楽器に関税?!

楽器に関税?!

それいゆ通信057号

関与先の皆さま

 今回のそれいゆ通信は、「関税」についてです。普段おなじみの税金には、法人税、消費税や相続税などの国税がありますが、それ以外に国への税目として「関税」があります。関税とは、自国の産業を守るために、他国からの輸入品に税金を掛けて簡単に輸入品が売れてしまわないようにする税のことで、関税を含めた輸出入にかかる手続きである通関業務は、主に通関士と呼ばれる有資格者が手掛けています。

 昨今話題のTPPは、この関税を撤廃することによる、貿易の自由化と経済発展を目的としているのはご存じのとおりです。また、メリット・デメリットは、それぞれの業界からの視点により異なりますが、一般的には、貿易の自由化が進むことで、障壁がなくなり、日本製品の輸出額が増大し、GDPや国民所得が増加していくといわれているところです。

 その一方で海外の安価な商品が流入することによってデフレを引き起こす可能性があります。特に農業では、関税が撤廃されると、アメリカから安い農作物(特にお米)が入ってくるため、大きなダメージを受けると想定されています。また貿易の円滑化だけでなく政策面でも、医療サービス、医療保険が自由化し、混合診療が解禁されれば、日本の社会保障の根幹ともいえる国民皆保険制度が揺らぎ、医療格差が広がる懸念もあります。日本政府はまだまだ交渉の入り口に立ったような状況のようですが、私たちの生活にも深くかかわってくるTPPの問題は目が離せないものとなりそうです。

 そんな渦中の「関税」について、より重要な税目として扱われているという例をご紹介しましょう。昨年、ベルギー在住の日本人バイオリニストのバイオリンが、ドイツの空港の税関に没収されたのを覚えている方も多いかもしれません。バイオリン評価額100万ユーロ(約1億3000万円)に対して税率19%の関税で、19万ユーロ(約2500万円)も要求されたという報道がありました。最終的には無償で返還されたようですが、そもそもこれは、ドイツの税関が著しく厳しい(国内経済が窮境のため、法人税等の税収では賄えず、関税も重要な財源)ということを認識していなかったために、通関に必要な書類や証明書(要は国内販売用の楽器ではないという証明)の提出を怠ったというのが原因だそうです。   

 従来、演奏家の楽器は無審査が慣例だったそうですが、経済不況で自国の産業を守るために、また何より税収を確保するために、税関が取り調べを強化したというのが真相のようです。いまや世界中の各国は、税に対する見方がシビアになってきているように思います。以前掲載したタックスヘイブン、租税回避問題もG20の重要検討課題のようです。私たちも今一度、納税や税収の使われ方などを意識してみましょう。

「限定正社員」制度の創設

「限定正社員」制度の創設

それいゆ通信056号

関与先の皆さま

 今回のそれいゆ通信は、アベノミクス3本の矢、雇用分野における規制改革の1つである「限定正社員」制度の創設を考えていきましょう。「限定正社員」は「ジョブ型正社員」と呼ばれたりもしているようです。

