貸倒損失の取扱いについて

貸倒損失の取扱いについて

それいゆ通信095号

関与先の皆さま

 こんにちは。マンション販売大手7社が運営するサイトでのマンション購入希望者への「住んでみたい街」アンケートで、首都圏では2年連続で1位が恵比寿、2位が吉祥寺だったそうです。恵比寿を選んだ理由が「交通の便」、吉祥寺を選んだ理由が「商業施設の充実」といった利便性を上位に挙げていることから、マンション購入希望者の「職住近接」を求める傾向が反映された結果であることがよくわかりますね。それでは、事務所通信平成28年12月号とともにそれいゆ通信95号をお届けします。

 今回の事務所通信では、扶養控除等申告書の記載上の注意点と印紙の貼り忘れ等をメインに、印紙税の基礎知識について取り上げられています。
 主に前者については記載の仕方でよくある記入漏れや間違いやすい箇所についての注意点が紹介されており、後者については課税文書の具体例と課税文書の印紙の貼り忘れや消印漏れがあった場合の留意点について紹介されています。どちらも重要な内容ですので是非ご一読ください。
 株式会社TKC発行「戦略経営者」11月号P.72に当法人が取り上げられました! こちらもどうぞご一読ください。

 今回のそれいゆ通信では、「貸倒損失」について取り上げます。貸倒損失とは、当期に発生した売掛金や貸付金などの金銭債権が取引先の経営不振や倒産により、回収できないことが明らかとなった場合に計上する費用です。
 では、税務上ではどのように取り扱われているのでしょうか。貸倒損失は回収不能となった法人が有する債権の全部または一部の額が、厳密に定められた一定の要件により、その事実が発生した日の属する事業年度に損金算入することが認められています。

 一定の要件とは、法律上の貸倒れ、事実上の貸倒れ、形式上の貸倒れの3つの場合に限定されています。法律上の貸倒れは、債権の全部または一部が会社更生法や民事再生法等の法的手続きにより切り捨てられた場合や債務者の債務超過の状態が相当期間継続し、その金銭債権の弁済を受けることができないと認められる場合で、法人の経理方法を問わず、法的手続きにより切り捨てられた金額または書面による債務免除額が損金算入されます。
 事実上の貸倒れは、対象となる債権の全額が債務者の資産状況や支払能力などからみて回収不能と明らかとなった場合で、その事業年度において債務者に担保物を提供させていたら、その処分後に貸倒れとして経理処理したときに損金算入が認められています。
 形式上の貸倒れは、継続的な取引を行っていた債務者の資産状況や支払能力などが悪化し、債務者との取引停止後1年以上経過した場合や債務者に対する債権の総額が取立費用より少なく、支払を催促しても弁済がない場合で、対象となる債権が売掛金などの売掛債権に限定されており、固定資産の譲渡による未収金、貸付金や未収利息などは含みません。また、売掛債権の額から備忘価額1円を控除した残額を貸倒れとして経理処理する必要があるため、備忘価額の控除を失念した場合には適用要件を満たさず、売掛債権の貸倒れそのものの損金算入が否認されますので注意してください。

 次号以降は、これから年末調整と確定申告の時期を迎えるということで、これらに関連した内容でよく質問を受ける項目について取り上げたいと思います。

修繕費と資本的支出について

修繕費と資本的支出について

それいゆ通信094号

関与先の皆さま

 こんにちは。最近ヤフーの副社長が週休3日制の導入を検討しているという報道がありましたが、報道によると単純作業は人工知能にし、従業員に人間にしかできない創造性の豊かな仕事に時間を充ててもらうことで生産性を向上させることが主な目的だそうです。日本は諸外国に比べて労働時間が長いといわれていますので働き方の多様化が今後広がりそうですね。それでは、事務所通信平成28年11月号とともにそれいゆ通信94号をお届けします。

