についてはお休み、歳末助け合いの一環で、「ふるさと納税」についてご説明したいと思います。皆さんも一度はお聞きになったことがあるかと思います。
 
 このふるさと納税とは、改めて納める税金ではなく、ふるさと(皆さんそれぞれが助けたいと思うと地方公共団体)へ寄附をするという行為であり、個人として5,000円を超える寄附をした場合には、それによって、もともとの住民税や所得税から一定の控除を受けることができる制度です。
 
 皆さんが寄附をする「ふるさと」には一切の定義はなく、出身地以外でもお世話になったふるさとや助けたい、応援したいとおもうふるさとなど、自由に選ぶことができます。それによって、寄附を行ったあなた自身にも控除が得られるわけで、しかも、寄附をした地方公共団体によっては、その地域の特産品などを寄附の御礼として送付してくれるというさらなるオマケがつく場合もあります。おそらく今年は東北地方をふるさとに選ぶ人が多くなるでしょう。そういう意味で、このふるさと納税は、今までは住んでいる地域に自動的に徴収されるだけだった税金を、自分で納付先を選べるという画期的な制度だと言えますね。
 
 仕組みとしては、例えば江戸川区に住むAさんが青森県三戸町に「ふるさと納税」として寄附すると、江戸川区の住民税は、控除により減額され、青森県三戸市に税金を納めたのと同じ扱いになります。具体的な金額では、年収500万の単身者が3万円を寄附すると、住民税22,500円所得税2,800円が減額され、結果4,700円が実質の自己負担となります。収入及び寄附額によって、実質自己負担額は変動しますが、無理のない範囲でふるさとを応援することができます。
 
 手続きの流れは、実際に寄附を行うと、寄附を受けた地方公共団体から領収証を発行してもらえるので、その年の確定申告時において所得税の控除が受けられ、還付を受けることになります。またそれを受けて、5月の通知書の届く住民税も減額されることになります。
 
 ふるさと納税を受け付けている地方公共団体は様々で、特産品のような特典がある場合にはホームページ等でも告知しています。名誉市民になれるという特典がある市区町村もあるようでしたので、選ぶ楽しみも味わえると思います。
 
 昨今の税の話題は、増税というマイナスのイメージばかりですが、納税意識を高めるためにも、皆さんもぜひ自分で選んで納税できるという権利を行使してみてはいかがでしょうか。私自身は今月中に寄附をしてみるつもりです。ひょっとしたら来年はどこかの名誉市民になっているかもしれません!
 
 それでは、今年のそれいゆ通信は今回が最後です。いろいろなことがあった1年でしたが、皆さまには大変お世話になりました。またそれいゆ通信も続けて読んでいただきありがとうございました。来年もどうぞよろしくお願いいたします。 

朝礼は重要か

朝礼は重要か

それいゆ通信034号

関与先の皆さま

 こんにちは。気がつけば今年も残り3か月となりました。例年に比して、慌ただしく落ち着かない日々が続いたここ半年ですが、景気は相変わらずで、明るい兆しはなかなか見えません。そして復興増税のニュースばかりが先行。依然として肝心の具体策がはっきりしないとはいえ、企業として手をこまねいてばかりではいられませんね。今後に向けて、経営改善をはかり、一歩ずつ前進する努力を続けてまいりましょう。

 それいゆ通信では前回から、『社内のゆるんだネジを締め直せ!』と題して、社内のマンネリ化した事項の見直しをシリーズで掲載しています。

 第2回目は、朝礼を形式化して軽んじてはいないか?について取り上げます。皆さまの会社では、そもそも「朝礼」をされていますか?社員の直行が増えたり、社内連絡の伝達手段がメールに変わったりと朝礼を行わない会社が増えているといわれています。朝礼は、会社の目的達成への意識を持たせ、教育するための重要な場であり、業務の一環です。規模の大小を問わず、ぜひ実施していただきたいと思います。ちなみに当事務所では、1人だけででも毎朝行っています。内容は、倫理研究所発行の月刊「職場の教養」という冊子のその日ごとの文章を読み上げ(1-2分)、それについてその場で思いついたことを3分間話し、1分黙とう、という流れです。