 この新制度の創設には、今年改正された労働契約法による有期労働契約の新ルール発足があります。新ルールのポイントは、①有期労働契約の期間は更新を含めて最大5年まで、②通算5年を超える有期労働契約が締結されたときから無期契約への転換申し込みの権利が付与される、というものです。この②によって、将来、有期労働契約を無期へ転換制度を構築する必要が生まれ、その結果「正社員でない無期労働契約」形態としての「限定正社員」というものがクローズアップされることになったようです。
 それでは、いわゆる「正社員」と「限定正社員」の違いはなんでしょうか。通常の正社員は、労働契約の期間がなく(無期)、転勤や職種変更、時間外労働があるのが前提です。一方、限定正社員は、労働契約の期間がないのは同じですが、勤務地や職種、労働時間のいずれか(又は複数)が限定されているということになります。
 この限定正社員制度は、政府は2014年度をめどに法整備を目指していますが、この制度によりどんな影響が考えられるでしょうか。メリットとしては、非正社員の雇用が安定するのではないでしょうか。従業員の中には、雇用の安定(無期契約)を希望しても、転勤や職種変更を望まない人もいるはずなので、そのような働き方にも合う制度だといえます。また労働条件が限定されることで、子育てや介護というライフサイクルに応じた勤務環境が整備され、女性にもさらに就業の機会が拡大するように思われます。
 問題点としては、従業員を雇用する企業の立場から、就業規則や労働契約で、今までなかった限定正社員という位置づけを明確にすることができず、あいまいなまま運用されてしまう恐れも指摘されています。勤務地限定の労働契約の場合、様々な事情で勤務先の事業所が閉鎖された場合、容易に解雇の対象になりかねません。雇用主には、より一層の就業規則や労働契約のルールの明文化が求められることになるといえるでしょう。労働条件通知書(雇用契約書)に職務内容や勤務場所を明記することは今後必須となりそうです。

 いずれにしても、雇用と解雇については、労働契約法によって厳格なルール(解雇権乱用の法理といいます)があるので、経営者としては、雇用についての責任、解雇については客観的な合理性や社会的相当性が求められることを意識しておくことが大切になります。
 
 今の小学生の60%は、今はまだ存在しない職業につく可能性が高いといわれていますが、現代社会においては、働く意識や働き方も様々になって複雑化しています。企業は、そのような多様性に着実に対応していくことが不可欠となりそうですね。ぜひこの機会に、自社の労働環境、就業規則等について見直してみてはいかがでしょうか。

タックスヘイブン

タックスヘイブン

それいゆ通信055号

関与先の皆さま

 

 今回のそれいゆ通信は、「タックスヘイブン」を取り上げます。既にご存じの方も多いと思いますが、「タックスヘイブン」とは、法人税などの税率を意図的に低くしている国や地域のことで、代表的なのは、カリブ海の英領ケイマン諸島やモナコ、香港などです。企業は、実体のないペーパーカンパニーや銀行口座を作って、資産や所得をこれらの国へ移すことによって、法人税の支払額を減らしています。これがいわゆる「課税逃れ」や「租税回避」と言われるものです。
 
 最近明らかになったアップルの租税回避戦略の1つが、アイルランドを利用した仕組みで、簡単にいうと、アップル本社のある米国と子会社を設置したアイルランドの課税対象の違いを抜け穴として使ったものです。米国は、設立地が米国内の企業に対して課税し、アイルランドはアイルランド国内に経営機能がある企業に課税するという税制になっています。そこで、アップルがアイルランドに設立した子会社は、米国に経営実態を置く形にすれば、その子会社の利益にはどちらの国からも課税されないことになります。アップルは、アイルランドに世界中で稼いだ利益を集約させることで、グループ全体の実効税率はかなり低く抑え、税負担を免れていたと批判されています。同様に、スターバックスはオランダの低税率を利用することで、ヨーロッパの拠点がある英国にほとんど納税していなかったということで、デモや不買運動が起こったのも記憶に新しいところです。

 税負担を軽減する行為というのは3つあります。1つは誰でも行う「節税」で、法律自体が認めている行為で、一方、法律の範囲を逸脱した行為が「脱税」となります。上記のアップルやスターバックスは、この2つの中間での「租税回避」と呼ばれるもので、倫理を逸脱した異常な節税行為ですが、ただ違法ではないため、各国とも課税したくても課税するのが現状では難しいとされています。