 今回の事務所通信では、金融機関が融資の際に中小会計要領を求める理由について取り上げられています。金融機関は、融資先企業から提出された決算書が客観的な会計ルールに基づいて作成されたものかを判別するために、この中小会計要領に則したチェックリストの提出を求めているそうです。
 具体的に金融機関が中小会計要領に基づいて作成された決算書のどの部分に着目して融資や支援に役立てているのかについて紹介されていますので、是非ご一読ください。

 今回のそれいゆ通信では、「修繕費」を取り上げます。修繕費とは事業所や備品などを修繕する際に発生するものですが、固定資産の修理・改良等のために支出した金額のうち、支払った年に支払額全額を経費とすることができる場合と固定資産の取得として複数年にわたって減価償却する場合の2つに分けられます。
 一般的に固定資産の通常の維持管理・メンテナンス費用や毀損した固定資産を原状回復するための支出は、修繕費として全額経費にすることが認められています。それに対して固定資産の価値を高めたりその耐久性を増加させたりするような使用可能期間の延長をもたらすための支出は、修繕費ではなく資本的支出として固定資産として取り扱われ減価償却の対象となるので、毎期の経理処理において注意が必要です。
 修繕費と資本的支出の判断は難しく、実務上、固定資産の修理・改良等のために支出した金額が修繕費と資本的支出のどちらに該当するのか明確に区分できないケースが多く見受けられます。そのため、一定の判定基準が設けられおり、1度の支出が20万円未満の修繕にかかる費用、おおむね3年以内の周期で行われる修繕に係る費用などについては修繕費とされています。また、建物の非常階段の取り付けなど物理的な付加に係る費用、用途変更のための改造・改装等に係る費用などについては資本的支出とされています。
 したがって、修繕費と資本的支出の判断を誤ると、両者とも最終的には同じ税額を納めることになったとしても資金繰りに影響します。また、大規模な修繕を行って工事会社に見積書・請求書を作ってもらう際に、工事内容を詳細に記載してもらわずに修繕費と資本的支出の計上を誤ると、その年度の利益について誤った申告がなされていたことになり、過少申告加算税等のペナルティを負う可能性があるため、できるだけその判断をきちんと行わなければなりません。
 
 今回の内容は、前号の「減価償却」に関連する内容として「修繕費」を取り上げましたが、関与先の皆さまにとって少しでもご理解の一助になれば幸いです。

★ 税理士法人TGNグループ創立のご報告 ★

★ 税理士法人TGNグループ創立のご報告 ★

関与先の皆さま

このたび、税理士法人TGNそれいゆは、都内に拠点を置く三つの税理士法人とともにTGNグループを立ち上げたことをご報告いたします。

昨今、事業承継や海外進出、国際税務への対応など、企業を取り巻く経済環境や税制はますます複雑化しています。そこで私たちも、多くのお客様のニーズにお応えしていくためには、一税理士法人の枠を超えた協力が必要であると感じ、グループを創立いたしました。
(業務・担当については従来通りです)

今後とも、お客様にとって最適なご提案・サービスを提供できるよう精進して参ります。
引き続きご指導、ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。

平成28年9月吉日

    【 経営理念 】
      「自利利他」の精神の下に、お客様と社員の幸せを実現する

    【 ミッション 】
      私たちは信頼されるパートナーとなり、お客様の幸せづくりに貢献します

    【 行動基準 】
      1. 私たちは、明るく、楽しく、前向きに、行動します
      2. 私たちは、プロとして、向上心を忘れずに、生涯学び続けます
      3. 私たちは、法令遵守を徹底します
      4. 私たちは、すべてに感謝し、「ありがとう」を言い続けます

税理士法人TGN グループ

税理士法人TGN それいゆ      代表社員 温井 德子、 小井戸 洋子
(八重洲事務所:東京都中央区八重洲1-6-16 東進ビル4F)
(八丁堀事務所:東京都中央区八丁堀2-30-5 東海ビル2F)

税理士法人TGN あすな       代表社員 中垣 光博、 杉山 美智子
(東京都千代田区内神田2-2-6 田中ビル5F)