 そこで、なぜ朝礼が軽視されるのかを考えてみましょう。その一番の理由はマンネリ化ではないでしょうか。

 朝礼の目的を認識させ、業務としてその目的にかなった運営の工夫をしなければなりません。TVや雑誌で取り上げられてご存知の方も多いと思いますが、都内に“本気朝礼”というもので、従業員のやる気を培養し、店長を育成し、多店舗展開を図っている「てっぺん」という居酒屋があります。

 開店前のこの“本気朝礼”では、まず力いっぱいの挨拶から始まり、スピーチ訓練、No.1宣言、挨拶訓練へと続いていくそうです。自ら手を挙げ、店長に指名された者が話すのですが、誰もが我先にと必死で手を挙げています。返事や手を挙げてアピールする時も、すべてにおいて全力で声を出します。

 このように、みんなのテンションを最高の状態にしてから、報告、連絡、確認事項を行うそうです。そして、最後に全員で「今日もこれより、ガンバロウ!!」と大きな声を出し朝礼は終了となります。

 大きな声を出し、気持ちを高揚させ、みんなで夢を語ることで意欲をかきたてる。そしてテンポよく進行させ、気持ちと意欲とやる気を最高潮にもっていき、仕事を始める。これだけのことを朝からすれば職場や社内はきっと活性化し、生産性も上がるでしょう。業績改善を図りたいが、何から手を付けていいからないという経営者の方には、ぜひ朝礼の開催、改革をおすすめします。変えて損はありません、ぜひ取り組みの一環としてご検討ください!

ネジ巻き2  「朝礼の活性化」5つのポイント

  ①朝礼の目的を明確にし、重要な業務だと認識させる。
  ②朝礼の運営責任者を決める。
  ③目標と実績の対比の進捗報告を必ず入れる。
  ④クレームや問題点をあげ、対策なども教示し、徹底する。
  ⑤朝礼には意外性、話題性、陽気さ、楽しさ、新鮮さを盛り込み運営を工夫する。

 それではまたお会いしましょう。

あいさつは重要だ!

あいさつは重要だ!

それいゆ通信033号

関与先の皆さま

 こんにちは。朝晩は少しずつ涼しくなり、夏が遠ざかる気配がしますね。ただ急な雨や台風など、落ち着かない天気が続いています。東日本大震災から約半年が過ぎ、周りは一見すると平常時に戻っているようですが、被災地や東北の復興を考えるとまだまだ明るい兆しは見えません。あちこちの百貨店やイベント会場では、東北関連の催物が相次いでいるようですが、震災直後に、自分だったら何ができるかと考えた気持ちを忘れず、東北のことを想い続けたいですね。

 それいゆ通信では今回から、『社内のゆるんだネジを締め直せ!』と題して、社内のマンネリ化した事項の見直しをシリーズで掲載していきます。スピードが求められる昨今の経済事情において、スピーディな対応を阻害しているのはマンネリ化であることを認識しましょう。そこで第1回は、「あいさつが利益の源泉だと知っていますか?」をテーマに選びました。

 あいさつが重要だというのは仕事をする上での最も基本的な事柄ですが、なかなか定着しないのも事実ですね。そこで、まずはあいさつの目的をハッキリさせましょう。あいさつの目的は「相互確認」です。あいさつの仕方ひとつで、相手に対して良い印象や悪い印象を与えます。そのことを十分に理解して、きちんと教育指導する必要があるでしょう。

 例えば来客があっても、あいさつをしない。お客様からなにかを聞かれても、ニコリともせずに答える。これでは、訪問客の心証がよくなるはずがありませんね。業績が伸びている会社をみると、訪問客に対しては誰もが「いらっしゃいませ」と大きな声で、にこやかにあいさつをしていることが多いものです。そこの従業員から明るく元気な声であいさつされると、訪問客は自然と好感を持ち、その会社に好印象を抱くようになり、信頼を引き寄せ、結果的に取引拡大につながる可能性があります。

 また従業員同士であいさつもろくにできない会社では、職場に協調性が生まれたり、連携プレーがうまくいったりするはずがありません。また、危険予知やメンタルヘルスなどの安全衛生面にも不安が生じるでしょう。あいさつがきちんとできない従業員がいるのは、上司や管理職の責任です。そんな従業員にはその場ですぐに注意する。もしそれでも改善されなければ、きちんと教育指導するべきでしょう。