 企業には、最大限の利潤を追求するという株主に対する責任があり、利益を上げて雇用を生み出し、社会に貢献するという大命題もあります。そのため、行き過ぎた節税に対しても企業活動の一環である、税金をコストとすればそれを削減するのは企業倫理として間違っていない、という考え方もあると思います。一方、本来納めるべき税金を納めていないということは、その企業以外の企業や一般市民が納めた税金で提供されるインフラや行政サービスをただ同然で使っているという批判も生んでいます。納めるべき税金を納めてもらっていれば、国は財政難を避けられたかもしれない、その結果、医療や教育など行政サービスももっと手厚くなっていたかもしれないという主張で、グローバル企業の節税対策には今や厳しい視線が注がれているようです。

 ただ、先進国と新興国、低税率国とそうでない国々で、それぞれの利害が交錯して、対策がまとまらないのが現状のようです。企業倫理と納税意識、皆さんはこのタックスヘイブンの問題をどのようにお考えでしょうか。

ビックデータと統計学

ビックデータと統計学

それいゆ通信054号

関与先の皆さま

 今回のそれいゆ通信は、最近のメディアで注目されている2つのキーワード「ビッグデータ」及び「統計学」を考えてみたいと思います。この二つはデータを扱うという意味で同じような分野のはずですが、その手法は大きく異なるように思えます。

 アベノミクスを担う成長戦略の1つに、「国籍を超えたイノベーションを日本で起こす」というものがありますが、今月の初めに安倍首相の講演の中で「ビッグデータの活用」が目玉の一つとして語られました。ビッグデータとは、電子メールやツイッター、フェイスブック、YouTubeなどのソーシャルメディアでやりとりされる画像や映像、文字などの情報、またオンラインショッピングやコンビニのレジデータ、デパートの顧客カードや家電量販店のポイントカードなどなど、気が遠くなるほど膨大なデータの集積のことです。これらのデータという宝の山をITを通じてより細かく解析し、ビジネスに活用するのがビッグデータ・ビジネスといわれるものです。
 
 一方、統計学が最強の学問であるというタイトルの書籍がブームとなり書店では平積みになっているのをご覧になった方も多いと思います。同じように膨大なデータを扱い、分析する手法ですが、そのアプローチはずいぶん斬新で、異なります。統計学というのは、帰納的な推論の方法を精緻な数字やデータで組み上げる学問ですが、「帰納」という言葉は、「部分から全体を推論する」という意味です。部分を知っても全体は理解できないという理屈もありますが、身近なこの例ではいかがでしょうか。お味噌汁を作る場面を想像してください。味を確かめるために、鍋のお味噌汁を全部飲み干してはしませんね。1匙分の汁を味見することで全体の味を類推します。よくかき混ぜた鍋のお味噌汁の一匙には、全体が反映されていると考えるからです。統計学とはまさにこの理論を一般化したものに過ぎません。とすると、先ほどのビッグデータが、1つ1つの部分を分析して積み上げるのに対し、統計学が真逆のアプローチのように思えないでしょうか。実は統計学には他にも関係性から類推する回帰分析や類似性を考慮するクラスタ分析というアプローチもあるので、一概にはいえませんが。
 
 いずれのアプローチにしても、IT技術が発展した現代の解析スキルであり、これからの経済やビジネスに必要とされていくことは間違いなさそうです。DMや新しい商品がどのように売上に貢献するか、株相場がどのように動くかなど誰もが知りたいことを簡単に分析できるツールです。ぜひこれからの武器としてご興味を持ってみてはいかがでしょうか。

日本版ISA

日本版ISA

それいゆ通信052号

関与先の皆さま

 今年の桜の見ごろはあっという間でしたが、本格的な春が近づいてきていますね。いかがお過ごしでしょうか。

 先週、友人の結婚式でアメリカに2泊3日で行ってきましたが、驚いたのは消費税です。アメリカは、州をさらに細かく分けた郡ごとに税率が違うのですが、私の訪れたサンディエゴ郡は8.75%でした。これでもカリフォルニア州の中では低い方とか…。おそらく食品や雑貨など何でも一律の税率で、買い物の際には、想定を上回る会計金額で、毎回結構驚きました。