税理士法人TGN タックスネット      代表社員 岩隈 啓之
(東京都港区赤坂5-5-10 赤坂大高ビル4F)

税理士法人TGN 東京          代表社員 岡田 高明、 菅川 洋、 室井 力
(東京都港区西新橋3-6-10 マストライフ西新橋ビル4F)

             ↓↓↓創立総会当日の様子です↓↓↓
           20160901_tgn%e8%9c%91%ef%bd%b5%e9%81%b6%e5%8c%ba%e3%8a%a6%e9%9a%95%ef%bd%aa%e8%8e%a8%e5%a4%82%ef%bd%b2%e5%8a%b1%e3%81%9d%e7%b9%9d%ef%bd%ac%e7%b9%a7%ef%bd%af%e7%b9%9d%e3%83%bb20160901_tgn8487 

減価償却について

減価償却について

それいゆ通信093号

関与先の皆さま

  ★★今号は、先月より仲間になった藤田さんが担当しています★★

 はじめまして。先月の中旬より入社いたしました藤田学と申します。今回、それいゆ通信を初めて担当することになりました。会計・税務に関してまだまだ経験は浅いため、これから日々勉強し一日も早く関与先の皆さまのお役に立てるよう努力していく所存ですので今後ともよろしくお願いいたします。それでは、事務所通信平成28年10月号とともにそれいゆ通信93号をお届けします。

 今回の事務所通信では、損金処理していた経費が否認され、役員賞与として認定された場合の税務上の影響について取り上げられています。会社の経費として税務上、損金算入が認められるのは、あくまでも事業に関係のある支出、事業遂行上必要な費用です。経営者や経営幹部の公私混同による私的な費用の計上は、自社の従業員のモチベーションやモラルにも影響します。この案件に関する裁判例等が紹介されていますので、是非ご一読ください。

 今回のそれいゆ通信では、「減価償却」を取り上げます。減価償却とは、時の経過や使用により価値が減少する固定資産を取得した際に、固定資産の取得価額をその耐用年数に応じて費用計上する会計処理のことです。その目的は取得価額を1回で費用計上するのではなく、売上の獲得に貢献するために使用した期間に応じて費用計上することで適正な期間損益計算を行うことです。

 減価償却費の計算には、取得価額を耐用年数で割った(実務上は償却率を乗じて計算した)定額法と毎年の期首未償却残高に一定の割合で償却する定率法の二つのいずれかの方法が採用されるのが一般的です。定額法は毎期一定額が費用計上されるのに対して、定率法は取得初年度に多額の費用が計上され耐用年数が経過していくにつれて費用計上する金額が逓減していくことに特徴があります。どちらの方法を採用しても全体の償却額は同じになるようにできているため、償却方法について選択適用が認められています。減価償却の対象となる資産ごとに法律で償却方法が定められていますが、それ以外の方法を採用する場合には事業年度に係る確定申告書の提出期限までに届出が必要です。ただし、一度採用した償却方法は継続適用が原則であることから、毎年償却方法を変えることができないことに留意しなければなりません。

 また、青色申告を行っている個人事業主や中小事業者等には少額の減価償却資産の特例を適用することができます。これは取得価額が30万円未満の減価償却の対象となる資産に関して、一括で減価償却費として費用計上できるものです。ただし、取得価額が10万円未満のものや実際の使用可能期間が1年未満のものは、この特例とは関係なく消耗品費として全額費用計上できます。つまり、10万円以上30万円未満のものに関してこの特例が認められていることになりますが、年間総額300万円以上の費用計上はできないため注意が必要です。

 最後に関与先の皆さまにとって、今回の内容が少しでも「減価償却」に関するご理解の一助になれば幸いです。今後私が担当する際には、数少ない経験からご質問等を受けたことに基づいて書かせていただきたいと考えております。