 「あいさつは、大きな声でこちらから」。これが社内のゆるんだネジを締めるポイントであり、まずはそこから利益獲得や安全衛生推進に取り組んでいきましょう。

 
     ネジ巻き1  「あいさつ徹底指導」6つのポイント

   ①あいさつは、信頼関係構築の第一歩であることを社内の共通認識とする。
   ②社員全員が明るく、大きな声であいさつできる社風を、朝礼などで実践し作り上げる。
   ③来訪者を見かけたら、誰もがにこやかにあいさつするようキャンペーンなどを展開する。
   ④朝礼や会議で具体的事例を挙げ、褒めたり、注意したりする。
   ⑤お辞儀の仕方には、「会釈」「敬礼」「最敬礼」の3種類があることを教育訓練する。
   ⑥あいさつすらできない従業員がいるのは、管理者の責任であることを自覚し、率先垂範す
     る。

 
 いかがでしたか。少しでも御社の経営改善のきっかけになれば幸いです。
 では、またお会いできるのを楽しみにしております。

売上低下の原因は?

売上低下の原因は?

それいゆ通信032号

関与先の皆さま

 こんにちは。昨年同様、ゲリラ豪雨など不安定な天候が続いていますね。蒸し暑い日々もまだまだ続くようです。夏休み、お盆休みに入る会社も多いと思いますが、熱中症予防など体調管理など十分気を付けてください。

 今回の事務所通信は、平成23年度税制改正法案の一部成立についての記事をご確認ください。震災の影響もあり、衆議院で審議されない状態が続いていましたが、6月末に期限切れとなる租税特別措置法の延長など与野党が合意した部分については、新しい法律として6月22日に成立しました。今回の税制改正は、ここ何年か注目されていた法人税減税や相続税の抜本改正が先送りされてしまい、目立った項目がないように思えますが、消費税の免税や95%ルールの見直しなど実務に影響のある重要な改正がありますので、ぜひご一読ください。

 今回のそれいゆ通信では、本編の売上アップの着眼点に引き続き、その前段階として大切な売上低下の原因分析についてふれてみたいと思います。
本編で取り上げた事例は、得意先要因と市場要因の事例でした。その他にあと2つ、売上低下の原因は次の4つに分けることができます。

①得意先要因:主要得意先が売上を落としている、得意先が倒産したなど
②市場要因:市場が冷え込み、総需要が減少している
③競合要因:競合企業や新規参入者の進出でシェアを食われている
④内部要因:社員が退社した、モラルが低下している

 分析に際しては、上記のような分類に従って対策を検討することになります。ただし、要因は一つとは限らず、複合している場合が多いため、何が一番影響しているかを掴まなければなりません。それらの要因の違いによって、対策が違ってくるからです。現在の社会情勢、経済環境を考えると、市場要因が原因だと予測できるケースが多いとはいえ、他の要因も検討し、安易に経済状況の悪化だけを売上低下の言い訳にしてはいけないでしょう。月次監査でお会いすると、どちらの会社様も、①得意先要因と②市場要因に大きく左右されているのがわかります。これらを踏まえたうえで、ぜひ③や④についても見直す機会を設けて検討してみてください。

 また、売上の内容を点検してみると、すべての商品や得意先が売上を落としているということはあまりなく、多くの場合、売上を伸ばしている商品や得意先があるのではないでしょうか。その実態と原因を明らかにすることが有効な対策につながるはずです。商品、得意先だけでなく、地域別、流通経路別、用途別、営業担当者別に捉えることも有効かもしれません。また、「得意先別・商品別」の分析など、複合的な分析も可能な限り検討してみてください。得意先ごとに、どの商品が貢献していて、何が足を引っ張っているのかがわかれば問題点が見えてくるはずです。
 
 本編に掲載されている4つの事例は、ほんの一握りの成功事例ですが、とはいえ長い経済不況から抜け出せないまま、現状を「しかたがない」とそのまま受け入れてしまっては自社の売上はますます減少し、回復の兆しに気付くこともできません。上記のような分析をきっかけに、何か少しでも行動に移すよう考えてみてはどうでしょうか。毎月監査でお会いする際に、ぜひ一緒に検討してきましょう。
 