 ちょうど1年後に控えた5⇒8%の税率アップを先取りした気分です。住宅やその他金額の大きな契約などにかかる増税時の経過措置も法案が通り、消費者側も少しずつ準備をしていく必要がありそうです。それでは、事務所通信の平成25年5月号とともに「それいゆ通信052号」をお届けします。

 今回の事務所通信は、財務経営力を高める特集第4回目です。損益分岐点分析、商品の限界利益を踏まえて、利益アップのための具体的な対策を考えるヒントをテーマにしました。
  (1)売上アップ(顧客数の維持、新規拡大、価格体系の整備、販売促進など)
  (2)限界利益率の改善(値引きの減少、仕入原価の見直し、販売ミックスの改善など)
  (3)固定費の削減(不要資産の売却、交通費交際費の削減、人件費の見直しなど)

 紙面にある社長と所長のやりとりをもとに、上記のような視点で検討してみてください。何かヒントになると思います。

 今回のそれいゆ通信は、株式関連税制についてです。折しも日銀の黒田新総裁の大胆な金融緩和策の発表により、上向き傾向だった株式市場がさらに盛り上がってきていますね。日経平均も今年の最高値が目前で、出来高も過去最高になっています。皆様は資産形成としての株式投資はどのようにお考えでしょうか。

 少し先の改正ですが、平成26年1月から「小額投資非課税制度」が始まります。今年の年末で、株式の売却益にかかる課税が10%に軽減されていた措置(本来は売却益には20%の税金が課されます)が終了するのに伴って、新たに開始される制度です。これは、個人投資家が年100万円の範囲で株式や投資信託を購入した場合に、その売却益や配当を非課税にしようというもので、1999年にイギリスで導入されたISA(アイサと呼ばれています)という仕組みがお手本らしいです。

 例えば、ある企業の株式を100万円分買うと、5年間はその株式からの配当や売却益に税金がかからず、現在の改正内容では、5年間の優遇が決まっているので、年100万円分の投資額が5年分ある計算になり、つまりは非課税扱いの投資枠は最大で500万円分あることになります。

 非課税適用期間は上記のとおり5年ですが、制度自体は少なくとも10年間は存続させる見込みのようなので、最初の年に投資した分は6年目には非課税の適用がなくなってしまいます。そこで、政府は6年目以降も100万円分までは非課税分の持ち越しを認めることを検討しているようです。100万円の株式が5年後に150万円に値上がりした場合(是非ともこうなってほしいですよね!)は、6年目以降も100万円部分は引き続き非課税とし、増えた50万円部分は課税対象として区分することを税法上定めるということのようです。

 そもそもの制度創設の狙いは、個人が退職後の生活に備え、長期にわたって配当を得るなど資産をじっくり増やせる仕組みを作りたいというところにあったようですが、この予想外の急激な株式市場の活況で、幅広い世代の個人投資家に歓迎されそうです。バブルの狂想曲の市場を経験した世代は、投資には慎重にならざるを得ませんが、それでも新しい日本に向かって、経済が活気を取り戻してほしいですね。

25年度税制改正について

25年度税制改正について

それいゆ通信051号

関与先の皆さま

 日差しが温かく感じられる日も多くなり、いよいよ春が近づいてきているように思いますが、いかがお過ごしでしょうか。

 事務所の前の桜並木のつぼみも少しずつ膨らんできています。今年は桜の開花が早いと聞きましたが、東京駅近辺にいらっしゃる際には、ぜひ事務所にお越しください。特等席でお花見ができるようにご用意してお待ちしております!満開の時期には、窓から見下ろすと道路が見えないほど素晴らしい眺めです。それでは、事務所通信の平成25年4月号とともに「それいゆ通信051号」をお届けします。