           ↓↓↓先日の歓迎会の様子です↓↓↓
        歓迎会20160824

成年後見制度について

成年後見制度について

それいゆ通信092号

関与先の皆さま

 こんにちは。いよいよ夏本番となり、リオオリンピックも開幕を迎えました。報道されている通りリオデジャネイロの治安が心配ですが、皆で日本選手団の活躍を祈りましょう!また、お盆休みを取られる方は、海や山にお出かけされると思いますが、くれぐれも事故には気を付けて楽しんでくださいね。それでは、事務所通信平成28年9月号とともにそれいゆ通信92号をお届けします。

 今回の事務所通信では、短期前払費用の計上時期についての注意点が取り上げられています。費用の計上については、法人の利益に関わってくるため、税務調査において入念にチェックされる項目の一つです。短期前払費用は、一定の要件を満たせば、支払時点での損金算入が認められますが、要件を満たしていないと税務調査で否認されることになります。損金算入の認否について事例が紹介されていますので、是非ご一読ください。

 今回のそれいゆ通信では、「成年後見制度」を取り上げます。以前は禁治産制度と呼ばれていましたが、平成12年より現在の成年後見制度となりました。民法で規定されているものは法定後見制度と呼ばれ、その対象となるのは、認知症や精神障害などで判断能力が低下した状態が続いている人です。対象者の判断能力の程度によって、後見、保佐、補助という制度を利用することができますが、今回は後見制度に絞って説明します。

 成年後見制度を利用する場合、その対象となる判断能力が低下した人を支援し保護するために、本人や親族、市町村長などの求めに基づき、家庭裁判所が後見人を選定します。この後見人ですが、実は特別な資格や研修は必要ありません。親、配偶者、子ども、兄弟姉妹などの親族は親族後見人と呼ばれ、弁護士、司法書士、社会福祉士、行政書士など高度な知識を持った人は専門職後見人と呼ばれます。現在は専門職後見人が過半数を占めています。

 選任された後見人は本人に代わって、介護保険などのサービスを契約したり、詐欺まがいの契約を取り消したりする権利を持ちます。つまり、財産の管理や、生活を支えるための身上監護を担うのが後見人の役割ということですね。しかし、法律の専門家は財産管理について高度な知識を持ち合わせていても、身上監護についてはもともと福祉の色合いが濃く、法律の専門家には縁遠いといわれることも少なくありません。また、専門職であるがゆえに敷居も高く感じ、費用も高額になりがちです。そこで、判断能力が低下した人を同じ地域でサポートしていくことを目的として、自治体や大学などが主体となって講習会などを開催して養成した市民後見人を活用しようという動きも広がっています。

 いまの日本は高齢化社会ではなく、「超高齢化社会」が到来しています。介護保険を利用する認知症の高齢者は現在300万人で、平成37年には470万人に増加するそうです。また、未婚率が高まり、子供の数も減っていますから、独居の認知症高齢者はますます増える見込みです。専門職後見人や市民後見人など、親族以外の第三者後見人の重要性は今後さらに高まりそうですね。

「130万円の壁」が「106万円の壁」へ

「130万円の壁」が「106万円の壁」へ

それいゆ通信091号

関与先の皆さま

 あっという間に今年も半分を過ぎましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。7月18日は「海の日」ですが、今年から8月11日に「山の日」という祝日が増えました。当初は祝日のない6月に設けようという意見が多かったようですが、ゴールデンウィーク後であることや、連休を取りにくいということもあって、経済効果の観点から8月の制定になったそうです。いよいよ本格的な夏がやってきましたが、熱中症に注意しつつ、暑さに負けずに頑張っていきましょう!それでは、事務所通信平成28年8月号とそれいゆ通信091号をお届けします。

 今回の事務所通信は、「貸倒損失」について取り上げています。法人が有する売掛金や貸付金などの金銭債権が回収不能に陥っているかどうかの認定は、その債務者の財務状況や支払い能力など総合的に勘案して判定されますが、貸倒損失の計上を法人の任意としてしまうと租税回避行為につながる可能性が生じます。税務上、貸倒損失として損金算入が認められる態様と注意点、貸し倒れにならないためにやっておくことの記載がありますので、ご一読ください。