 それでは、またお会いできるのを楽しみにしております。

時間管理

時間管理

それいゆ通信031号

関与先の皆さま

 こんにちは。毎日暑い日々が続きますね。皆さまの会社でも節電推進ということで、エアコンの調節やクールビズなど様々に工夫を凝らされているかと思います。とはいえ、今年の夏はまだまだ始まったばかり、体調管理や衛生管理をしっかりおこなって、乗り切りましょう。夏季休暇など休日には体を休めて、メリハリのある生活を心がけたいですね。

 今回の事務所通信は、労務面の記事に重点をおいてみましょう。『勤務時間・体制の変更に伴う留意点』に関して、今夏は、節電や生産調整の影響で従業員の就労状況に変化がある会社も多いようです。会社都合でなくとも、代休や振替休日などの設定には就業規則の整備や変更が必要なこともあります。またサマーターイム導入などでは、後で労働基準法の条件に合わなかった等ということがないよう十分配慮しておくようにしてください。

 それいゆ通信では、営業にまつわる時間管理について考えてみましょう。例えば、皆さまの会社では営業地域をどのようにとらえていますか。このご時世、仕事がある以上、呼んでいただけるならどこまででもというケースが多いかと思います。私ももちろん同様の意識ですが、果たしてどこまでそれが通用するのか、効率面から時間の使い方のルールはないのかと考えることがあります。そこで、最近読んだ本からのエッセンスをご紹介します。

 まず、営業部門の時間の使い方を調べてみましょう。最初は、営業地域を回る際の移動時間の管理について。移動中は電車代やガソリン代など経費を多く使うものの粗利益は全く生み出さないので、営業生産性はマイナスになります。1回当たりの取引高が多い業種は別にして、移動時間は製造業と卸売業では業務時間全体の45%以内、販売業では35%以内に抑えないと採算がとれないようです。
 
 次に社内業務への投下時間を見直してみましょう。これは主に行動計画や業務日報の記入、打合せや会議などで営業活動には欠かせないものですが、実はここからも1円も粗利益は生まれません。よって全体の25%以内に抑えられれば理想的です。
 
 3番目は、本来の業務である顧客活動の時間管理です。粗利益が生まれる唯一の仕事となります。もちろん社内にいても、お客様に電話をしたりメールする時間もこの時間に含まれます。給与に見合うだけの粗利益を稼ぎだすためにも、この時間は最低でも30%~35%は必要だと考えられます。
 
 そこで、営業地域と時間管理の関係を考えていくと、営業地域が能力以上に広くなると、移動時間が55%や60%台になってしまう恐れがあり、こうなると本来の業務である顧客活動へ投下できる時間が20%程度になってしまいます。これでは営業担当者は道には詳しくなるものの、たいがい赤字になってしまいます。
 
 時は金なりということで、時間は経費でもあるという意識を持つべきでしょう。社長は営業地域の戦略と営業担当者の移動時間の2つを検討し、ときには営業地域の最大範囲を狭め、対象エリアを絞り込むことも必要ではないでしょうか。
 
 また営業担当者には、日報の作成を義務付け、1日の終わりに時間の使い方を振り返り、翌日以降へ活かすよう反省や検討をすることを意識させることで、時間やその他経費の使い方の見直しを促すことも大切です。メジャーリーグのイチロー選手は、毎試合後必ず、道具の手入れをし、その日の試合を反芻しながら、頭の中の整理をし、結論が出てから野球場を後にするといいます。前に前にと仕事をすることも大切ですが、目標達成のために、過去の反省を踏まえた行動がとれるように自分の時間の使い方を見直す機会を持つよう意識してみましょう。
 
 それでは、またお会いできるのを楽しみにしております。

住民税の季節です

住民税の季節です

それいゆ通信030号

関与先の皆さま

 こんにちは。ついに関東も梅雨入りです。夏の節電も切実ですが、この時期の蒸し暑さ対策にも苦労しますね。今年は例年以上に、雨グッズが種類も多く店頭に並んでいます。少しでも快適に過ごせるように工夫したいですね。