 今回の事務所通信は、先月に引き続き「財務経営力を高めよう」という特集で、今回は、限界利益について解説してあります。ショートケーキとシュークリームを例にして、どちらをどれだけ売れば、どのように利益が出るか、どのようにすれば計算できるかというイメージを掴んでください。売れ筋商品ではなくとも、利益に貢献している商品があることも考えられ、限界利益の高い商品の売り上げ構成を見直すことも利益改善の方法の1つであることを確認してみてください。

 今回のそれいゆ通信では、今年度税制改正について、法人関連のポイントをいくつかご説
明します。

 今年度の税制改正は、紙面やTVで取り上げられている通り、雇用の改善を重要課題に掲げる安倍政権の意向を踏まえ、雇用や所得の拡大を目的としたものが多いのが特徴といえるでしょう。企業関係では、雇用喚起による減税や、消費を活発化させ経済に活気を取り戻させるための交際費減税があります。

 まず、企業において交際費は、所得計算上は一定限度額までしかその事業年度の経費には算入できないというのは既にご存じの通りですが、中小企業にとっては、販売促進など営業活動上不可欠であり、経費として認められることは非常に重要です。そこで、近年の改正により、資本金1億円以下の中小企業に限って、1人当たり5,000円以下の飲食費については、限度なく経費と認められるという特例が設けられたのは、巡回監査の折に触れてご案内している通りです。今回はさらに進んで、従来は年間600万円までは10%が経費と認められなかった(つまりは90%のみは経費に計上できた)という分を、800万円までは全額経費にしようという改正となりました。「税制改正号」本編に具体例があるので、数値をみると理解しやすいと思います。

 次に、雇用関係の税制改正は二つの柱から成ります。1つ目は、民主党政権時代からすでに始まっている「雇用促進税制」の拡充です。従業員を1人増やすごとに法人税額の控除があり、従来は1人20万円でしたが、今年度から40万円となりました。適用要件や判定要件があり、事前にハローワークでの手続きが必要になるなど手間はかかりますが、従業員の新規採用を予定している法人はぜひ適用をご検討ください。実際に適用できると、かなり納税が減ってくるのでとても効果があります!

 雇用関係の2つ目は、支払給与総額を前年と比べて増やした分の10%相当額、それを最大で法人税額の20%に達するまで控除できるという制度の創設です。企業がボーナスを支給したり、非正規労働者を正社員に転換して給与を上げたりする場合を想定しています。こちらにも細かい適用要件はありますが、平成25年4月開始の事業年度から始まりますので、来期の予算を考える際に参考にしてください。「税制改正号」本編では、B社の数値でイメージしやすい事例を掲載しています。

 その他、商業・サービス等投資促進税制という、こちらは中小企業庁に認定された経営革新等支援機関からの助言により設備等の取得をした法人に対する税額控除制度なども創設されました。当会計事務所も上記の経営革新支援機関に認定されていますので、店舗の改修や器具等の入替えを検討する際にはぜひご相談ください。適用条件や対象となる設備についてご説明いたします。

 改正事項については、適用開始のスケジュールが様々で、決算月ごとに導入時期も異なります。また戦略的に使って行けるかどうかは事前の準備次第でもあります。今の時期は、来期の予算を立てる時期でもありますので、ぜひ一緒に検討していきましょう。

消費税の軽減税率

消費税の軽減税率

それいゆ通信050号

関与先の皆さま

 毎日寒い日が続いていますが、いかがお過ごしでしょうか。風邪やインフルエンザなどなどマスク着用が日常的になっていますが、そろそろ花粉症の時期も近づいています。今年は例年に比べて随分と量が多いとか。引き続きマスクが手放せない方も多いのではないでしょうか。しっかり対策をして花粉に負けずに頑張りましょう。それでは、事務所通信の平成25年3月号とともに「それいゆ通信050号」をお届けします。