 自社で労務を行っている場合、社会保険の報酬月額算定基礎届の作成が終わり一段落した頃だと思います。しかし、平成28年10月より社会保険に加入しなければならない「130万円の壁」が「106万円の壁」へと引き下げられることはご存知でしょうか。今回のそれいゆ通信では、社会保険の制度改正について触れたいと思います。

 今回の制度改正の背景には、社会保険加入者による恩恵を受けずに働いている人の救済や、女性の社会進出の促進が挙げられます。とはいえ、奥さまがパートで働いているご家庭にとっては、社会保険料を負担する分収入を増やすか、負担しない範囲で働くかは悩ましい問題です。今後の働き方を考えるためにも、制度改正により何が変わるのかをチェックしてみましょう。

 まず、収入が106万円以上で社会保険に加入する条件として、①従業員数501名以上の企業で働いている、②勤続年数は1年以上、③週に20時間以上働いている、④月額賃金8.8万円以上、となっています。この4つの条件全てにあてはまるのであれば、社会保険への加入義務が発生します。

 次に収入が105万円(106万円の壁)の人と今までの基準であった129万円(130万円の壁)の人を実際に比較すると、105万円の人は社会保険料の負担はなく、所得税・住民税の負担が年間約1万円となり、手取り額は104万円程度、ほぼ稼いだ分をもらえます。月収に直すと8.6万円程度です。一方、129万円の人は、社会保険料の負担が年間約18万円、所得税・住民税の負担が約2万円で、手取り額は109万円程度となります。収入105万円の人と手取り額はほぼ変わらなくなりますが、社会保険料を負担しているので、自分名義での将来受け取れる年金額を増やすことができます。また、収入が141万円未満であれば、配偶者特別控除を受けられるというメリットもあります。さらに別の角度から見ると、将来受け取れる年金額の増加以外にも、被扶養者から被保険者になることで、病気やケガで4日以上連続して休職した場合に傷病手当金をもらうことができます。

 社会保険に加入しない程度の収入に抑えるか、加入して目いっぱい働くかは、配偶者の働き方や考え方、お子さまの状況等でも判断が分かれるところかもしれません。社会保険加入にはメリットもたくさんあることを理解したうえで、それぞれのご家庭にあった働き方を検討する必要がありますね。

 安倍首相は、デフレ脱却に向けた経済政策として、来年度から年金の受給資格を得るのに必要な保険料の納付期間を現行の25年から10年に短縮する意向を示しました。これにより、国民年金だけでなく、厚生年金も加入しやすくなりました。ただ、10年間保険料を納めただけではもらえる年金額は1.6万円程度にとどまるため、老後の生活保障としては不十分と考えられるので注意が必要です。

18歳選挙権について

18歳選挙権について

それいゆ通信090号

関与先の皆さま

 こんにちは。雨に映える紫陽花の花が美しい梅雨の時期となりました。気象庁の発表では、6月5日に関東甲信地方が梅雨入りしたとのこと。これは平年より3日早く、昨年より2日遅い梅雨入りだそうです。最近、TVなどのメディアでは「梅雨の時期を楽しもう」ということで、様々な傘の特集が組まれています。従来の金属の骨組みに変わり24本骨なのに骨をグラスファイバー製にして軽量化した傘や、お子様やペットと一緒に入れるように考慮した80cmサイズの傘など、気づかないところで傘も進化してるんですね。私も傘を新調してすっきりと気分転換しようかな。それでは、事務所通信平成28年6月号とそれいゆ通信090号をお届けします。