 今回の事務所通信は、5頁下段の「銀行に信頼される決算書」についてご説明します。決算書の信頼性を高めるものとして「税理士法第33条の2の添付書面」というものがあります。お手元の決算書ファイルには綴られていますか。当事務所では、経理担当者により自計化が推進され、月次監査を毎月確実に実施できている法人様に限り、この税理士法に基づく書面を添付して、税務申告を行っております。

 この書面を一読いただくとわかりますが、毎月訪問時に、どの項目を監査し、どのような税務相談を受け、どのように回答したかを網羅しています。これは税務署が調査においてぜひ確認したいと思われるポイント項目を先取りして記載しているものです。これにより、この書面が添付された決算書を見た金融機関からは、月次監査による関与が担保されていると好評をいただいています。ただ、我々も税理士業務としての重大な責任を持ってこの書面を添付する必要があることから、自計化が進んでいなかったり、会計や税務について法人様側で把握できていない、または全ての資料をご提出いただけていないと判断される法人様については、この書面の添付は控えさせていただいております。

 決算書をお渡しする際には、内容について細かくご説明申し上げているつもりですが、不明点や疑問点がありましたら、いつでもご質問ください。今後も、少しずつでも透明性が高く、信頼のできる決算書を作っていけるように努力していきます。

 さて。今回のそれいゆ通信では、そろそろお手元に通知書が届いている住民税についてです。ご自身の金額を確認しながらお読みいただくとわかりやすいと思います。
個人住民税は、地域社会の費用をできるだけ多くの住民に分担してもらおうという性格をもっており、前年の1月から12月までの所得金額に応じて課税される「所得割」と所得金額にかかわらず定額で課税される「均等割」というものを合算して計算されます。簡単に表すと下記の通りです。

●所得割・・・(前年の総所得金額等―所得控除額)×10%(市町村民税6%+道府県民税4%)
    ※所得控除額とは、扶養家族の人数等によって変わります。
     税率は東京、埼玉、茨城、千葉は同じ10%、神奈川は10.025%

●均等割・・・市町村民税3,000円+道府県民税1,000円=合計4,000円
    ※東京、埼玉、茨城、千葉は4,000円、神奈川は5,200円
     どこに住んでもあまり差はない?!

 お勤めの皆さんの場合、年末調整の時期に源泉徴収票をお渡ししますが、これと同様の内容が勤務先からお住まいの市区町村に送られています。そしてこの前年の所得についてのデータをもとに、実に半年近く(!)もかけて区役所や市役所で計算が行われ、5月中旬に住民税の課税額が皆さんのお手元に届くようになっているのです。

 また、よく○○市や△△区は住民税が安いという話を聞いたりしますが、基本的には関東圏内ではあまり税額に大差ないことがお分かりいただけるかと思います。ただ、上記の計算は所得が給与だけの場合であり、もしその他の種類の所得(不動産、譲渡、年金や配当等)があったり、生命保険料等の控除の有無などの個人的な事情によっては、かなり変動が生じる場合があるので、その点は留意しなくてはなりません。

 今年の住民税については、ぜひ一度じっくりその金額を眺めてみて、その対価としてどれほどの地域のサービスを受けているかなど考えるきっかけにしていただければと思います。

 それでは、またお会いしましょう。

ACのCM料について

ACのCM料について

それいゆ通信029号

関与先の皆さま

 こんにちは。だんだん日差しが強くなり、季節は移っていきますが、依然として新聞等では震災と原発、被災した方々や企業についての記事が多く、復興までの道のりが長いことを痛感します。現地でのボランティア活動は難しくても、節電等今この場で出来ることで支援していきましょう。

 今回の事務所通信は、損益分岐点分析について非常にわかりやすい記事があります。取引先から値引きについて相談があった場合、どの程度までなら採算が取れるかどうか、感覚ではなく具体的な数値で判断できるようになるのはとても重要なことです。変動費と固定費という聞きなれない用語での解説ですが、実際には通常の損益計算書の項目の読み換えにすぎません。何度も読んでぜひ理解するように心がけてください。

 今回のそれいゆ通信では、前回の寄附金に関連して、震災後注目されたACジャパンのCM料についての話題提供です。

 皆さんもご存じのように、テレビのCMとは、販売されている時間帯の広告枠をスポンサー企業が購入することで流れるものですが、原則広告枠は日程や時間帯の変更ができない仕組みだそうです。その結果、スポンサー企業がCMを取りやめると、そのままその時間帯に空きがでてしまうという事態になるため、その穴埋めのためにTV局やスポンサー企業が正会員となっているAC(旧公共広告機構)のCMが流れることになります。我々が繰り返し見た震災直後のACのCMはこのような各スポンサー企業の自粛により空いた枠のものでした。
 