 今回の事務所通信は、先月に引き続き「財務経営力を高めよう」という特集で、今回は、損益分岐点について解説してあります。毎月の巡回監査終了後、お渡ししている変動損益計算書がどうして大切なのかを知っていただくために、イメージしやすいケーキ屋さんの事例で説明してあります。いくつショートケーキが売れれば、損益トントンになるのか、変動費と固定費とは…など、その考え方の基本を理解したうえで、今後の目標売上高設定、予算設定にお役立てださい。

 今回のそれいゆ通信では、昨今の税制改正の目玉である消費税率アップに関連して、自民・公明両党が合意したと発表された「軽減税率の導入」について解説します。今回の両党の合意の内容は、平成27年10月に消費税率が10%に上がることに伴い、「軽減税率」の導入を目指すというものです。あくまで目指すとだけしているのがポイントかとも思われますが、そもそも軽減税率とはどのようなものでしょうか。

 これは、税率アップの際に、食料品などの生活必需品の税率を低く据え置いて、国民の負担感を和らげる仕組みで、ヨーロッパ各国が採用しているものです。ただ導入にあたっては、対象とする品目の線引きや、複数の消費税率で商品を管理する企業側の事務負担など解決すべき課題は多く、大きな障壁となっています。

 与党が軽減税率の導入に積極的なのには理由があり、消費税増税は所得の少ない人ほど負担感が強まるため、それらの不満を回避したいというのが第一でしょう。所得に違いがあっても、生活必需品の購入はそれほど差があるわけではありませんから、高所得者の所得に占める消費税負担より、所得の低い人の負担割合の方がより高くなってしまうため、不公平感が生じやすくなっていると言えます。これは消費税の逆進性という性質上やむを得ないことなのですが、増税と軽減税率を使い分けて、不満を最小限に抑えて歳入を増やしたいというのが政府の意向でしょうか。

 例えば、生活に欠かせない商品やサービスに絞って対象にするなら、少ない収入をもとに生活必需品を購入しなくてはならない高齢者などにとってはありがたい仕組みとなるはずですが、やはり検討課題は多いと思われます。

 まずどの品目を軽減の対象とするかが最大の課題となるでしょう。食料品といっても高級品から中食(お惣菜など)、外食までと幅広いですし、そのほかの業界からも、「我々の商品こそが生活必需品!」とのアピールが激しくなってきています。購読されている新聞でも「健康で文化的な最低限度の生活を営むためには、新聞の購読は欠かせない!新聞に軽減税率を!」という広告をご覧になったことがあるかもしれません。このように各業界や各産業のうち、どれに軽減税率を適用するかを決定するのは容易なことではないはずです。また消費税率1%分を軽減することで落ち込む税収を補う財源のあてもまだはっきりしないという問題点もあるように思えます。

 来年25年4月に8%への引き上げが迫る中、なかなか議論が深まっていかないのが現状のようです。また本来であれば、増税と合わせてその使い道についてもはっきりと追及していく姿勢が必要ですね。というわけで、私たち個人の生活だけでなく、会社の経営にも大きな影響を及ぼすであろう消費税率の引き上げについては、さらなる続報が入り次第ご報告したいと思っております。

「財務経営力」とは

「財務経営力」とは

それいゆ通信049号

関与先の皆さま

 あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

 また今月、当事務所が開業以来10周年を迎えることができました。関与先皆さまの支えがあり、今日の温井会計があると感謝しております。本当にありがとうございます。

 新たな10年先に向かって、初心を忘れることなく、引き続き邁進したいと思っております。まだまだ至らぬ点も多くありますが、全力で皆さまをご支援していくつもりでおります。引き続きご指導、ご鞭撻よろしくお願い申し上げます。それでは、事務所通信平成25年2月号とともにそれいゆ通信049号をお届けします。

 今回の事務所通信は、「財務経営力を高めよう」という特集で、変動損益計算書を3回にわたって掲載します。そもそも財務経営力とは何でしょう。中小企業庁がまとめた中小企業のありかたの1つに戦略的経営力を強化することという点があります。そのポイントとなるのが、「財務経営力」と言われるものです。
 