 今回の事務所通信は、2016年版小規模企業白書による小規模事業者の商圏拡大・売上増加要因について触れています。小規模事業者は、経営資源(人材、資源等)に大きな制約があるうえに、商圏や取扱商品・サービスが限定され、その上、価格競争やリスク対応力が弱く、構造変化の影響を受けやすいといわれています。しかし、2016年版小規模企業白書によると、商圏拡大、IT活用、経営計画作成などの取り組みを通じて、需要を踏まえた販路開拓などが一層活発に行われることが、今後、小規模事業者が持続的に発展していくための鍵になるとしています。特に、経営計画作成については効果を実感する経営者が増加傾向にありますので、経営計画作成や見直しなど、作成経験が豊富な当社に是非ご相談ください。

 ここ数日、街を歩いていると参議院選挙の立候補者掲示板が立ち始めています。そこで、今回は7月10日の参議院選挙から投票可能となる「18歳選挙権」について取り上げたいと思います。6月19日、選挙権年齢を現行の「20歳以上」から「18歳以上」へと引き下げる改正公職選挙法が施行されます。男女普通選挙が実現した1945年の見直し以来、約70年ぶりの選挙権拡大となります。これにより、1998年7月11日までに生まれた人が投票権を得ることになり、18、19歳の約240万人(有権者全体の約2%)が新たな有権者に加わります。そして、選挙権拡大に伴い、18,19歳の選挙運動も解禁され、ツイッターやLINEなどのSNSでの選挙運動も可能となります。一方、禁止事項も多くあります。例えば、メールを使った選挙運動は政党や候補者に限られ、政党などから届いた選挙運動のメールの転送は禁止されています。また、選挙運動を目的としたウェブサイトは、解説者のメールアドレスなどの表示が義務とされています。18、19歳の未成年でも、買収など連座制の適用となるような悪質な選挙違反に関われば、家庭裁判所が原則、検察官送致(逆送)とするので、成人並みの厳しい処罰を受けるという点も注意が必要です。

 そもそも、選挙年齢が18歳へと引き下げられたのはどういった経緯だったのでしょうか。そのきっかけとなったのは、安倍首相が目指す憲法改正に関する手続きを定めた国民投票法でした。改正国民投票法では、国民投票が可能な年齢を18歳以上としたため、その付帯として選挙権年齢も引き下げたという経緯があります。また、少子高齢化も選挙権年齢の引き下げを後押ししました。有権者に占める高齢者の割合が一層高くなる反面、国の借金や社会保障制度など今の若い世代が将来的に影響を受ける課題の重みが増したため、若い世代の声をもっと国政に反映させるべきだという声が強まったことも影響しています。政治は投票率の高い高齢者らに目を配りがちです。日本では諸外国に比べ、子育て支援など、若い世代向けの予算より、介護、医療、年金など高齢者に充てる予算が手厚いといわれています。若者の声が政策に反映されるかどうかは、その投票率が重要な要素になりそうです。すでに高校生は学校の授業で選挙や選挙権について学習されているようですし、お子様やご親戚に18,19歳の方がいらっしゃれば、話し合われてみてはいかがでしょうか。

 ただ、注意点として、国民投票年齢、選挙権年齢は下がっていますが、民法が規定する「成人」の年齢は「20歳」のままです。当然、お酒やたばこなどは従前どおりの取り扱いです。こういった点も踏まえると、大人の定義を巡る議論は今後も続きそうですね。

 安倍首相は選挙の争点として、消費税増税を延期したということの「国民の信を問う」と表明しているそうです。延期した分の財源についてこれから議論していくことになるとは思いますが、私たちの納めた税金が適正適所に使われるようきちんと見守っていきたいですね。この点はどこかの知事のように不透明な会計処理が行われないことを願っています。

マイナンバー制度における災害対策

マイナンバー制度における災害対策

それいゆ通信089号

関与先の皆さま

 こんにちは。ゴールデンウィークもあっという間に終わってしまいましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。「目には青葉 山ほととぎす初鰹」といわれるほど、木々も青々と生い茂ってきましたね。食べられない「ほととぎす」は置いておいて、料理人をやっていたこともある身としては「初鰹」は楽しみです。やっぱり初鰹は冷酒かな。最近冒頭でお酒の話ばかりしているような…。閑話休題。それでは、事務所通信平成28年5月号とそれいゆ通信089号をお届けします。