 ところが、このようにスポンサー企業が自粛してCMを取り下げたにもかかわらず、現時点ではTV局側からは、広告枠の購入代金(広告宣伝費)はスポンサー企業へ返金されていないようです。スポンサー企業にとってみると、TV局に支払った広告宣伝費が結局自社製品の宣伝ではなくACのCMに使われてしまっているように思えますし、またACも広告枠の利用代金をTV局または自粛したスポンサー企業側へ支払っていないようです。つまり、お金の流れをみる限り、スポンサー企業はACのために広告宣伝費を払っているようですね。そこで、これではスポンサー企業からACに対する寄附に該当するのではないかと疑問が生じるわけですが、みなさんはどのように考えますか?
 
 税法上の見解をお話しましょう。法人税法第37条第7項には、寄附金の額には、経済的な利益の贈与又は無償の供与をした場合などにおける当該経済的な利益の供与時における価額などによるものが含まれているとあります。つまり、直接金銭を渡さなくても、経済的利益の贈与があればそれも寄附金にあたりますというのがこの条文の解釈です。このことから、、ACはスポンサー企業から経済的利益を受けているのではないかを検討する必要があります。

 ところが、今回のACの放送については、スポンサー企業側は震災による自粛で仕方なく流させたものであり、またAC側からみても望んで放映しているわけではなく、また視聴者からも「大量放映でしつこい!」「ACのロゴのメロディが不快だ!」などと多くの苦情を受けたようです。このようなことから、今回の状況は経済的利益の贈与を得たとは言い難いと思えるため、寄附金の額には該当しないと考えられます。

 ちなみに、広告宣伝費も寄附金も企業活動の経費となることは変わりなく、経理上では同じ扱いですが、税務的には大きな違いがあります。というのは、法人税の計算では、寄附金は大半が経費と認められないため、法人税が課税されてしまうからです。とはいえ今回の件は、上記の通り、経理上も税務上も同じく経費と処理できることになります。

 これからますます今回の震災にかかる様々な税制が確定、改正していくことになりますので、当事務所からも情報提供を心がけていきたいと思います。

扶養控除の対象となる扶養親族とは?

扶養控除の対象となる扶養親族とは?

それいゆ通信027号

関与先の皆さま

 こんにちは。暖かい日と寒い日が交互にやってきて、なかなか春の予感がしませんね。それでも事務所の前の桜並木(その名も「さくら通り」)では、少しずつ木々のつぼみが大きくなっているのがよくわかります。春はもうすぐそこです!それでは、事務所通信の平成23年4月号とともに「それいゆ通信027号」をお届けします。

 今回の事務所通信は、『変化の兆しを見逃すな』と題して、売上数値の捉え方を特集しています。新聞等では景気が上向きになってきたと様々な指数がでていることもありますが、中小企業の現状や先行きは、まだまだ厳しいのが正直なところです。そこで、明るく前向きになって、自社の業績の良い兆しに気づくためにはということで、売上の変化の兆しについて取り上げています。他にも、利益はもちろん仕入やその他の経費の変化についてもチェックすることで、自社の状況が捉えられます。TKC会計ソフトを導入の法人様では、巡回監査時に前年同月比較でご説明していますが、1年前と比べてどの費目がどれ位変わったか確認をしてみてはいかがでしょうか。

 引き続き、それいゆ通信では、確定申告期間まっただ中ということもあり、今回大幅な改正が生じた扶養控除に対する、皆さまからのよくある質問について解説していきます。

 ①そもそも「扶養控除」とはなんですか?
  所得税の納税義務者(=所得者)に配偶者以外で生活の面倒をみている親族がいる場合、その人数に応じて一定額を所得金額から差し引くことをいいます。よって、扶養親族がいる人はいない人に比べて税金が安くなります。

 ②では、その扶養親族の範囲は? 扶養している親族ならば誰でも扶養控除に該当しますか?
  扶養控除の対象となる扶養親族は、所得者と「生計を一にする」子や孫、父母や祖父母、兄弟のうち、合計所得金額が38万円以下の人をいいます。