 これは、中小会計要領を適用しつつ、期中の業績管理を行い、信頼性の高い決算書を作成し、そこから経営者が自社の経営状況を把握し、経営計画を作成するとともに、金融機関等の利害関係者への財務状況や資金繰りの状況に関する説明ができる能力のことです。要するに、財務状況を把握し、それに基づいて的確に経営方針を構築していく力のことで、まずは毎月の試算表を理解していくことか第一歩です。解説はなるべく平易に損益について書かれています。ぜひご一読ください。

 今回のそれいゆ通信では、今年の業績アップにつなげるべく2012年のヒット商品を振り返ってみたいと思います。

 「モノ」から「コト」への消費が流れた1年だったと言われています。それは、現代は、モノである物質の時代から、コトである思い出、サービスや体験を重視する時代へ移っているということです。ものづくりに集中して、良い製品を生産して、それにより顧客を満足させていた時代は終わり、近年では、そのモノをつかってどのようなコトができるのかを重要視するようになってきています。        

 また現代日本において、それを支えているのは、経済的・時間的に比較的余裕のあるシニア層なのは間違いなく、番付上位はシニア向けが多いようです。若い世代や家族層から人気だったのは、やはりスマホ関連など新たな体験や利便性を感じることができる商品やサービスのようです。今後も消費者にいかに「驚き」を与えられるかがヒットのポイントとなりそうです。改めて眺めてみて、サービスの多様さに対応することの重要性を感じました。皆さまはどう思われましたか。今年はどんな年になるのでしょうか。ぜひ一緒にがんばりましょう。本年もよろしくお願いいたします。

簿記と七福神

簿記と七福神

それいゆ通信048号

関与先の皆さま

 早いもので今年も残り1か月となりました。ますます寒くなっていきますが、暴飲暴食にくれぐれも気を付けて、体調管理には十分ご注意ください。また、別紙には来年の一粒万倍日カレンダーを掲載しましたので、恒例ですがご参考にどうぞ。このそれいゆ通信ですが、毎月、一粒万倍日を目安に発行していますが、皆様お気づきでしたか??
それでは、事務所通信平成25年1月号とともにそれいゆ通信048号をお届けします。

 今回の事務所通信は、新年号らしく商売に対する心構えや思想についての特集です。経理(簿記)の発祥はイタリアだというのはよく知られた話ですが、元来イタリア商人の会計や金融の知識が優れていたことを示す証拠に、11世紀から13世紀の十字軍遠征の際に、ローマ教皇庁から十字軍の遠征費用を送金する業務を請け負っていたという史実が残っているそうです。現金でのやり取りが主流だった当時のヨーロッパにおいて、彼らだけが、現金を直接輸送することなく各地の商売拠点や代理人を使って安全に資金を指定の場所に用意できたそうです。それほど優れた為替や金融の知識、通信手段をもっていたということですね。そして、今も昔も商売の基本は、帳簿つけや現金管理には変わりありません。特集をぜひご一読ください。

 さて今回は、いつもと趣向を変えて、お正月を目前に七福神にまつわる話を少し。七福神めぐりに特別な作法はないようですが、その発祥などを知ることでよりありがたみが増しそうです。お詣りの前の予習で、年初から幸先の良いスタートにしましょう。

 七福神は、インドのヒンズー教、中国の仏教や道教、日本の土着信仰、と宗教を超えた神様の集まりだそうです。その由来は、仏教の「七難即滅、七福即生」という言葉とされて、それを元に古くから信仰されている7体の神様が取り揃えられたという説があります。様々な神様を集めてしまうという発想は、いかにもやおよろずの神というか、日本独特の感覚な気がしますね。これらは室町時代に成立したそうですが、徳川家康が特に弁財天を信仰していたことから、関東で大きく広がり、吉宗の時代に庶民のお正月の習慣として定着したそうです。

 神様のお国やルーツが様々ということから、御利益もいろいろと違いがありそうです。せっかくなら得意分野の願をかけて、より多くの御利益を得られるように、それぞれの神様についてチェックして、ぜひ楽しくお詣りなさってきてくださいね!