 今回の事務所通信は、「外注費」について取り上げています。最近、個人事業主に支払う外注費は、原則的に所得税の源泉徴収の必要がないことや、消費税の仕入税額控除ができること、社会保険料の負担がないことなどから社員との雇用契約を業務委託契約に切り替え、外注とするケースがあります。しかし外注費か給与かについては、税務調査で厳しくチェックされる項目ですので、適正な処理が特に重要です。外注費になるかどうかの判断ポイントの記載がありますので、改めてご確認をお願いします。

 以前からお伝えしている通り、マイナンバー制度においてマイナンバーを活用する分野は3つ、「社会保障制度・税制・災害対策」です。我々会計人は税務会計を基本としていますので、社会保障制度も含めた税制に対する情報を皆様にお伝えすることが使命です。しかし、4月14日に発生した熊本地震では、マイナンバー制度施行後、初の災害対策としてマイナンバーが活用されようとしています。そこで、今回のそれいゆ通信では、今まで漠然としていた「マイナンバー制度における災害対策」を取り上げます。

 まずは、おさらいです。マイナンバー制度は、住民票を持つすべての人に12桁の番号を割り振り、法令で認められた範囲(社会保障・税制・災害対策)で個人情報を連携させる制度です。運用システムはまだ整備途中で、3年後を目途に活用分野の拡大など見直しを進める予定となっています。
 
 では、災害対策としてどのように活用するのでしょうか。地震などの災害から一定期間が過ぎ、救出と緊急支援の段階が過ぎると、被災地では「被災者台帳」の作成が本格化します。自治体は氏名や住所、被害状況などとともにマイナンバーも台帳に付記します。原則としては、自治体はあらかじめマイナンバーの活用計画を示しておかなければならず、今回地震のあった熊本県では、阿蘇市、宇土市、八代市、多良木町の4つの自治体のみが計画を示していました。しかし、災害時は事後に計画を立てることも良いとされているので、これから計画を立てる自治体も出てくるとみられています。ただ、現段階ではマイナンバーが目に見えて役立つというわけではありません。マイナンバー最大の利点は、ある個人について異なる行政機関が持つ情報を結びつけ、素早く手続きができることですが、マイナンバー制度の導入スケジュール上、それが可能になるのは来年7月です。この点が可能になれば、被災者の税金や社会保険料を減免する措置など、様々な行政機関が関係する支援事務や手続きの簡略化・迅速化が期待されます。

 また、熊本地震では、普及の進んでいないマイナンバーカードが脚光を浴びました。例えば、避難所ごとにカードリーダーを接続したパソコンを置き、被災者のカードを読み取れるようにするとします。すると、だれがどこに避難しているかが瞬時に登録でき、どの避難所に高齢者や乳幼児が何人いるかといったデータが即座に分かるようになります。さらに、健康保険のレセプトデータと連携すれば被災者が服用している薬も分かります。そこまで把握することができれば、どんな物資や薬をどの避難所に発送するかといった判断が迅速にでき、より手厚い支援ができるようになります。たしかに、社会保障や税制も重要ですが、地震大国である日本の政府は、災害対策で有効活用ができることをもっと前面に押し出すべきではないでしょうか。そうすれば、マイナンバーカードの普及ももっと進むはずですし、より公平・公正な社会に近づくと思います。

 さて、先月末にご案内した通り、温井会計事務所は「税理士法人 TGNそれいゆ」として生まれ変わります。監査体制は今まで通りですが、 税理士3名、職員7名の総勢11名体制で、今まで以上に皆様をサポートいたします。
 今後ともご指導、ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします。

インバウンド消費について

インバウンド消費について

それいゆ通信088号

関与先の皆さま

 こんにちは。先日まで満開だった桜も散り始め、だんだんと暖かい日が増えてきました。先週は、当事務所前のさくら通りでお花見やストリートラグビーが開催されとても盛り上がっていました。プロ野球も開幕し、いよいよ外で飲むビールが美味しくなる季節の到来です。あー、楽しみ♪ それでは、事務所通信平成28年4月号とそれいゆ通信088号をお届けします。