 ③「生計を一にする」とはなんですか? 同じ家に住んでいないといけないのですか?
  生計を一にするとは、必ずしも同じ家で生活を送ることを指すわけではありません。仕事や療養などの都合で別居していても、余暇には生活を一緒にすることを常としている場合には、生計を一にするものとみなされます。

 ④一人暮らしの子供や田舎の親へ仕送りをしている場合は?
  大学に通う子供へ仕送りをしていても、夏季休暇などでは家に帰ってくる場合は生計を一にするとみなされますが、その子供が生活費を補うためアルバイトしている場合には、そのアルバイト収入が103万円以下であれば扶養控除がうけられます。また、所得者が離れて住んでいる親の生活費の全てを仕送りしているような場合は、同居していなくても扶養親族とすることができます。ただし、注意点があります。仕送りを証明するものとして銀行振込にしたり、現金書留にするなど送金の事実を確認できるものを保管しておきましょう。

 ⑤子ども手当、高校無償化と扶養控除の関係は?
  今回の税制改正により、子ども手当が支給されている15歳までの子供に対する扶養控除が廃止されました。また、高校実質無償化に伴って、16歳から18歳までの子供に対する従来の控除上乗せ分が廃止されることになり、ケースによっては負担が増える人がいます。(該当する場合、1月から給与の手取りが減っています)

 いかがでしたか。ご参考になりましたでしょうか。
 その他ご質問がありましたら、いつでもご連絡くださいね。次回以降で取り上げさせていただく予定です。

公益法人制度改革

公益法人制度改革

それいゆ通信026号

関与先の皆さま

 
 そろそろ花粉症の時期ですね。今年は例年に比べて随分と量が多いとか。私はすでに予防薬を飲んで備えているつもりですが、皆さまもしっかり対策をして花粉に負けずに頑張りましょう。それでは、事務所通信の平成23年3月号とともに「それいゆ通信026号」をお届けします。

 今回の事務所通信は、『ヒットの秘訣』を特集しています。本編で紹介されている「24時間営業の畳屋」は、夜中に畳を張り替えてもらえないかといった問合せが何件かあったことから思いついたサービスだそうです。みなさんの会社にも「変わったお客さんがいた」「普通ではない問合せがあった」など、一風変わった要望などが寄せられることもあるかと思います。そんなときには、ただ「変わったお客さん」ということで終わらせず、新たな商品やサービスを生み出すヒントにならないか検討してみてはどうでしょうか。

 今回のそれいゆ通信では、当事務所業務案内も兼ねて、公益法人改革について説明したいと思います。あまり耳にする機会は多くないと思いますが、平成20年12月から「公益法人改革3法」が施行され、新公益法人制度が始まっています。
 
 公益法人とは、社団法人や財団法人の名称を持つ法人のことで、最近は事業仕分けで取り上げられ、天下りの温床だと指摘されたり、一旦公益法人として設立されてしまえば、一般企業よりも税制面で優遇されているため、営利性、収益性が高い公益法人は膨大な内部留保を持つ点などが問題視されました。その他にも政治資金や官との癒着など様々な問題が表面化したため、今回の大改正となったわけです。
 具体的には、上記の3法施行以降、従来の公益法人は特例民法法人と呼ばれることになり、平成25年11月末までの5年間をかけて、公益性を追求する新公益社団・財団法人へ移行するか、通常の一般社団・財団法人に移行しなければ、解散しなければならなくなりました。この移行のプロセスについては割愛しますが、法人の組織、理事会や評議会などを再構成し、定款を見直し、さらに公益法人新会計基準に基づいて移行申請書を作成するなど揃える書類も多岐にわたるため、外部の専門家に依頼されるケースが多いようです。当事務所でも現在、数法人から申請支援コンサルティング業務を受託しているところです。公益法人というのは、今までディスクロージャーが不要であったこともありブラックボックスとも言われ、、通常の税務顧問とは異なり外部の立場から、公益法人の実情と現実に非常に興味を持って仕事をしています。