①毘沙門天…インドの神様で、仏教では多聞天といわれます。鎧をまとって、国土守護・大願成就・悪魔降伏と勇ましい神様です。

②弁財天…紅一点で、インドのヒンズー教で水の神様。湖や水辺に祀られることがおおいようです。音楽と弁舌に優れており、学芸全般と財宝授与の御利益があります。

③布袋尊…中国唐時代の実在した禅僧、契此(かいし)がルーツ。楽天的生き方をした僧だったようで、福運や平和安穏、家庭隆盛の御利益があるそうです。袋の中身が尽きなかったことから大量の御利益が期待できそう。

④寿老神…中国道教の神様。老子が仙人になった姿といわれ、病気平癒や長寿延命など健康と安全を司ります。白く長いひげをたくわえて、巻物や杖を携えています。

⑤大黒天…インドのヒンズー教の破壊神がルーツですが、仏教ではなぜか五穀豊穣をもたらす富と財の神様。頭巾と小槌を持っています。小槌は土と命を育む大地を表しているそう。

⑥福禄寿… 中国人の最大願望「幸福」「俸禄」「長寿」のすべてを授ける中国道教の神様。杖を持ち、胴体と頭の長さがほぼ同じというユニークな姿が特徴的。

⑦恵比須…唯一日本からランクインしている神様。鯛を抱える姿から漁業を主として、農民や商人全般の味方であり、商売繁盛、旅行の安全を叶えてくれるそう。

 それでは、今年のそれいゆ通信は今回が最後です。いろいろなことがあった1年でしたが、皆さまには大変お世話になりました。またそれいゆ通信も続けて読んでいただきありがとうございました。来年もどうぞよろしくお願いいたします。   

酉の市

酉の市

それいゆ通信047号

関与先の皆さま

 こんにちは。今年も残すところ2か月弱となり、そろそろ冬の風物詩でもある酉の市開催の時期ですね。当事務所も毎年、深川大鳥神社にお参りして熊手を授けてもらっています。今年の酉の日は2回で、8日と20日です。金運隆昌や商売繁昌を祈願する人で、夜通し参道は大賑わいで、私も少しでもあやかりたいと毎年参詣を続けています。浅草や新宿の花園神社の酉の市が有名ですが、意外にあちこちに大鳥神社はあるもので、きっと皆さまのお住まいの近くにもあると思います。防寒をがっちりして、ぜひお出かけになってみてはいかがでしょうか。新しい熊手を手に、散策するのは楽しいものです。ただ、幸運や福だけでなく、くれぐれも風邪を呼びこまないように気を付けてくださいね。それでは、事務所通信平成24年12月号とそれいゆ通信047号をお届けします。

 今回の事務所通信は、特に来年1月からの復興特別所得税の源泉徴収についてご確認ください。この復興特別所得税とは、東日本大震災からの復興の施策を実施するための財源となるもので、個人の所得税に対して、一律2.1%上乗せするものです。そこで、給与所得者の方の場合、給与総額に変動がなければ、1月から天引きする所得税が増額となるため、手取額がその分減少しますので、注意が必要です。また弁護士等への報酬にかかる預り源泉税についても上乗せ分が発生するため、支払額は減少することになります。当事務所からのご請求についても同様で、皆様にお振込みいただいている金額が変更となりますので、追って個別にご連絡いたします。また、その他銀行の利子についても計算方法が変わるなど大幅に処理の見直しが必要となりますので、まずは特集をご一読して準備をお願いします。今後巡回監査の折に、詳しくご説明していく予定です。