 今回の事務所通信は、「消費税改正に備えて再確認したい帳簿の記載事項」を取り上げています。マスコミ報道等にて消費税増税の再延期が取り沙汰されていますが、現状では、平成29年4月から消費税率10%への引き上げが予定されており、それに伴って軽減税率が導入され、税率も複数になります。また、平成33年4月からはインボイス方式の導入も始まり、仕入税額控除の要件が厳格化されます。記帳がきちんとなされているか再確認をしましょう!

 今回のそれいゆ通信は、8日発行の88号ということもあって、中国で縁起の良い数字とされている8の数字が沢山出てきました。そこで、昨年のヒット商品ランキングでも登場した「インバウンド消費」の中でも中国人旅行者の「爆買い」について、現状と今後の動向を考察してみたいと思います。

 観光庁「訪日外国人消費動向調査」によれば、2015年に日本を訪れた外国人旅行者は前年比47.1%増の1,974万人の過去最高となり、日本政府が東京オリンピックのある2020年の目標としていた2,000万人をほぼ達成しました。国・地域別の旅行者数は、ビザ発給要件の緩和や人民元高を背景に、中国が2014年の2倍超の499.4万人に急増し第1位になりました。また、中国人旅行者の1人当たり旅行消費額をみると、283,842円となっていて、これも第1位です。その中でも、買物代が161,974円と半分以上占めていることも特徴です。アジア諸国は、比較的短期間の滞在で買い物を目的として来訪する旅行者が多いため、買物代が高い国が多いといわれますが、この傾向は中国人旅行者で特に顕著です。

 以前は、中国人旅行者の爆買いの対象商品は温水洗浄便座や炊飯器などの高額電気製品でしたが、最近はより実用的で単価の低い日用品へと拡大しています。ビザ発給要件の緩和によって中国からの旅行者が富裕層だけにとどまらず中間所得層にまで広がったことや、日本への旅行者を対象にした日本商品の情報源が増えたことなどが背景として挙げられます。中国人旅行者の品目別購入率の上位をみると、①化粧品・香水、②医薬品・健康グッズ・トイレタリー、③菓子類、④その他食料品・飲料・酒・たばこ、の順位となります。中国では、近年、化粧品や食品などの安全性に対する消費者の関心が急速に高まっており、安全・安心のイメージが高い日本製品が注目を集めているといえます。また、中国人旅行者の旅行情報入手先としては、インターネットが圧倒的であり、化粧品・香水、医薬品・健康グッズ・トイレタリーでは、インターネットの口コミを中心とした情報源に頼った特定商品の指名買いが多くなっています。日本に行ったら買うべき薬、「神薬12」という言葉も流行しました。

 今後は、日本が観光立国として成長していく中で、当面、中国人旅行者数は増加していくと考えられます。ただし、短期的には、中国経済の行先不透明感が高まっていることなどから、中国人旅行者数や旅行消費額を抑制することが懸念されます。また、中長期的には、日本旅行の経験者などが増えていくにつれ、中国人旅行者の訪日目的が変化していくと考えられます。ちなみに、欧米豪諸国からの旅行者は、比較的長期間の滞在で、日本の歴史・伝統文化体験などを目的として訪日する旅行者が多く、相対的に買物代も少ないです。今後、中国人旅行者の行動も買物を主目的としたものから徐々に欧米豪旅行者のパターンに近づき、買物に費やす支出が低下していくのではないかと予想されます。現に今春は、お花見のために訪日したのは欧米豪諸国の旅行者だけでなく、中国人旅行者も多かったと聞いています。日本の花見は世界の花見になろうとしています。歴史認識や領土問題では色々とありますが、お隣さん同士お互いをもっと知るために、文化や伝統でたくさんの交流ができるといいですね。