 さて、その公益法人改革ですが、最近新聞を賑わしているのがご存じ「財団法人日本大相撲協会」ですね。国技である大相撲の興業を事業とするこの公益法人も例外ではなく、税制のメリットを受け続けられる新公益法人として存続するか、一般企業並みの一般公益法人に移行するかと決断を迫られるわけですが、今回の様々な問題をはじめ、年寄名跡など金銭面の不透明さや反社会勢力との関係が問題視され、新公益法人の認定には依然障害が大きいと思われます。
 ただ、所管官庁の文部科学省からは、公益制度改革とは別に、現状の公益認定自体を取り消す可能性もあるとのコメントが出されているようです。これはどういうことかというと、財団法人として認可を今現在取り消されるとなると、大相撲協会は平成25年11月末のタイムリミットを待たず、即刻解散に追い込まれ、国技館などの膨大な財産はすべて処分、つまり国庫に没収される可能性が出てきます。国技である以上、そのような最悪の事態は考えづらいですが、公益法人改革に則った新公益法人への道は遠く険しくなったのは間違いないと思われます。

 タイムリミットまであと約3年、これからますます公益法人関連のニュースは多くなるはずですし、また改革自体を司るのは内閣府特命大臣である蓮舫大臣で、内閣府のホームページでメッセージも発信しています。ご興味を持たれた方はぜひ一度ご覧になってはいかがでしょうか。

平成23年新年号と相続税

平成23年新年号と相続税

それいゆ通信025号

関与先の皆さま

 明けましておめでとうございます。今年は卯年、ピョンピョン飛躍できるよう頑張りましょう。それでは、事務所通信の平成23年2月号とともに「それいゆ通信025号」をお届けします。

 今回の事務所通信は、さすが新年号、どれも重要なテーマが取り上げられていますが、「社内に活気を取り戻そう!」を参考にしてみてください。朝礼を実施していない会社はほとんどないと思いますが、活気がなく事務的に連絡事項を伝えるだけになっていませんか。朝礼の目的は様々ですが、①社長の方針を明確にし、徹底をはかる、②挨拶、マナーなどの基本動作を習得するなどの効果があるとされています。本文中にあるように社員の自慢話などテーマを工夫するなどして、風通しがよく、気さくな雰囲気を作ることで、社員のモチベーション向上も期待できると思います。ぜひ特集をご一読ください。

 今回のそれいゆ通信は、年末直前に新聞紙面を賑わせていた税制改正について、相続税の増税について解説をします。相続税ときくと自分にはあまり関係がないと思いがちですが、今回の改正により、対象者が新たに増え、身近な問題となりそうな流れがあります。

 まず、そもそも相続税とは、どのような税金でしょうか。相続税とは、亡くなった方の財産を相続や遺言により取得したときに生じる税金で、取得した財産が一定額以下であれば相続税は課税されず、申告の必要もありません。今までほとんどの方が相続税は無関係だと思っていたのは、この「一定額」、つまり財産から控除できる額がかなり高額であり、この控除額を超えるほどの遺産を取得する人(要は相続税を払う人)がほとんど見られなかったからです。

 具体的にはこの「一定額」は、基礎控除という定額部分の5,000万に加えて、法定相続人1人当り1,000万となっていました。仮に夫が亡くなり、妻と子供2人だった場合は、5,000万+1,000万×3=8,000万 となります。様々な特例や控除等もありますが、簡単に説明すると、8,000万以上財産がある場合にだけ相続税発生ということでした。

 ところが、今回の税制改正では大改革が行われました。この一定額が4割削減され、定額部分が3,000万、1人当りの部分が600万に下がり、また最高税率も50%から55%に上がって、大幅増税と考えられます。さらに具体的に、上記の妻+子供2人が1億円の遺産額を法定相続分通りに相続する場合を試算してみると、現行では100万円で済んでいた相続税が改正後は315万円に増えることになります。そしてこのように、控除額というハードルが下がったことで、従来は亡くなった方のわずか4%しか納めていなかった相続税ですが、課税対象者は確実に増えることになります。

 相続は発生してからでは手遅れです。生前贈与、相続時精算課税など対策を急ぐケースもあると思います。相続税とは、確実な節税の手が打てる数少ない税金ですので、この機会に少しでも理解を進めてみてはいかがでしょうか。事前のご相談や不明点のお問合せもお受けしております。
 
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